はじめに
多くの人が目先の利益やタイミングを追いがちな投資の世界で、長期にわたり投資を続ける人々が大切にしている10の考え方を、金融アナリストとしての10年以上の経験を踏まえご紹介します。特に、長期投資の考え方を中心に、NISAで長期投資をされている方、また投資初心者の方にぜひお伝えしたい内容です。長期投資家が重視する「生き残り戦略」や感情に左右されないための「ルール」について、詳しく解説していきます。
長期投資家が持つ「投資軸」とは?
資産形成の世界に足を踏み入れたとき、多くの人が目先の利益やタイミングを追いがちです。しかし、10年以上の長期間にわたって投資を続けている人たちは、それだけではない共通した「投資軸」のようなものを持ち続けているように感じます。
私自身、金融アナリストとして10年以上市場に関わり、多くのプロ・個人投資家の方々とお会いしてきました。その経験を踏まえ、NISAでの長期投資に関心のあるかたや投資初心者の方に向けて、長期投資の考え方や、投資家たちが大切にしているであろう10の考え方をご紹介したいと思います。
1. 市場で生き残ることを最優先に
長期投資家に共通しているのは、まず「生き残る」ことをしっかり優先している点です。 短期投資ではしっかり損切りしたり、自分のルールを確立して遵守すること、トレード記録をつけている方も多く見受けられます。
一方、長期投資では一時的に含み損を抱えても、損切りや狼狽売りに走るのではなく、複利の力を最大限に活かす、というのも欠かせない考え方です。株価が下がったときに(ルール通りに損切りするのもありですが、保有するというルールの場合は)売らずに持ち続けられた人だけが、次の上昇局面でその恩恵を受けられるのです。
2. 感情に流されず、ルールに従う
長く投資をしている人ほど、感情に支配されない仕組みを自分の中に持っています。先程も出てきましたが、ルールが大切です。
例えば、長期投資で言うと「〇%下がったら一部買い増す」「毎月〇日に積立する」といったルールです。ルールを持つことはマインドセットにもつながります。暴落時にも冷静さを保つための防波堤となるわけです。
独自のルールを持っている方も多いですね。しかもそのルールをトライアンドエラーしながらブラッシュアップしています。
例えば、中期的には定量+定性面で割安な成長株を選ぶ際のルールを本連載でお伝えしましたが、業績が落ち込むなどにより買った理由が崩れたら手仕舞います。短期投資においては、市場全体のトレンドやニュースといった相場観を持ちつつも、日々の株価の動きを示すローソク足チャートを詳細に分析し、テクニカル分析に基づいたルールで売買しています。さらに、短期・中期・長期保有、それぞれの投資戦略に合わせて、口座を分けて管理している方もいらっしゃいます。これは、各投資期間における目的やリスク許容度が異なるためです。口座を分けることで、それぞれの投資戦略に集中でき、感情的な判断を避けることが可能になります。