はじめに
特定支出には会社の証明が必要
特定支出控除を受けるには、支出の内容が先に挙げた8項目にただ該当すればよい、というわけではありません。資格を取るにしても、現在の職務とはまったく関係ない資格なら「必要経費」にはなりません。たとえば、銀行で出納業務を担当している人が、元々好きだったお菓子づくりを極めたいからと、製菓衛生師の資格をとっても現在の業務には関係がありません。
特定支出控除の適用となるためには、直接その人の職務遂行に必要であることを確認するために、給与の支払者、つまり会社から証明してもらうのが必要となっています。
業務に役立てるためならスポーツ新聞やインテリア雑誌でもOK
では、特定支出控除にしやすい出費とはどのようなものでしょうか。利用しやすい特定支出としては、図書費・衣服費・交際費でしょう。自分の知識を高めるためはもちろんですが、取引先との接客に必要な時事の話題を用意するために幅広く新聞を読んだり、週刊誌を定期購読したりしている人もいるかもしれません。お堅い業界紙や専門誌だけが業務のための特定支出となるわけではありません。業務に役立てるためなら、場合によってはスポーツ新聞でも、インテリア雑誌でも特定支出になるのです。
特定支出控除を受けるための金額は?
もう一つの条件は、特定支出の年間合計額がその年の給与所得控除の1/2を超える、ということです。仮に年収400万円の人が特定支出控除を受けようとします。この場合、給与所得控除の金額は134万円なので、年間の特定支出金額が67万円を超えていなければならない、ということになります。
ちなみに図書費・衣服費・交際費の3項目を合わせて「勤務必要経費」といいますが、勤務必要経費は年間65万円までと上限があります。67万円超の特定支出金額が必要な人は、資格取得費など他の項目でも支出が必要になります。
年収が300万円なら、給与所得控除の金額は108万円。つまり、年間の特定支出が54万円を超えればOK。このように、年収によっても特定支出控除の適用可否や金額が変わります。