AIで株式市場の“感情”を分析、結果が示す相場の未来予測は?
3つの分析から読み取れること
1月8日の日経平均株価の終値は2万8,139円となり、30年5ヶ月振りの高値となりました。2021年の株式相場も出だしは好調です。一方、足元の景気はコロナ禍で厳しい状況です。7日には東京、千葉、埼玉、神奈川を対象とした緊急事態宣言が出され、14日には対象地域が11の都府県に拡大されました。経済活動の停滞は長引く可能性もあります。こうした実態経済や社会環境を考えると、“足元の株価は買われすぎじゃないか”と見る投資家も少なくはありません。しかし、今後の新型コロナワクチン接種の本格化もあり「コロナ禍の終息→将来の景気回復の期待」から、投資家が株式投資に“前向きな姿勢”であることが足元の株高を支えています。とはいえ、こうした“前向き姿勢”は“冷静な判断”に基づいているのでしょうか。人間なら誰しも、嫌なことがあってもカラ元気を振舞ったり、ポジティブなことだけを考えようと見ない振りをすることもあります。でも、人にもよりますが、そんな状況って長続きしないですよね。“冷静”に状況を判断するのは、人間にはなかなか難しいかもしれません。こういった分野では機械やAI(人工知能)が大いに活躍できます。そこで今
新年の株価は上がる?下がる?株の“ジンクス”から2021年相場を予測
景気と株価モメンタム
株の“ジンクス”のことを業界では“アノマリー“と呼びますが、今回はアノマリーから新年の相場の行方を探ってみましょう。2020年は新型コロナの感染拡大に社会も経済も大きく影響を受けました。とは言え、日経平均株価は12月9日に2万6,817円となり29年8カ月ぶりに1991年4月以来の高値を更新、歴史的な株価水準までの回復を見せており好調でした。株価は将来の景気回復を織り込んで動きますが、足元では先取りした上昇が早すぎると懸念する投資家も見られます。新年の株価も上昇トレンドが持続できるのでしょうか。
足元の株価水準は妥当なのか、日本企業の魅力度から考える
ROE(株主資本利益率)とPBR(株価純資産倍率)
12月9日の日経平均株価は2万6,817円となり、29年8カ月ぶりに1991年4月以来の高値を更新しました。米大統領選挙後に懸念された混乱も回避できそうという楽観的な見方が底流にあるなか11月の日経平均株価は月間で3,456円と30年振り大幅上昇しました。そして12月に入っても8日に英国で新型コロナワクチン接種が始まったことを受けて、世界的なワクチンの普及、そして経済活動が正常モードに向かうとの期待から株価は基本、堅調に推移しています。経済や株式市場を取り巻く環境が改善するなら、株価もそれを反映して上昇することに違和感を持つ方は少ないでしょう。とはいえ、昭和から平成にかけたバブル経済の終わりが1991年2月で、当時の水準が日経平均株価2万5,000円台でした。その時期に接近しつつある株価水準には、行き過ぎ感を持つ方もいるのではないでしょうか。なにしろコロナ禍でダメージを受けた足元の景気回復に実感が持てない上、新型コロナの感染者数も高水準のままで、今後も予断を許さない状況です。そこで今回、代表的な企業評価の尺度から見て足元の株価水準の妥当性を検討してみました。
GoTo見直しで日本経済は?国内旅行者数と株価の関係を調べてみた
データを使うには工夫が必要
新型コロナの感染者が増加するなか、11月21日に菅首相がGoTo キャンペーンの見直しを表明しました。これを受けて一時的ですが、札幌や大阪ではGoToトラベルから外れることが決まりました。今後も新型コロナの感染拡大が続けば、GoToトラベルから除外される地域が増えるかもしれません。コロナ禍の影響で我が国の景気は厳しい状況にあります。しかし足元の政府発表からは “持ち直しの動き”が見られるようです。内閣府が発表する景気ウォッチャー調査は地域別の景気が捉えられるものです。そのなかで、GoToトラベルが地域経済の活性に貢献していることが述べられています。また景気の鏡と言われる株価ですが、日経平均株価が11月17日に29年5ヶ月振りに2万6,000円台を回復するなど堅調に上昇してきました。このように、景気は持ち直しを見せていますが、GoTo キャンペーンの見直しは、それに水を差すかもしれないと懸念されています。そこでこのGoToトラベルで回復を見せる国内旅行と株価がどの程度の関係があるかを実際に確認してみましょう。
「ディスクロージャ―優良企業」の株価は上がる?3年後の株価まで調べてわかった面白い結果
会社経営の自信を表す尺度
少し前になりますが、10月に「ディスクロージャー優良企業」が日本証券アナリスト協会より発表されました。10月15日付の日本経済新聞に発表記事が掲載されていたので、目にした方もいるのではないでしょうか。“ディスクロージャー”は情報開示という意味です。「投資家に対して、経営実態や活動状況の開示が充実している」と企業分析の専門家である証券アナリストが選んだ企業になります。今年の“優良企業”には東証1部企業からは18社が選ばれました。情報開示が優れた企業に関しては、これまで学術的な研究分野では株価は上がるという報告が見られてきました。そこで今回は、証券アナリストが選んだ「ディスクロージャ―優良企業」が投資の銘柄を選ぶ基準として使えるのか、検証してみました。
「米大統領選後は株高」相場のジンクスは今年もあてはまるのか
勝利政党によって差はあるのか
11月3日は我が国の景気や株価の行方まで大きく左右する米国の大統領選挙が行われます。再選を目指す共和党のトランプ大統領ですが、事前の世論調査では新型コロナの感染拡大やそれに伴う景気後退、そして黒人男性の死亡事件に起因する混乱から支持率を下げています。民主党の候補である前副大統領のバイデン氏が優勢と見られていますが、“隠れトランプ支持者”も多いと言われ、世論調査そのままの結果から大統領選の予測は難しいとされています。既にマスコミ各社は、大統領選の勝利予測や、その後の政策や景気への影響はどうなるか様々な予想をとりあげています。増税を計画するバイデン氏が勝利すると株式市場にマイナスと見られており、現状では“トランプ株高・バイデン株安”が多くの投資家の見方になっています。そこで今回は、視点を変えて“株のジンクス”から大統領選と株価との関係を紹介します。ちなみに株のジンクスのことを業界では“アノマリー“と呼んでいます。
“ラニーニャ現象発生”で株価はどう動くか
寒い冬に向けての株価の動き
先月、気象庁から世界的な異常気象の原因となる“ラニーニャが発生したとみられる”との発表がありました。ラニーニャは南米ペルー沖の海面水温が低くなる現象です。この冬にかけてラニーニャが続く可能性は70%と高い確率になるとのことです。ラニーニャが発生すると、日本の気候はどのように変化するのでしょうか。南米ペルー沖の海面水温が下がるのと対照的に、フィリピン近海の海面水温が上昇します。すると水蒸気が増えて雲が多く発生し、日本では雨の日が多い秋となります。さらに冬にはシベリアからの冷たい空気が流れ込みやすく、寒冬の傾向があります。気象の変動は人々の生活に影響を与えるものですから、このラニーニャも経済、そして株価の動きを左右するようです。今回はラニーニャと株価の関係を取り上げます。
「自転車を買う人が増える」のは好景気?不景気?販売台数から相場を読む方法
2つの角度から見た自転車販売
昨今、“自転車を買う人が増えている”というニュースを耳にしませんか。ステイホームだった時の運動不足解消に役立つという声があるほか、気軽に“密”を避けて移動ができることから、通勤用に利用する人も増えているようです。また、コロナ禍で増えたフード宅配でも自転車のニーズが高まっています。経済産業省が調査する生産動態統計で見ると、緊急事態宣言が全国で解除(5月25日)された翌月の6月と、直近発表分の7月の2ヶ月間を合計した国内の自転車販売台数は前年同期間と比べて13.7%伸びました。このように足元で大いに活躍している自転車ですが、実は株式市場と深いつながりがあります。今回は自転車と株価の関係を紹介します。
首相は若いほうがいい?調べてわかった首相の年齢と株価の意味深い関係
経験や人脈が重要な点が、年齢と株価の関係にも表れるのか
安倍総理の辞意表明から“新首相”選びが注目されています。9月14日に自民党内で行われる総裁選で後任が決まり、17日にも召集される臨時国会の首相指名選挙で決定する流れとなっています。出馬表明した菅義偉官房長官(71歳)、岸田文雄政調会長(63歳)、石破茂元幹事長(63歳)のなかで見ると、自民党内の主要派閥の支持を受けた菅氏が優勢との見方が強くなっています。菅氏が新首相となれば、アベノミクスの政策を引き継いで、新型コロナ対策と景気回復という足元の大きな2つの課題に取り組んでいくため、政策的にこれまでの流れと大きな違いがないと見られています。すでにマスコミ各社では、新首相が決まった場合に政策や景気への影響はどうなるか様々な予想がとりあげられています。そこで本稿では、ちょっと違う視点から株価への影響を考えてみます。注目したのは“首相就任時の年齢”です。年齢と在任期間の株価がどうなったかを調べてみました。<写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ>
"9月相場"は天気次第?残暑と株価のわかりやすい関係
例年熱い夏は消費が活発
暑い夏です。夏が暑いとビールや清涼飲料水が売れるため関連株が上昇しますし、経済全体で見てもエアコンが売れたり、夏物関連の消費が良くなることから株式市場全体もそれを反映して上昇します。しかし、それにはちょっと注意が必要だというお話を2018年の7月20日の記事「『夏が“特に”暑いと株価が高い』って本当?」で取り上げました。過去のデータからの分析では極度に暑いと8月の株価にはマイナスとの結果が見られました。あまりに暑いと、むしろ外出を控えて消費が減ることが背景にあると考えます。猛暑と8月の株価は意外に単純な関係ではないようです。では9月の株価はどうなるのでしょうか。実は、残暑と9月の株価にはとても単純な関係があります。このところの気象予報では残暑が厳しくなるとの見込みがあるようですが、今回は残暑と株価の関係を紹介します。
コロナ特需に騙されない!プロが教えるこれから活躍が期待できる銘柄の選び方
注目業界をイメージするだけでなく、業績数字のチェックも
コロナ禍で私たちの生活も大きく変わりました。自宅から出かけるときはマスク着用がマナーになり、ソーシャルディスタンスを確保する生活が強いられています。“ニューノーマル”と言えば聞こえ良いですが、様々な制約を受けた生活で心理面でも後ろ向きになりがちです。人々の消費も落ち込み、景気は厳しい状況になっています。とはいえ、生活スタイルが変われば新しいニーズが生まれます。そして将来のニーズに対応していく業界が今後の景気回復のけん引役として期待されます。今回はニューノーマルで期待される企業の選び方を紹介します。
「CSR教育を従業員にする会社」は株価パフォーマンスも好調なのか
企業の社会的責任を果たす姿勢が重要
企業が成長して利益を得るには、高い技術を持って良い製品を作る必要があります。とはいえ技術を蓄えたり、優れた製品を生み出すのは、そもそも“人”です。このため会社では良質な人材、その能力を引き出す組織作りが重要です。これが「企業は人なり」と言われるゆえんで、企業は優秀な人材を育てていく必要があります。1月20日の記事『社員研修に熱心な会社』は株価パフォーマンスも好調なのか』では、企業は人なりを実践して社員を育てる姿勢が強い会社の株価が高いことを紹介しました。今回の連載は、同じ社員教育でも一歩進んだ観点です。“従業員へのCSR教育を導入している企業”の株価について調べてみました。
アフターコロナに重要な「個人情報保護」 内容公表は株価にどう影響する?
投資対象を考える際の新基準
アフターコロナの世の中はどのように変わっていくのでしょうか、専門家から一般のみなさんまで世界中の人々がさまざまな将来の“姿”について考えています。このところオンライン飲み会が流行になったり、学校も遠隔授業になったり、在宅勤務が増える中で会議も自宅からオンラインのケースも増えています。イマイチ勝手もわからないし、煩わしいとおもっていた遠隔授業やオンライン会議も現地に集まらなくて済むし、慣れてくると便利と思う方も少なくないでしょう。もともと会社側も出張による交通費負担を減らせるなどから、テレビ会議なども使われてきました。今回のコロナ騒動は、よりオンライン化を加速すると見られます。これまでシステム投資をしてこなかった企業も仕事の効率性を高めるという観点から、今後は社外からのPC接続ができるようにしていく流れが続くでしょう。となれば、コンピュータウイルス対策、セキュリティへの注意も払わなければなりません。個人情報の管理も重要になります。社外から会社のPCに接続ができるようになるなら、情報漏洩への厳格な対応が必要となります。別の場所で会社の顧客情報が閲覧可能になり、社外の人の目に触れてしまうかも
「企業とメインバンクの結びつき」は株価にどんな影響を与えるのか
長期スタンス投資は企業統治の観点が重要
5月6日に期限を迎える緊急事態宣言ですが、未だ終息への道筋が見えにくい中で延長の可能性も見られています。従業員の休業手当を国が助成する雇用調整助成金などの制度もありますが、自粛が要請された企業では、営業していなくてもお店の賃料や従業員の給料に加えて、会計の帳簿上は過去の設備投資の償却もかかるため、費用が膨らんで赤字となるなど厳しい環境が続いています。こうした中、どのようにお金を調達して、資金繰りしていったら良いかが問題となる企業も少なくないようです。業績が赤字でも資金を調達して、日々のお金の支払いをしのげば、会社は倒産を免れます。そしてメインバンクとの関係が強い企業は、比較的、そこからお金を借りやすいと見られます。今回はメインバンクの結びつきと株価との関係を調べました。
人生100年時代「取締役の年齢」は株価パフォーマンスを左右するのか
「社長の高齢化と業績悪化」と同じ?
企業情報データの分析で知られる東京商工リサーチは、全国社長の年齢調査を毎年公表しています。昨年公表された2018年の集計では、社長の平均年齢が「前年より0.28歳伸びて61.73歳だった。調査を開始した2009年以降、最高年齢を更新した」と記載されています。人生100年時代。高齢者も元気に活躍し続けられる社会という観点からは喜ばしいことかもしれません。しかしこのレポートでは気になるデータも示されています。“社長が高齢化している会社の業績が悪い”ということです。この理由の一つとして社長が高齢化するほど経済環境の変化への対応が遅くなることがあります。実は、こうした“社長の高齢化と業績悪化”との関係は昔から言われる話です。今回、取り上げるのは、社長一人ではなく、もう少し対象を広げて”取締役の年齢“と株価の関係です。
「業績連動報酬制度」の導入は株価に好影響をもたらすのか
理論上の効果は実際に出ている?
近年、会社の業績と経営陣の報酬が明確に連動する「業績連動報酬制度」を導入する会社が増えてきました。この制度は、取締役など経営陣の年収について、全額を固定するのではなく、一定割合を業績の達成度などにより決定しようというものです。背後には、業績と報酬の一部を連動させることで、業績向上に対する経営陣のモチベーションを引き上げる狙いがあります。つまり理論的には、業績連動報酬制を導入していると、その企業の業績は上がりやすくなると考えられます。そこで、業績連動報酬制度を導入している会社の株価パフォーマンスを調べてみました。
「オーナー企業」の株価パフォーマンスは良いのか、悪いのか
社長の持株比率と株価の関係
社長が自社の持株を多く保有している会社というと、どんなことをイメージしますか。社長が創業者だったり、それを一族が受け継いでいる会社を想像する方も少なくないでしょう。ともするとワンマン経営が想起されるため、そういった会社に投資して株主になっても魅力があるのかな、と疑問を持つかもしれません。そこで、社長の株式保有比率と株価の関係を調べてみました。
株価は会議室で決まる?「取締役会の出席率」は企業評価を左右するか
出席率公表企業のパフォーマンスを調べてみた
会社にとっては、出資者となる株主との対話を行う株主総会が最も重要な集まりです。一方で、会社の最高意思決定機関といえば取締役会です。近年は取締役会のあるべき姿について、さまざまな議論がありますが、株主から経営を任された役員が会社の経営方針を定めたり、業務執行の決定をしたり、執行者の監督を行います。ですので、取締役会は会社経営のうえで最も重要な会議になるでしょう。最重要会議ですから、取締役は当然、取締役会に出席する義務があるとされています。そこで、取締役会の参加率の開示と株価の関係を調べてみました。