Market Plus
明日の投資に何か1つ、プラスの価値を――。難しく捉えられがちな投資の話を自分の事として考えるためのマーケット記事です。
輸出関連株が“円高でもあまり売られなかった”理由
株価のベースはやはり「業績」?
株価は為替レートの影響を受けることがよくあります。その中でも輸出関連銘柄は、円安になると買われ、円高になると売られやすいと言われています。そして為替レートが動くたびに、為替感応度の高銘柄が話題になります。5月も前半に円安が進みましたが、後半は円高となり、日経平均株価も下がりました。通常であれば、輸出関連銘柄が一番売られるパターンのはずですが、業種別インデックスを見ると日経平均と同じぐらいの下落率に留まっています。どういうことでしょうか。
イタリア政局混乱に見る「市場のストーリー」の脈略のなさ
個人投資家はどう向き合うべき?
5月末、南欧発のリスクオフ(回避)の波がマーケットを揺らしました。欧州の株式市場やユーロが売られたのはもちろん、米国のNYダウ平均も一時500ドルを超える急落となりました。むろん、動揺は日本にも及び、大幅な株安・円高となりました。一体なぜ、金融市場はそこまで揺さぶられたのでしょうか。そして、個人投資家はどう対処すべきだったのでしょうか。検証してみたいと思います。
相場軟調局面での「中小型株投資」はアリか、ナシか
“変動幅大きく危険”は本当?
先週は日経平均株価が大きく下げました。市場が過度に悲観的になる不安定な局面では、企業の本来的価値に対して株価が過小評価され、割安に放置される場面が多いといわれています。相場変動の大きい局面では、流動性の低い中小型株は株価のボラティリティー(株価変動)が大きく危険だとの見方もあります。しかしこれまで、中小型株は市場環境のさまざまの場面を乗り越え、大型株を上回るパフォーマンスを上げてきました。今回は、中小型株投資の有効性について考えてみましょう。
ファンダメンタルズ相場を打ち砕く“次の投機材料”は何か
米5月雇用統計で投機筋は一掃
前回の筆者記事で、マーケット関連の各種報道のトーンが変わり始めたようだとお話しましたが、世界貿易戦争勃発の可能性を指摘していた円高論者たちは1ドル=111円台というル円の回復を受けて一掃されました。引き続き、米国の保護貿易姿勢やドナルド・トランプ大統領の発言に対する懸念は残っているものの、米国の経済指標が非常に好調であることから、市場の目は米国のファンダメンタルズと利上げに移ってきていると思われます。この先に“波乱の芽”は潜んでいるのでしょうか。そして、それが顕在化するとすれば、Xデーはいつなのでしょうか。
金融市場を揺るがす「南欧政治リスク」の実情
欧州危機は再来するのか
ここにきてイタリアなど南欧の政治リスクがにわかに注目を集め、ユーロの下押し圧力やリスク回避の円高材料となる場面がみられています。これまでの経緯と今後のポイントについて考えてみたいと思います。
日本の運送料から考える「米長期金利」の先行き
一見無関係な2つの事象を読み解く
先日、ニュースを読んでいて目についた記事が2つあります。1つは先日発表された日本の消費者物価指数についてです。大手宅配業者の値上げの影響で、運送料が上昇し続けているというもの。もう1つは最近の米国金利の上昇についてです。一見、何の関係性もない2つの記事ですが、実は見方によっては米国金利の行方を予想するために重要なヒントを与えてくれるのです。
地方選挙で国政与党が圧勝、「インド株」の投資妙味は?
「モディノミクス」は盤石か
マレーシアの電撃的な政権交代があった5月。その裏で、インドでは今年最も注目されるイベントの1つ、カルナータカ州議会選挙が実施されました。日本人にとっては、カルナータカ州という地名よりもバンガロールという地名のほうが馴染みがあるかもしれません。インド南部の同州は、ハイテク産業が盛んな「インドのシリコンバレー」、バンガロールを州都に構えるインド主要州の1つです。ただ国政において、カルナータカ州はいち地方にすぎません。そんな地方の州議会選挙が世界的に注目された理由はなぜでしょうか。カルナータカ州議会選挙を通して、インドの現状を見ていきましょう。
上昇続いた「原油価格」、これから先の適正水準は?
一時、3年半ぶりの高値に
世界的な指標となっているWTI原油価格は2017年6月の1バレル=40ドル台前半から、ほぼ一貫して上昇基調を歩み、5月上旬には70ドルを超えました。私たちの身の周りでも、ガソリン価格が顕著な上昇を見せるなど、原油高を実感する場面が増えてきているように思います。ここまで原油相場を押し上げてきた原動力とは、いったい何だったのでしょうか。また、この先の原油相場はどのような展開を見せるのでしょうか。原油価格上昇の背景を整理するとともに、今後の原油価格の見通しについて考えてみます。
米金利上昇は日本株にプラスか?マイナスか?
約7年ぶりの水準にざわつく市場
米国で長期金利の上昇が続いています。3月16日には一時3.1%を超えるなど、約6年10ヵ月ぶりの高い水準に上昇しました。トランプ政権が昨年 12 月に成立させた減税規模は、10 年間で 1.5兆ドルにも及ぶ大規模なものだったほか、1.5 兆ドルのインフラ投資計画も打ち出されており、国債増発懸念から金利が上昇しているのです。この米金利上昇は、今後のマーケットにどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。
「ブロックチェーン・ウィーク」に見る仮想通貨の今後
昨年はイベント前後で価格が急騰
5月14日から16日にかけて、仮想通貨の情報サイト「CoinDesk」が運営する年次イベントがニューヨークで開催されました。「ブロックチェーン・ウィーク」とも呼ばれ、全体では昨年の2倍強の8,500人もの投資家や個人が参加しました。勢いづいたCoinDesk は、さらに9月にシンガポールでも初めてのフォーラムを開催すると発表しました。同イベントでは、金融当局者の講演や、技術系の若手実力者と金融関係者によるデジタル決済の将来に関する討論など、143のセッションが行われました。開催場所のニューヨークヒルトンホテルの周辺では、高級車のランボルギーニがプロモーションとして車を走らせたことも話題になりました。
開花する「異端」技術、実用化段階を迎えた遺伝子治療
有望な日本企業は存在する?
遺伝子治療がいよいよ実用化の段階を迎えています。これは従来の医薬品の代わりに、治療用の遺伝子を使う技術です。製薬業界で長らく「異端」扱いされてきましたが、昨年、米国で承認が相次ぎ、大きな話題となりました。最近は欧米大手製薬会社による遺伝子療ベンチャーの大型買収も目立ちます。7~8年前まで遺伝子治療が低迷していたことを考えると、隔世の感があります。従来の医薬品では考えられないような治療成績を示したことが背景にあり、今後、本格的な普及と市場の拡大が見込まれます。はたして、日本にもこの分野で活躍が期待できる企業が存在するのでしょうか。
1ドル=111円台、具現化しつつある麻生財務相の発言
日米金利差は節目の3%を突破
5月に入り、ドル円相場は一時1ドル=111円台まで円安ドル高が進んでいます。この動きは円ではなく、ドル主導といってよいでしょう。つまり、ドル全面高という環境下で他の通貨同様、円が売られたという解釈が腑に落ちます。では、ドルが買われた理由ですが、単純に“金利差”と見るべきでしょう。3月29日、麻生太郎財務相は国会の答弁で、「これまでの歴史を見ると、米国との金利差が3%に達すると、必ずドル高円安に振れる。例外は1つもない」との見解を示しました。そうした状況が具現化しつつあるようです。
REIT投信の資金流出問題は終わったか
構造的問題の整理と検証
昨年のREIT(不動産投資信託)市場は、好調なファンダメンタルズにも関わらず株価は低迷しました。この最大の背景は、J-REITで運用する投資信託(REIT投信)からの資金流出でした。資金流出は最近やや沈静化しています。この問題はでに過去のものとなったのでしょうか。
3年半ぶり高値、「原油高」は私たちの生活にどう影響?
相場と日常生活への影響をチェック
最近、車のガソリンを入れに行くたびに、ガソリン価格の上昇を実感します。その背景には原油価格の上昇があるわけですが、今回はこの原油価格の上昇が今後も続いていくのか、原油価格の上昇は私たちの生活にどのような影響を与える可能性があるのか。それらを考えるためにいくつかの視点から分析をしていこうと思います。
初の政権交代、「マレーシア経済」の行方はどうなる?
マハティール氏が返り咲き
5月9日、マレーシアでは下院(代議院)選挙が行われ、マハティール元首相率いる野党連合の希望連盟(PH)が与党連合の国民戦線(BN)を破り、総議席数の過半数(222議席のうち122議席)を獲得しました。下院選挙の結果を受けて、マレーシア独立後初となる政権交代が実現し、マハティール氏は2003年以来15年ぶりに首相の座に返り咲きました。今回は、マレーシアの政権交代後の経済見通しについて考えてみたいと思います。
貿易摩擦問題は“オオカミ少年”で終わる?
米中の貿易摩擦問題を考える
米中の貿易摩擦問題をめぐるドナルド・トランプ米大統領の発言を振り返ると、イソップ寓話に出てくる「オオカミ少年」を思い起こさせます。貿易戦争(注1) への進展を連想させる発言を繰り返しながらも、一方で、深刻な事態には至らないような動きも垣間見えます。当初はこの問題に衝撃を受けた市場関係者も、実際には深刻な事態にならないのではと思い始め、次第に過激な発言に慣れていく状況が「オオカミ少年」と類似しているようです。トランプ大統領の当面の目標は、11月6日の米中間選挙(注2) で勝つ(共和党が勝利する)ことでしょう。そのため、「中国によって米国内産業が痛めつけられ、貿易赤字が膨らんでいるほか、知的財産権なども侵害されている。よって、国内産業を保護する姿勢を強めれば、共和党支持が増えるだろう」と目論んでいる可能性はあります。3月1日には、中国製品を念頭に鉄鋼とアルミに追加関税を課す方針を表明。3月22日には、最大600億ドル相当の中国製品に制裁関税を課す大統領令に署名。4月5日には、1,000億ドル相当の中国製品への追加関税の検討を米通商代表部(USTR)に指示するなど次々と強硬策を打ち出し、中国
北朝鮮、イラン…… 金融市場はどうなる?
「地政学リスク」を総点検
株価や為替レートなどは、基本的にはその国の経済動向や金利水準、企業業績等に連動します。でもたまに、世界のどこかで紛争が起きたり、緊張が高まったときにも大きく動くことがあります。こうした紛争などの「心配ごと」を総称して「地政学リスク」と言います。今回は今ある地政学リスクを整理してみましょう。
本日発表「トヨタ決算」が注目に値する“単純ならざる理由”
3月期企業の決算発表がピーク
今週決算を発表する企業数は今日が200社超、明日は400社超、そして明後日は800社近くと倍々ゲームのように増えていき、金曜日がピークとなります。まさに決算発表は佳境を迎えています。さて、注目銘柄ですが、多くの市場関係者が決まって挙げるのがトヨタ自動車です。言うまでもないことですが、日本の時価総額最大企業であり、本邦企業で初めて純利益が2兆円を突破した、押しも押されもせぬ日本の株式市場を代表する銘柄です。実際にトヨタの決算発表は印象深いものが多かったです。