「結婚難民」の羅針盤
結婚までたどり着かないのは何のせい? “未婚化先進国”を生き抜くための知恵と勇気をアナタに…
リアルデータで見る「結婚後、本当に必要な世帯所得」
「運命の人は年収●万円以上で」の現実
結婚支援の現場からよく聞く悩みの1つに「お申し込み女性の年収希望が高すぎるので困っています」というものがあります。どこで知ったのか、平均所得400万円という情報を前提に「400万円以上の男性がいいです」との女性からの問い合わせや、成婚時の謝礼金額や会費が高い相談所に関しては「高い謝礼金額や会費が払えるのだから」という登録男性の所得への期待の高さからか、収入が500万円以上の男性に申し込みが殺到するようなケースもあるようです。支援現場の方は「困っている」ということですので、それにふさわしい男性の登録者がそんなにいない、ということだと思います。支援現場の方の気持ちはさておき、はたして未婚女性たちの男性の収入への希望は客観的データで見た場合でも“無茶振り”なのでしょうか。検証してみたいと思います。
婚活女性を悩ます「学歴親ブロック」が生じる根本理由
データで見る、大卒女性の夫の学歴
前回の記事でも少しだけ触れましたが、年々、男女ともに大学進学率が高まってきています。文部科学省の統計で今から半世紀近く前の1970年を見てみると、4年制大学への進学率は男性27.3%、女性6.5%でした。およそ男性の5人に1人、女性の15人に1人が進学している計算です。決して高い進学率ではありません。それが2017年では、男性55.9%、女性49.1%(ともに2人に1人)まで上昇しています。男性の進学率は約2倍、女性に至っては約8倍にも増加しています。データだけで見るならば、大学中退者がその中にいるとしても、もはや4年制大卒の男女は決して珍しくはありません。ところが、このあまりにも急な進学率の上昇が、結婚に関する親子の話し合いを特に学歴に関して難しくしているようです。
「勉強ができる女性=結婚難民」という通説は真実か
学歴と結婚の相関性を探る
50代で管理職をされている女性から、こんな話をうかがいました。その女性は大学4年の時、ある総合商社の採用面接を受けたそうです。最終面接に呼ばれたのは、高学歴の女性5人。面接官は男性ばかりでした。面接官からの質問は大変難しいもので、4人の女性は一生懸命考えて回答しました。が、残りの1人はまったく回答ができず、その場でシクシク泣き出したのです。「結果、採用されたのは泣いた女性でした。驚くというより、やはりそうか、と思いました。当時の女性の採用には、一般職でも総合職でも『うちの社員のお嫁さん候補かどうか』『(面接官が)お嫁さんにしたいかどうか』がありましたから」男女雇用機会均等法が施行されたのは、今から約30年前の1986年。この女性が新卒採用の面接を受けたのは、同法の施行から間もない頃でした。1990年代に入ってからも、「一般職はいいけれど、総合職なんかで入ったら嫁の貰い手が減るよね」などという話は普通にされていたのです。それから20年の月日が流れました。やはり今でも、高学歴女性は「結婚が難しい」のでしょうか。
若い女性が本当に望む「結婚相手との年の差」の現実
“年の差婚時代”は再来しているのか
2015年に実施された5年に1度の国勢調査の最新結果からは、50歳時点で実に男性の4人に1人、女性の7人に1人が生涯一度も結婚経験がない未婚者であることが判明しました。これは将来の話などではなく、すでに2年前の日本のリアルな姿です。一方で、人口問題を研究している国の研究機関である社会保障・人口問題研究所の2015年調査の結果では、若い(18~34歳)未婚男女のともに約9割が「いずれは結婚したい」と回答しているのです。この若い未婚男女の結婚希望は長期にわたって約9割で推移しています。大雑把な計算ですが、全男性のうち50歳時点で結婚した経験のない25%から、そもそも結婚を希望していない10%を除くと、15%の男性が「結婚を希望していながら、実現できていない人」となります。50歳時点で結婚した経験のない男性のうち、半分以上を占めていることになります。同じ方法で計算すると、女性の場合、50歳時点で結婚希望がかなっていない方が未婚者の3人に1人程度いる、ということになります。そこで、この連載では、読者の皆さんが将来結婚に関して「こんなはずじゃなかった」とつぶやかないよう、可能な限り正確なデータを