はじめに
個人が購入できる「新窓販国債」と「個人向け国債」
個人投資家が購入できる国債は大きく二つに分類されます。新窓販国債と個人向け国債です。どちらも日本国が発行する国債ですが、それぞれ最低購入額や金利、中途換金のルールなどが異なります。前述した通り、償還日が決まっており、半年に1回利払いがある点は共通です。
財務省のホームページによると現在発売されている新窓販国債は償還までの期間で10年、5年、2年の3種類があります。毎月発行されているので、金利は毎月変りますが、直近に発表された金利でいうと、10年は1.4%、5年は1%、2年は0.7%です。ただし、利払いの際に20.315%の税金が差し引かれます。新窓販国債は、證券会社、銀行などで購入できます。購入単位は、最低5万円から5万円単位です。
ちなみに大手銀行の定期預金金利は、10年が0.5%、5年が0.4%、2年が0.325%ですので、かなり良い投資先と考えることもできるのではないでしょうか? また金融機関で購入しますが、万が一金融機関が破綻した場合も国債の権利は保護されるので、ペイオフ対策として分散させることも一理あるかも知れません。
リスクは、中途換金時に市場での取引となるため、購入時の金額で売れずに損失が発生してしまう可能性があることです。そのリスクを回避するためには、用途を定め償還まで保有することを前提に計画をたてる必要があります。もちろん売却タイミングにおいては利益が出ることもあります。
中途換金時の価額変動リスクをまったくなくしたものが「個人向け国債」といわれるものです。こちらは同じ国債ですが、新窓販国債よりも多くの金融機関で取り扱っていますし、購入単価は1万円から1万円単位で購入ができるため利便性にも優れています。
なによりも、中途換金時には国が買い取ってくれるため元本割れのリスクが一切ありません。注意点は2点、発行後1年間は原則中途換金不可、また換金時には直近2回分の各利子相当額が差し引かれます。そのため、できるだけ長く持つことが重要ですがそれでも中途換金に価額変動がないというメリットは大きいでしょう。
個人向け国債には償還までの期間によって、10年、5年、3年の3種類あります。このうち5年と3年は固定金利なので、これまでご説明してきた国債の基本ルールが適用され決まった金利で年に2回利払いがあります。直近で発表されている金利は5年が0.95%、3年が0.78%です。この金利を見る限り、新窓販国債との差はごくわずかですので、やはり一般の方には個人向け国債の方が扱いやすいといえるのではないかと考えます。
一方10年ものの個人向け国債は少し性質が異なります。こちらは変動金利で現在の金利は0.93%となっています。金利は半年毎に見直しされるので、今後金利の上昇が続けば、より良い条件でお金を成長させることができるでしょう。過去に発行された10年変動の個人向け国債の金利動向を見ると、少しずつ金利が上がっていることを確認できます。
債券に投資できる投資信託もあるが…
実際、eMAXIS Slim国内債券インデックスといったNISAの成長投資枠で購入できる投資信託もあるのですが、最近の長期金利の上昇をうけ基準価額は低調です。NISAの運用益非課税という特徴を考えれば、株式投資を中心とした大きな運用益が期待できるものへの投資にNISAを使った方がそのメリットを活かせます。国債に投資をするのであれば、投資信託で運用するのではなく元本保証(上述した通り若干のペナルティはありますが)で、また金利にも0.05%という最低保証がある個人向け国債10年変動を選ぶことは理にかなっているのではないかと考えます。
投資をすることに自信を失ってしまっている方であっても、これまでとは少し違った投資商品を経験されることは貴重なことであると思いますし、投資を行っている方であってもリスクを抑えた運用に適した用途の資金については個人向け国債を利用するなどポートフォリオの一部として採用されても良いのではないかと思います。
個人向け国債および新窓販国債は、毎月発行されますがそれぞれ募集期間がありますので、関心のある方は金融機関の窓口におたずねになってみたらいかがでしょうか?
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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