円高で好調転換の企業とは?
牛丼、ニトリ、ユニクロ……
経営が苦しかったはずの企業からの好調の知らせ半年前まで苦境だと報道されていた会社の経営が、足元では楽勝に変わりつつある。たとえば牛丼3社。仕入れ先であるアメリカ産牛肉の価格は2年前と比べて半値近い水準に下落している。価格が下がったのは円高の影響に加えて、チャイナショックのおかげでお隣の中国がアメリカ産牛肉の買い占めを手控えるようになったためだ。牛丼3社の売上高原価率はかつての円高デフレ戦争当時は35%近辺だったところから、2014年、15年の円安時には40%台前半にまで引き上がってしまい、業界最大手のゼンショーホールディングス(すき家)は「苦境に立たされている」とまで言われるようになっていた。ところが原価率はデフレ時代に近いところまで戻りはじめ、結果としてゼンショーも採算が大幅改善し、今季の純利益は7割増える勢いだという。1ドル=100円の水準の円高が定着してきたため、これまで苦しいと言われた会社が急に息を吹き返すようになった。
リオ五輪の視聴者が減少した意外な理由
アメリカでも同様の現象が問題に
連日盛り上がる五輪だが、リアルタイムで見る人が減少している?連日、日本人のメダルラッシュが続いたリオ五輪も閉幕。しかし、視聴者の状況に異変が起きているようです。ドキドキハラハラしながら五輪をテレビ観戦する人の数が減っているようなのです。私は最初は時差のせいかと思っていました。主要な競技の決勝が行われるのが日本時間の未明の時間帯になるため、ほとんどの日本人が朝起きて新しいメダルが獲得されているのをニュースで見ることになります。そうするとニュース映像でメダル獲得の瞬間だけを観てしまうことで、なんとなく満足してしまい、リアルタイムでアスリートたちの戦いを見る人口が減ってしまう。そんな現象が起きているのだとばかり思っていました。ところが、この現象、どうやら日本だけの現象ではないようなのです。
米デルタ航空、成田発着3路線から撤退
アジア戦略で成田空港の地位低下か!?
デルタ航空が成田国際空港(成田空港)から減便を発表今年の2月、「Money Plus」に書かせていただいた予想記事が現実の結果になりました。https://moneyforward.com/media/work/11371/デルタ航空は2016年8月10日に成田―ニューヨーク間を含む成田空港発着の3路線から撤退することを発表しました。すでにデルタ航空では、円安が進んだここ数年の間にかなりの便を日本から撤退させていたのですが、今回の決定でその動きは加速しそうです。デルタ航空は撤退の理由について「日米航空交渉合意で競合する米国航空会社とその日本の提携企業が圧倒的に優位になる」ためだとコメントしています。これは今年2月に日本政府が羽田空港の国際線路線枠を増やすことを決めたことを指します。全日空とその提携先であるユナイテッド航空、日本航空とアメリカン航空、この4社が成田空港よりも都心に近い羽田空港から北米に向けて計10枠を増便するのです。交渉時には「そんなことになればデルタは成田から撤退するぞ」と釘を刺していたデルタ航空ですが、それを実行に移すことにしたというのが今回のニュースです。しかしデル
自動車業界の未来を占う3つのトレンド
未来の車体は紙でもOKになる!?
自動車の軽量化トレンドを危惧する鉄鋼メーカー先週の日本経済新聞に自動車がどんどん軽量化する方向に進化するという記事が掲載されました。アルミの車体や炭素繊維の車体など、鉄を使わない新しい乗用車がつぎつぎと開発されているといいます。http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04648460Y6A700C1TJC000/このトレンドが本格化すると一番大きな影響を受けるのが鉄鋼最大手の新日鉄住金。なにしろ自動車会社は鋼板メーカーにとっては最重要顧客です。しかしなぜ自動車の車体に鉄が使われなくなっていくのでしょうか?http://www.nikkei.com/article/DGKKZO03715460X10C16A6TI1000/このトレンドには実は3つの理由があります。それはエコカーのトレンド、電気自動車の登場、そして自動運転技術の進化です。この3つのトレンドはそれぞれ引き返しが起きないトレンドだと考えられますから、自動車の車体が鋼板からより軽量の素材へと進化していくことは避けられないかもしれません。なぜ鉄が衰退するのか、一つひとつ状況を見ていきましょう。
ポケモノミクス、今後のポイント3つ
ポケモンGOはポケモノミクス最初の一歩にすぎない
ポケモンGOは儲けにつながらない?ポケモンGOが日本でリリースされて一週間以上が経過。当初の熱狂が徐々におちついてビジネスのポイントが見えてきました。任天堂はこれから儲かっていくのか?ポケモノミクスと言われる経済効果で誰が潤うのか?そういった疑問を整理してみたいと思います。ポケモノミクスで気になることはまず任天堂株の乱高下。日本でのリリース直前の7月19日に32,700円と久しぶりの高値をつけた任天堂は、その後、大きく下落してこの原稿を書いている時点では21,000円近辺まで下がっています。株価下落の理由は、ブームが沈静化していく中で「どうやらポケモンGOの利益は任天堂にはほとんど入らないらしい」という情報が広まったからです。ポケモンGOのゲーム自体はGoogle子会社のナイアンティックが権利を持っています。ポケモンキャラクターのライセンス収入は、任天堂の子会社の株式会社ポケモンに入ってくるのですが、出資比率は32%、短期的な利益という意味では任天堂には今回は儲けが落ちないというのがポケモノミクス議論の出発点です。
海外旅行の早割が拡大している意外な理由
旅行会社が早割を競う現状とは
海外旅行商品の前倒し販売や早割が進められている今年の年末年始分の旅行商品がもう販売が始まっているのをご存知ですか?JTBや航空会社が海外旅行の早期予約を拡大しているそうです。JTBでは年末年始の旅行商品はすでに5月に発売開始。これは従来よりも2か月も早いタイミングだそうです。全日空系のダイナミックパッケージも従来は300日先までのところを、今後は355日先までに予約可能期間を延ばすそうです。ジャルパックでは8月に発売する値ごろ感のある割引商品の出発時期を来年3月までと、これも従来よりも先の予約に対応するそうです。旅行会社各社が早割を競う現状が起きているのですが、いったい何が起きているのでしょうか?
ウィメンズコラボ商品が伸び悩むユニクロを救う!?
売上高は2.8%増えるも客数は…
売上の天井に苦しむユニクロユニクロが国内での伸び悩みに直面しています。7月14日に発表した3~5月期の連結決算では既存店売上高は2.8%増えたそうですが、客数はそれを打ち消す6.1%減となりました。過去2年間、ユニクロの客数は減り続けているのです。その理由として昨年秋まで2年かけて商品価格を10%以上値上げしたことが指摘されています。2,990円で買えたボトムズが3,990円になったというように、価格のお手頃感がなくなっていきました。同時に夏場のドライや冬場のヒートテックのような機能性商品も、イトーヨーカドーやイオンなど他の量販店でも同等品が開発されるようになり、しかもそちらの方が安いという状況が生まれ、客離れが加速したようです。
VR元年の勝者はソニーになる!?
HTC、オキュラスよりも優位な点は
VR元年で3強が出揃う今年は仮想現実(VR)元年と言われています。ちょうどこのタイミングで、世界の3強(3強とはアメリカのフェイスブック傘下のオキュラスVR、台湾の電機大手のHTC、そしてソニーインタラクティブエンタテインメントのこと)の商品が日本市場に出そろうことが発表され、市場の期待感は加熱し始めている状態です。VRを一言で説明すると、ヘッドマウントディスプレイと言うゴーグル型のディスプレイを頭に装着することで、仮想現実の世界を楽しむことができる商品です。
新規上場LINEが調達する1270億円の使途
いよいよLINEの株式が上場
7月14日・15日にLINEがアメリカと日本の株式市場に上場することになりました。これで投資家のみなさんもLINEに投資ができるようになるわけです。さて、先ごろ発表された上場の仮条件では、IPOが上限価格で行われた場合にLINEの時価総額(つまり会社の価格)は6720億円になるそうです。この条件の場合、日米の株式市場からは新規に1270億円の資金を調達することになるというのですが、この巨額な資金はどう使われて、LINEの株価にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
英国EU離脱、市民が経済悪化より優先したもの
生活と治安どちらを選ぶか
可能性はあるが本当にこうなるとは政治家も思わなかった?6月24日の市場は大波乱になった。1ドルは一時99円台に突入。株価は終値で1286円超の下落。これらの混乱の原因は昼過ぎに飛び込んできたまさかの「英国の国民投票、EU離脱票が過半数で勝利をする見込み」というBBC放送のニュースだった。投票前は離脱派が追い上げているとはいえ、最終的には僅差で残留派が勝つと見込まれていて、離脱派が勝つケースは「そういうリスクを考えておいたほうがいい」というレベルだったこともあり、こうして離脱派が勝利を収めることが確定すると市場がこれだけ混乱するのは仕方のないことだと思うしかない。さて、なぜ英国がEUから離脱すると円高になったり株安になったりするのか。不安定に展開するであろう今後のマーケットを読み切るためにも、簡単にこれまでの経緯をまとめておこう。
上海ディズニーランド開業が東京に及ぼす影響
1983年のロサンゼルスと同じ道を辿るか
6月16日、世界で6番目のディズニーリゾート「上海ディズニーランド」が開業しました。日本円にして約5700億円を投じて建設されたもので、アメリカのアナハイム(ロサンゼルス近郊)、オーランド、東京、フランスのパリ、そして香港に次ぐ、世界で6か所目のリゾートです。この上海ディズニーランドの開業はどのような影響を及ぼすことになるのでしょう?
リクルートが出会い系に進出した理由
株で役員報酬を出す企業は買い!?
増え始めている「株で役員報酬」の会社6月10日、「日経新聞」の一面に「株で役員報酬」という制度を導入する企業が増えているという記事が載りました。三菱UFJ信託銀行が調べたところ上場企業のうち230社がこの制度を導入しているそうで、それが来年には500社に増えるそうです。よく知られるストックオプション制度とは違い、企業の業績向上に効果があるというのですが、どこが違うのでしょうか? 簡単に解説してみたいと思います。記事の中では、リクルートホールディングスの制度が例として紹介されています。リクルートの制度では、役員に対して報酬となる株式は「役員の退任時に付与」。役員として在任中の業績貢献度に応じて、付与される株式数は増減するそうです。退任時に株式が付与されるこの制度、何がいいのでしょうか?
企業の巨大買収が失敗に終わる3つの理由
三菱地所、パナソニックでかつて巨大買収が足かせに
年配の方は覚えていらっしゃると思いますが、バブルの真っ最中に日本企業が世界的な企業を買いあさった時期がありました。三菱地所がニューヨークのロックフェラーセンターを買収し、ハリウッドではソニーがコロンビアを、松下電器産業(現・パナソニック)がユニバーサルを買収し、それぞれ一躍、世界戦略を展開したと言われたものです。結果を見れば、ニューヨーク市民の大きな反感を買ってまで買収したロックフェラーセンターはバブル崩壊で莫大な赤字を出し、14棟のうち12棟を手放すことになり、投資としては失敗に終わりました。松下電器産業も、6年後には8割の株式をカナダのシーグラムに売却する結果に終わりました。ユニバーサルは松下電器産業の保有期間中はそれほどパッとせず、経営の足をひっぱって終わった印象です。売却後にユニバーサルスタジオが脚光を浴びるようになったことを考えると、悪いタイミングで損切りをしたと言われますが、株式保有中の6年間は、なんとかその損失から逃れたいと経営陣は頭を抱えていたのです。
民泊の営業解禁がビジネスマンに与える影響
旅館業法で違法とされていた民泊営業の全面解禁
民泊営業がいよいよ全面解禁に政府の規制改革会議が5月19日に80項目の規制緩和策を盛り込んだ答申を安倍首相に提出しました。今回で4年目の答申ですが、目玉としては、民泊営業の全面解禁が注目されています。報道によれば政府は今年度内の法整備を目指すようです。民泊とはホテルや旅館ではない一般住宅に旅行者を泊める行為で、アメリカで始まったインターネットサービスのAirbnb(エアビーアンドビー)によって、日本でも普通の人が簡単に、海外からやってくる旅行客を泊めることができるようになり、ここ数年で一気に広がりました。時を同じくして、インバウンドブームが起き、東京や京都、大阪といった人気の観光地では外国人旅行客を泊める宿泊インフラが足りなくなり、これまで数千円で泊まれたはずのビジネスホテルの料金がピーク時には2万円を超えるなど、宿泊施設の供給不足も問題になりました。2020年の東京オリンピックを前に、ホテルだけでは宿泊キャパシティが足りなくなることは明白なため、これまで旅館業法で違法とされていた民泊を、政府が禁止から解禁へとかじ取りを変えようとしているのです。
フランスの履歴書からアレが消える日
差別根絶のために
日本の常識が世界の非常識となっている労働慣行日本では当たり前のように行われている労働慣行であっても、海外では違法とされていることがいくつもあります。たとえばアメリカでは、職場で同僚の年齢を聞いてはいけません。当然のように履歴書にも年齢は書きません。人種や性別だけでなく年齢差別につながる軽率な行動はご法度なのです。フランスでは昨年、真剣にあることが検討されたそうです。それは、履歴書に氏名を記載することを禁止する法案です。一定規模以上の企業を対象に、氏名を記載しない履歴書を義務化しようとすることが真剣に検討されたのです。昨年はそれが見送られたのですが、おそらく近い将来、この法律は成立すると思われます。
結局、誰が大統領でもTPPには逆風
伸びる業界・廃れる業界
トランプ候補、ヒラリー候補ともにほぼ候補の座を手中にアメリカの大統領選挙の候補者を決める予備選挙がいよいよ山場を迎えた。先に候補の座をほぼ手中に収めたのが共和党のトランプ候補。反対勢力が多いトランプ氏の場合、党大会までに過半数の予備選挙での票を獲得しなければ、決選投票で敗れるのではと言われてきたが、どうやらそのハードルを越えそうだ。一方で、サンダース氏との接戦を繰り広げてきた民主党のヒラリー・クリントン候補もニューヨーク州の大勝利でその差を広げ、このままいけば5月中旬には民主党の大統領候補として当確になりそうだ。11月にヒラリー・クリントン候補とトランプ候補が激突する大統領選挙の本戦も混戦必至だが、どちらが大統領になっても変わらないことがひとつある。それはアメリカがTPPを見直すだろうということだ。
短期的に勝ってどうするの?VWさん
伸びる業界・廃れる業界
フォルクスワーゲン(VW)が起こした排ガス不正問題ですが、訴訟社会のアメリカ市場ではVWはいち早く、買取りも含めた消費者対応を行うことを米国の消費者に約束しました。ところが今週のニュースで驚いたのですが、そのVW社が同じ不正があった車種について、ヨーロッパ市場ではリコール(無償修理)で対応をするだけで、買取り対応はしないと発表したのです。欧州の不正車については「走行性能や燃費に影響を与えない」からだというのがその理由なのですが、私は「これは負ける確率が高い賭けだな」と思いました。排ガスを測定するときだけ排ガスが少なくなるようにプログラミングをしていたというのがVWの不正問題の手口でした。つまり当然ですが排ガスが常に規制レベル以下に(少なく)なるように改修すれば、当然、走行性能は影響を受けます。走りが悪くなるか、燃費が悪くなるか、論理的には必ずどちらかの影響が起きます。それを欧州の消費者に対しては「走行性能や燃費に影響を与えない」から修理対応だけで済ませるとVWの社長が強弁したというのは、企業の誠意としては問題です。
経済効果が楽しみな都心の新駅プロジェクト
伸びる業界・廃れる業界
森ビルが新しい再開発計画を発表した理由森ビルが超高層複合ビル「虎ノ門ヒルズ」の周辺で新たに高層ビル3棟を建てる大規模開発計画を発表しました。この計画は国家戦略特区の予定事業に指定されているということで、東京五輪に向けた首都経済の活性化に期待がかかります。虎ノ門の計画では、2棟が2019年、一棟は2022年に竣工ということですから、すべてが東京五輪に間に合うわけではありません。そもそも2016年時点で発表される大規模開発の場合は2020年に間に合うかどうかはぎりぎりでしょう。しかしこのような計画がつぎつぎと発表されることで、世の中の景気が上向く効果があることはいいことです。さて、この虎ノ門の開発計画で興味深い点は、虎ノ門ヒルズの真下に東京メトロ日比谷線の新駅が出現することです。この区間は霞が関駅と神谷町駅の間の距離が長いことから、地上のオフィスにとっては若干交通が不便だったエリアでもあるのですが、それが解消されます。日比谷線虎ノ門新駅(仮称)は銀座線の虎ノ門駅ともつながりますから、メトロの乗り換えも便利になりそうです。