Market Plus
明日の投資に何か1つ、プラスの価値を――。難しく捉えられがちな投資の話を自分の事として考えるためのマーケット記事です。
令和の株式市場はTOPIX見直しで波乱の幕開けに?
東証1部の基準見直しがトリガーか
4月1日に行われた新元号の発表直後、「令和」と社名が似ているレイ(証券コード:4317)や、万葉集も取り扱う文教堂グループホールディングス(9978)が一時的に急騰し、日経平均株価もやや上昇しました。新元号に移行する前から、株式市場ではすでにさまざまな思惑が交錯しているようです。「令和」では天皇陛下の崩御を伴わない改元となるため、従来のような自粛ムードとは異なり、お祝いムードとなることが予想されます。巷では“ご祝儀相場”を期待する声も多く聞かれ、ポジティブな予想が多いように思われます。ただし、足元では日本取引所グループが東証1部の上場基準の見直しを進めています。状況によっては市場の値動きが上下に激しくなる可能性もあり、「令和」相場は波乱の幕開けとなるリスクに注意しなければなりません。
迫る大統領選、インドネシア経済に注目すべき2つの理由
停滞中の景気は浮揚するか
2019年は、いくつかのアジア新興国で実施される選挙が注目されています。そのうち、すでに3月24日に、タイで下院総選挙が実施されました。実施前の最大の注目ポイントは、現在の暫定軍事政権から民政に移管させることができるか、という点でした。現時点ではまだ最終結果は確定していないものの、これまで通り、軍事暫定政権が続くことになりました。その意味で、今回のタイ下院選挙は事前に注目されていたほど影響を与えなかったといえます。そして、タイ以上に注目されるのが、4月17日に実施されるインドネシアの選挙です。選挙直前のインドネシアの景況感と先行きの見通しなどについて、考えてみたいと思います。
4月中旬がドル円相場の「押し目買いチャンス」である理由
市場のノイズを投資に生かす
4月5日に発表された米国の3月雇用統計は、非農業部門就業者数(NFP)が前月比+19.6万人と、市場予想の中央値である同+17.7万人に対して強めの内容となりました。しかし、平均時給が同+0.1%(予想:同+0.3%)、前年比+3.2%(予想:同+3.4%)となったことで、米金利が低下した結果、ドル円相場は小動きでした。これまでに発表されていた中国の3月製造業購買担当者指数(PMI)の改善と、米中通商交渉に対する楽観的な見通しを受けて、巷に流行していた2019年のネガティブ見通しはフェードアウトしつつあります。前回記事「弱い米2月雇用統計でも、今が押し目買いのチャンスなワケ」で筆者が触れた「ドル円は押し目買いのチャンス」というスタンスは継続すべきと判断しています。
10連休で顔ぶれは?「ゴールデンウィーク関連銘柄」を総点検
経済効果はどこまで波及するか
今年もゴールデンウィーク(GW)が近づいてきました。今年のGWは4月27日の土曜日から5月6日の月曜日までの10連休になります。これは、皇太子さまが天皇に即位する5月1日が今年限りの祝日になり、国民の祝日を定めた祝日法で「その前日及び翌日が『国民の祝日』である日は、休日とする」と定めていることから、祝日の4月29日と5月1日の間にある4月30日と、5月1日と5月3日に挟まれている5月2日が休みになるからです。新しい天皇の即位による祝賀ムードが高まる中で、過去に経験したことのない長い連休となる今年のGWは多くの企業に経済効果を与えそうです。ここでは、GW10連休の恩恵を受けそうな企業を紹介したいと思います。
「値上げ」をヒントにした有望銘柄の見極め方
うまくいく企業、いかない企業の差は?
最近、食料品や飲食店などの値上げのニュースをよく耳にします。最大の要因は人出不足を背景にした人件費と物流コストの増加でしょう。しかし、値上げを業績回復につなげたヤマトホールディングス(HD)の例もあれば、逆に値上げ後に来店客数が減少し、業績低迷が続く鳥貴族の例もあります。値上げがうまくいく企業といかない企業は、どこに差があるのでしょうか。差が付くポイントがわかれば、銘柄選びのヒントになりそうです。
脱・運頼み投資!長期運用に欠かせない「投資関連本」3選
“投資の伝道師”が自信の推奨
以前の連載記事において、筆者がお会いした長期的に投資で成功している方の特徴をご紹介しました。その中でポイントの2つ目に挙げたのが「常に学ぶ」ことでした。本当に、私がお会いした成功者の皆さんは例外なく、継続的な学びを続けていらっしゃいます。そういった姿勢に触れると、私自身ももっと勉強せねばという思いを強くします。株式投資の世界は、どれだけ勉強してもそれが必ずしも成果に結びつくわけではありません。ものすごく時間をかけて精緻な分析を行って投資した銘柄の株価が下落することもあれば、逆にまったく勉強せずに選んだ銘柄がたまたま運良く大幅に上昇することもあるでしょう。株式投資がギャンブルに近いと思われている理由の1つはこういったところにもあるのかもしれません。それでも私は株式投資で成功するためには継続的な学びを続けることが必須であると強く信じています。運頼みの投資は長続きしません。逆に不運に見舞われることも当然あります。継続的な学びを続けていてこそ、不運に見舞われた際のダメージを小さくし、幸運が舞い降りたときのリターンを増やすことができると思います。
景気減速に負けない“真の「下町ロケット」銘柄”を探し出す
これが“リアル佃製作所”の7銘柄だ
機械業界の外需に陰りが生じています。工作機械の受注状況は、2018年10月以降、前年同月比でマイナスに転じ、2019年2月まで続いています。背景としては、スマートフォン新モデルの設備投資減少や、米中貿易摩擦に起因する中国を中心とした設備投資の手控えなどが考えられます。このような中、人気ドラマ「下町ロケット」の佃製作所のように、ニッチな分野での強みを武器に、厳しい事業環境を乗り越えて成長するポテンシャルのある機械関連メーカーをご紹介したいと思います。
新元号ご祝儀相場で303円高、日本株はどこまで持ち直す?
グローバル比較で出遅れ目立つが…
年明けから堅調な株価推移を続けてきた世界の株式市場は、足元では上昇が一服傾向にあります。グローバルの株式市場を牽引してきた米国株も、バリュエーション(予想PER)の切り上げに頼った株価上昇には限界があるもようで、値動きは落ち着いた状態にあります。今後の展開としては、米中貿易問題の決着と、1~3月期決算の発表シーズン(4月中旬から5月上旬)における業績見通しの改善が、さらなる株価上昇のカギを握ることになりそうです。それまで米国株はしばしの充電期間を経る可能性があり、その他の市場も米国株見合いで方向感のない相場展開となることが予想されます。英国ではEU離脱の方針をめぐり、依然として議会が混迷を続けています。もはや、「合意なき離脱」か「長期の離脱期限の延期」かの二択とも言われており、予断を許さない状況に変わりありません。それでも、「合意なき離脱」は回避されると見る向きが大勢ですが、英国・欧州株に対する投資家の慎重姿勢は継続すると考えられます。3月に著しい株高を実現させた中国株についても、政府による景気下支え策への期待を先取りした側面が強いことから、目先は利益確定の売りに押される展開もイメージ
株式市場の回復基調は変わる?変わらない?
2019年はリスク資産の安定に期待
以前の記事「日経平均株価が今年前半にも2万2000円台に回復し得る理由」で、今年の投資戦略として、前半はこれまでの売られ過ぎからの回復狙い(リバーサル戦略)、その後は成長機会を享受する投資戦略として新興国市場に期待、ということをお伝えしました。そこで今回は、2018年末から回復基調にある世界の株式市場について、マクロの観点と主要市場の上位業種の騰落率の動きからその背景をひもといてみます。
物価上昇は行き詰まり、日銀は追加緩和に踏み出すのか
足元では物価上昇率は鈍化する可能性大
先週、総務省は消費者物価指数(全国、2019年2月分)を発表しました。総合指数で前年同月比0.2%の上昇、生鮮食料品を除く総合指数は同0.7%の上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は同0.4%の上昇となりました。日銀の掲げる「物価安定の目標である2%」とは、距離感のある結果と言わざるを得ないと考えます。
膨らむ「教育費」、制度改定の負担増にどう備える?
変わる入試共通テストと新学習指導要領
入学、進級シーズンの4月を控え、家計にとって教育費の負担が気になる季節となりました。教育費は、人生で最もお金がかかる費用の一つです。学習塾や家庭教師など、子供にとって理想的な教育環境を整えようとすれば、子ども一人にかかる教育費は相当なものとなります。特に今年以降は、私たちの想定よりも高額な教育費がかかる可能性があり、注意が必要です。大学入試共通テストの実施や新たな学習指導要領の施行が2020年度に控えている中、思わぬ教育費の負担が家計に襲いかかるかもしれません。そこで、まずは教育課程ごとに教育費の変化を確認したいと思います。
中国版ナスダック「科創板」が盛り上がりをみせるワケ
中国当局肝いりの新市場
「科創板(technology innovation board:科学イノベーションボード)」をご存知でしょうか。「科創板」とは、上海証券取引所に設立予定のハイテク新興企業に特化した新市場です。2018年11月に中国の習近平・国家主席が上海で開催された「第1回中国国際輸入博覧会」で行った基調講演の中で初めて「科創板」の創設構想について言及し、以降、中国国内で注目度が高まっています。
“化粧品業界”への投資が中長期の資産形成に向いているワケ
不確実な中で確実性の高さに注目
将来の資産形成を考える場合、株式は1つの重要な運用ツールであり、中長期を見据えて成長の見込める銘柄に着目するのが投資の王道です。とはいえ、10年後、20年後、30年後を予測し、技術革新の先端を行く企業や業種を予測することは困難です。中長期を見通すことが難しい点も、株式投資をためらってしまう1つの理由かもしれません。しかし、変化が激しい世の中でありながらも、当初の予想から方向性がそれほどぶれることなく、見通せるデータがあります。それは人口データです。人口予測のように、ある程度見通すことができる将来像をもとに、手堅く中長期投資を行うのも1つの方法でしょう。今回は、今後世界的に人口が増加するという人口予測に基づき、これから着実な成長が期待できる業界についてご紹介したいと思います。
日本株を物色するなら今!底打ちが迫るとみる理由
新年度相場に期待
日経平均株価は先月同様、3月SQ(株価指数先物取引等の特別清算指数)算出に前後して一時急落を強いられたものの、今回も早期の切り返しで日本株の底堅さを確認する格好となりました。世界に目を転じると米NASDAQ総合指数やドイツDAX指数などは昨年10月以来の水準を回復するなど、いち早く、またより明確な上値追いの気運を示しはじめています。大手メディアが殊更に景気不安を煽るなか、「世界の景気敏感株」とされる日本株はより厳しいプレッシャーに晒されましたが、過剰な警戒の修正タイミングは着実に接近しているのではないでしょうか?
「中国景気の減速」というの、そろそろやめませんか?
経済成長と景気循環は別の話
「中国景気の減速」という言葉は、最近、枕詞のように使われています。「中国景気の減速で」日本の輸出が落ち込んだ、「中国景気の減速で」上場企業の業績が大幅減益となった、等々です。どんな悪いことも、とりあえず「中国景気の減速で」と言っておけば説明がつけられそうな風潮です。たしかに、中国の景気は芳しくありません。2018年の実質国内総生産(GDP)成長率は6.6%と28年ぶりの低水準でした。2月の輸出は前年比で2割も減少、1~2月の工業生産の伸びもリーマン・ショック直後以来、10年ぶりの低水準でした。
報道された東証の再編案は何が問題なのか
国内新興市場の歴史と問題点を解説
東京証券取引所による、株式市場の再編機運が盛り上がっています。焦点とされているのは(1)東証1部の再編、(2)新興市場の集約、(3)上場廃止の基準引き上げ、の3点に絞られているようです。日本の新興市場はどのような構図となっているのでしょうか。ここでは新興市場の現状と問題点などについて、また、直近3月16日に報じられた再編案についても考察してみたいと思います。
もはや円は買われない?衝撃的な額が示す円安圧力の強さとは
金利差ではなく実需の影響力
ドル円相場と日米金利差の相関が高いことはよく知られていますが、このところ必ずしもそうとは言えません。日米金利差とは関係なく、ドルが底堅い印象です。逆に言えば、円が買われにくくなっているということです。その理由を探ってみたいと思います。
2020年に再加速?新興国の経済成長はどれほど期待できるのか
新興国への資金流入は継続
以前の記事「日経平均株価が今年前半にも2万2000円台に回復し得る理由」で、今年の投資戦略として、前半はこれまでの売られ過ぎからの回復狙い(リバーサル戦略)、その後は成長機会を享受する投資戦略として新興国市場に期待、ということをお伝えしました。そこで今回は、安定した経済成長が期待される先進国に対して、高い成長率が期待される新興国について掘り下げてみようと思います。