Market Plus
明日の投資に何か1つ、プラスの価値を――。難しく捉えられがちな投資の話を自分の事として考えるためのマーケット記事です。
米中貿易戦争開戦、そのとき中国金融市場はどう動いた?
注目すべきは「外より内」
7月6日、トランプ政権は340億米ドル相当の中国製品に対して25%の追加関税を発動し、米中貿易戦争における最初の実力行使に出ました。これに対して、中国は即座に反撃し、同額の米国製品に対して同率の追加関税を発動しました。今回の関税発動をきっかけに、米中貿易戦争は新たな局面に入り、今後両国の出方次第で報復の応酬が更にエスカレートする可能性があります。 米中貿易戦争を巡る緊張感が高まる中、中国本土の代表的な指数である上海総合指数と深セン総合指数の年初来騰落率はそれぞれ▲14.9%と▲17.1%と、他の主要国の指数と比べて特に株価パフォーマンスの悪さが目立っています(年初来騰落率は7月9日時点)。今回は中国本土株式市場の株価が大きく下落した要因と見通しについて考えてみたいと思います。
米中貿易チキンレースに号砲、金融市場への影響は?
強い米6月雇用統計がドル下支え
3月に米国が輸入鉄鋼・アルミニウムに関税を賦課する決定を下して以来、事あるごとに「米中貿易戦争懸念」は円高・株安の材料となり、円高論者の主張の論拠とされてきました。しかし、足元のドル円は堅調に推移しています。強い米景気指標と年4回の米利上げ見通しによって、世界(米中)貿易戦争勃発の可能性を吹聴していた円高論者の勢いが減殺されたといえるでしょう。
異例パターンの高値圏、「NT倍率」上昇をどう読むべきか
株価トレンドに変化?
株価のトレンドや勢いを見るうえで、参考になる指標や指数は数多くありますが、それらの中で昔からある指標の1つに「NT倍率」があります。従来は、輸出株やハイテク株主導の株価上昇局面、あるいは海外投資家が買い越しているサインと言われてきました。そのNT倍率が1999年3月以来の高値圏まで上昇しているのですが、直近の株価はどちらかというと、膠着かつジリ貧です。これは一体どういうことなのでしょうか。
夏到来!今からでも間に合う「サマーストック」の見極め方
夏物不振の小売り株に出直り好機?
首都圏は梅雨が明け、早くも暑い夏がやってきました。関東甲信地方が6月に梅雨明けするのは気象庁の統計開始以来、初めてのことです。今年の夏は猛暑の予想で、この先もまだまだ暑さが続きそうです。こうなると、株式市場ではサマーストックの出番です。猛暑となるとビール、飲料、アイスクリーム、エアコンなどが売れるから、それらの関連企業に注目が集まります。しかし、暑い夏が来るなら猛暑関連銘柄を買おう!というのは、かなり素人的発想です。
がん治療に第4の道?「免疫療法」で注目の新薬企業
「免疫チェックポイント阻害薬」の効用
生涯で日本国民の2人に1人がかかると言われている「がん」。 その治療に今、もともと体に備わっている「免疫」という仕組みを活用した新薬が開発され、注目を集めています。がん細胞は、正常な細胞の遺伝子が変化してできた異常な細胞で、体内でどんどん増えていこうとします。一方、がん細胞は免疫によって異物と見なされ、体から取り除かれていきます。それではなぜ免疫があるにもかかわらず、がん細胞が増えてしまうのでしょうか。実は、がん細胞自身が性質を少しずつ変化させて、免疫による攻撃から巧みに逃れているのです。がんの従来の治療法、いわゆる3大治療法としては、がんを切り取る「手術」、がんに放射線を当てる「放射線療法」、抗がん剤などの薬を用いる「薬物療法」があります。そして今、第4の治療法として、体に備わっている免疫の力を高め、がんを攻撃する「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれる免疫療法が注目されています。
これからが本番?米IT企業の超躍進
IT市場の拡大傾向が一段と顕著に
6月は米朝首脳会談や米FOMC、OPEC総会といった政治・経済イベントが豊富で、貿易摩擦問題等を巡るトランプ大統領の発言なども収まることなく、引き続き株式市場を取り巻く環境には様々な不安要因がありました。しかし、事の重大さに比して、市場はファンダメンタルズを見極めようという冷静さを取り戻しつつあるようです。市場が注視するファンダメンタルズは好調です。米国はS&P500社ベースで2018年に20%を超える増益が予想され、2017年の12.8%増益から加速すると見られています。こうした好業績を背景に、各社とも将来への布石を打つべく、投資を積極化しています。その中でも、生産性の向上や付加価値創出を意図したIT(情報技術)投資が増えていくとみられます。
ドル円相場「年末にかけて円安進行」と見る3つの根拠
2018年後半の為替相場を展望
2018年もまもなく折り返し地点を迎えます。足元では1ドル=110円近辺でモミ合う動きとなっているドル円相場ですが、年明け間もない1月8日に今年前半の高値1ドル=113円40銭をつけた後、3月にかけて一方的なドル安と円高が進む場面がみられました。9円近い振れ幅があった今年前半のドル円相場の背景を振り返る中から、年後半の相場を読み解くヒントを展望してみたいと思います。
2018年下半期の株式市場、相場を読むポイントは?
年末の日経平均は今より上がるか
2018年も、あと数日で下期に突入します。マーケットを見ていると、毎年、何かしらのイベントが起きて、相場が大きく動いていきます。過去のイベントをしっかりと学習することが、将来の投資成果をより良いものにすると思います。今回は1つの節目として、今年上期を振り返りつつ、下期のポイントをまとめてみます。
史上最高値からの急反落、ベトナム株は復活するか
存在感、指数にじわり
ベトナムでは今、海外投資家による株式保有制限の緩和や、国有企業の民営化を背景として大型企業の上場が相次ぐなど、株式市場の整備が進められています。そのような中、ここ1~2年投資家の間で期待が高まっているのが、MSCI新興国指数へのベトナム株の採用です。折しも先週、米国のMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は定例の市場分類見直しを発表しました。ベトナム株の行方はどうだったのでしょうか。
戻りの鈍い日本株、相場反転はいつ?
グローバル市場見通しから読み解く
1年を通じても最も重要な週と位置付けられた6月11~15日の週を、おおむね想定通りの結果で乗り切りました。グローバルの金融市場を覆う不透明感は一部で後退したと判断されましたが、すっきりと解決しなかったのが米中の通商問題です。依然として先行きに警戒感がくすぶっています。
メルカリ上場が及ぼすマザーズ市場への影響度は?
今年最大の新規上場銘柄
フリーマーケットアプリ最大手のメルカリが6月19日、東証マザーズ市場に新規上場しました。同社は、以前から日本の「ユニコーン企業」(10億ドル以上の企業価値を持つ企業)として注目を集めてきたベンチャー企業です。そんな有力ベンチャーの上場は、日本の新興市場にどんな影響を及ぼしうるのでしょうか。時価総額と市場への寄与度の両面から考えてみます。
「経済サプライズ指数」の急落は相場一変の“前奏曲”か
貿易摩擦悪化で中国は大丈夫?
各国の経済指標が、市場予想を軒並み下回り始めました。緩やかな景気回復と低金利が作り出した「適温相場」の余韻も、いよいよ終わりに差し掛かっているのでしょうか。
女性役員数と株価で見る、中小型株のパフォーマンス
女性役員が多いと株価は上がる?
企業における女性登用への注目度が高まっています。背景には、いくつかの要因が考えられます。ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の広がりや、企業統治(コーポレートガバナンス)改革によって人材の多様性が求められるようになってきたこと。さらには、政府が推し進める女性活躍推進施策や、企業がコーポレートガバナンス報告書や統合報告書などで積極的な情報開示をしていることなどが挙げられます。一般的に大企業のほうが女性の登用率が高いといわれていますが、中小型企業ではどうなのでしょうか。今回は、中小型企業の女性活躍推進の状況と、業績・株価パフォーマンスの関係を観測しました。
気迷いムードのドル円相場、今後のメインシナリオは?
軽視できない日米欧金融政策の差異
今年のドル円相場を振り返ると、年初から円高に振れましたが、3月下旬以降は円安基調に戻っています。もっとも、ドルの上値も限定的で明確な方向感が定まっていません。市場の見通しも円高派、円安派に分かれ、コンセンサスがない印象です。こうした気迷いムードは投機筋のポジションにも表れています。今後、レンジ相場は円高、円安どちらに抜けるのでしょうか。
J-REITの中長期展望、東京五輪は転換点になるのか
金融環境と不動産市況をどう読む?
J-REIT(不動産投資信託)とは簡単に言えば、(1)投資家から資金を調達し、(2)不動産へ投資して賃貸するシンプルな事業体で、これが直接バランスシート(貸借対照表)の資金調達サイドと資産サイドとなります。今回は、この2つの側面から、J-REIT市場の中長期的な展望を概観します。
シーズン到来、個人投資家が「株主総会」に行くメリット
6月下旬は株主総会のピーク
6月はサッカーのワールドカップが開幕するということでテレビでも少しずつ盛り上がりを見せています。しかし、個人投資家にとって6月といえば、株主総会のシーズンでしょう。今年も非常に多くの上場企業が今月下旬に株主総会を開催します。今回は、株主総会について勉強しつつ、個人投資家が何に注目すべきか、まとめていきます。
為替市場を覆う「新興国売り」は一体どこまで続くのか
通貨安の国の実情とは?
最近の世界市場における資金の推移を見ると、おおむね「先進国買い、新興国売り」の傾向が強まっています。特に、通貨の面でその傾向が際立っています。こうした局面は、いつまで続くのでしょうか。通貨安傾向の強まっている国を中心に、それぞれの状況を確認しておきたいと思います。
「貯蓄ゼロ」世帯が増える中での投資の考え方
世論調査から考える資産運用とは
日本銀行が事務局を務める金融広報中央委員会のアンケートによると、「金融資産をもっていない」世帯、いわゆる「貯蓄ゼロ」世帯が増えています。貯蓄ゼロ世帯が増えているものの、老後の生活について「心配である」と回答した世帯は8割程度と高水準で推移しており、老後の生活に不安を感じていないわけではないようです。しかしながら、「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」との回答がじわりと増加しています。老後に不安があり、資金を積み立てる必要を感じながらも、切迫感に乏しく、金融資産の保有につながる行動には至っていないと考えられます。