はじめに
投資戦略の抜本的な見直しを
現在の投資状況を見ると、持株会への投資が中心です。20%の奨励があるため一見魅力的に見えます。しかし、分散投資の観点から見直しが必要です。一社の株式に投資が集中すると、その会社の業績悪化や株価下落により自分の資産も大きく減ってしまうリスクがあり、長期的な資産形成には向かないからです。
そのため売却可能な単元に達した場合は、全世界株式インデックスファンドなど、分散の効いた商品への切り替えをお勧めします。全世界株式インデックスファンドであれば、地域や業種の分散ができ、長期的により安定的なリターンが期待できます。
また、NISAと企業型DCについても、商品選択を見直す良い機会です。特に企業型DCは、老後資金としての性格が強いため、お金を引き出すことができません。そのため、年齢やリスク許容度に応じた資産配分を検討する必要があります。少なくとも今後のライフイベントの見通しがたつまでは、投資はNISAにできるだけ絞るのも一つの戦略だと思います。
結婚後の家計管理のポイント
結婚後は、二人の収入や支出を合わせて「一つの家計」として管理することが重要です。
口座管理については、生活費用の口座を共通化することをおすすめします。二人の収入を一旦共通口座に集約したり、一方の口座を生活費用、もう一方を貯金用などとしても大丈夫です。また、それぞれが自由に使えるお金はお小遣い制にし、別口座で管理することで、自由に使えるお金を確保しつつ、家計もしっかり管理できるようになります。
結婚後3〜5年以内に必要になる資金については、投資ではなく現金での確保を心がけましょう。住宅購入などの長期目標も共有し、老後の生活設計まで視野に入れたライフプラン表を作成することで、より具体的な資産形成の道筋が見えてくるはずです。
このような管理をするためには、収入の状況や支出の詳細、さらには投資や資産運用の状況まで、すべての金銭に関する情報を、夫婦で包み隠さず共有していくことが大切です。
また、毎月1回は夫婦で家計の振り返りの機会を設けることをお勧めします。振り返るときは、はじめは「この支出は本当に必要だったか?」とお互いに確認するだけでも大丈夫です。慣れてきたら、予算と実績の差を確認し、翌月の支出計画をたてるなど、家計管理もレベルアップしていきましょう。この定期的な振り返りは、単なる収支の確認だけでなく、お互いの価値観を確認し合う貴重な機会にもなります。お金は貯めるだけでは、価値を生みません。振り返りながら、予算の範囲内で、お互いが幸せになるお金の使い方をしてください。
ブライダルローンは組まないで
新しい生活にむけて、支出の把握と見直しをすすめるとともに、カップルで力をあわせていけば十分な資産形成も可能だと思います。ただ現実的な課題として、今夏に結婚式を上げるとなると、資金を貯める十分な期間がなく、新居費用に加え、生活防衛資金やさらに結婚式費用まで確保するのは難しいかもしれません。
ブライダルローンなどを組むと、また返済に回すお金が多くなる家計になってしまうので、借金はしないように気をつけてください。結婚は新しい生活のスタートにすぎません。いきなりマイナスからスタートしないようにパートナーやお互いのご両親とも相談して、どのような式にするか予算や規模を決められると良いと思います。
以上、どこか参考になれば幸いです。
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