「嵐」のNHK紅白歌合戦出場から占う、日本の景気の行方
年末の恒例行事に意外な法則があった
令和元年も残すところ、あと1ヵ月半になりました。11月下旬には、大晦日に行われるNHK紅白歌合戦の出場歌手も発表される予定です。今年の司会は白組が「嵐」の櫻井翔さん、紅組が綾瀬はるかさんとすでに発表されているので、嵐の11年連続11回目の出場は確実でしょう。ところで、景気と嵐の関係をみると、嵐が出場している10回の年末はすべて景気拡張局面という不思議な関係があります。
株高トレンドはどこまで続く?カギを握るアメリカの決断
世界株高のメカニズムと今後を読み解く
11月に入ってから米国を中心に世界的な株高が続き、11月4日にダウ工業株30種平均は史上最高値を超えました。欧州株(Stoxx600)も2018年1月の高値を上回り、米国株に遅れながらも史上最高値に近づいています。世界的な株高のドライバーは、米中通商協議において追加関税が先送りあるいは撤回されるとの期待、10月末が期限だった英国のEU離脱が延期され「合意を伴う離脱」が実現する見通しが強まった、ことなどから、投資家心理の悲観が和らいだことです。一方、株式や長期金利の趨勢的な方向性を決定するのは、米国を中心とした世界経済の動向です。株高の背景には、米国経済がこれまで年率2%前後の底堅い成長を続けていることがあります。
日経平均が2万3000円台を回復、「2016年末ラリー」の再来は期待できるか
バブル後最高値も視野に入る?
今週、日経平均株価は昨年10月以来となる2万3,000円の大台を回復しました。その背景として、いちばんわかりやすい説明は、長く相場の重石となってきた米国と中国の対立に、緩和の兆しが出てきたことでしょう。トランプ政権が対中制裁関税の一部を撤回することを検討していると英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版が報じました。ウィルバー・ロス米商務長官が先週末、中国の通信大手の華為技術(ファーウェイ)への事実上の禁輸措置の一部解禁が近いと示唆した、とも伝わりました。また、米中が10月に暫定合意した貿易協議の調印場所については「トランプ米大統領が米アイオワ州を考えていると述べた」との米紙の報道もありました。報道ベースなので、どこまで信憑性があるかはわかりませんが、市場はこれらのニュースをポジティブに受け止め、リスクオンの地合いに傾いたようです。ただ、米中対立の緊張緩和以外にも株高の要因があると考えます。それはやはりファンダメンタルズです。
勝率91%!株高優勢の「逆セル・イン・メイ」は2019年も期待できるのか
投資家心理を支える2つのプラス要因
10月31日の日経平均株価は前日比83円高の2万2,927円で大引けを迎えました。月初の2万2,000円を割り込む状況から持ち直し、2万3,000円台をうかがう勢いです。その前日にあたる10月30日、FRB(米連邦準備制度理事会)は今年に入って3回目となる利下げを実施しました。ジェローム・パウエル議長は会見で「今後の政策は状況次第」との姿勢を示しましたが、場合によってはさらなる利下げに踏み切る可能性も否定しませんでした。日本銀行も10月31日の金融政策決定会合でフォワードガイダンスを強化しています。経済指標や企業業績は世界的に冴えない展開が続いていますが、こうした中央銀行の姿勢が投資家心理を支える構図となっています。株式市場は今後も堅調を維持することができるのでしょうか。目下のところ、投資家心理に対してプラスとなる要因が2つ挙げられます。
業績予想の下方修正ラッシュは“株価好転の兆し”だった?
3年サイクルで考える日本株の行方
10月23日の日本電産を皮切りに、2019年7~9月期の決算発表が本格化しています。米中貿易摩擦の影響が表面化し、頼みの米国景気にも陰りが見える中、業績の先行き警戒感や株価への悪影響を指摘する声も少なくありません。執筆時点ではまだ数社の発表にとどまりますが、直前の観測報道からは今年度業績予想の下方修正が相次ぐなど、厳しいイベントになるとの見方が濃厚です。一方で、今年前半には世界の中で出遅れ感が際立っていた日本株でしたが、先週は日経平均株価が連日で年初来高値を更新するなど、ここにきてむしろ地合い改善の気配を強めています。3月期決算企業にとっての中間決算が次々と発表されていく中で、日本株はどのような展開をたどりそうなのか。先行きについて考えてみたいと思います。
台風19号が実は日本経済“再興”のきっかけとなりうる可能性
経済全体への影響は?
10月12日に日本列島を襲った台風19号は、多数の犠牲者を出した河川の決壊などを引き起こし、一部の鉄道や道路といった交通などのインフラにも大きな影響を及ぼしました。2週間近くが経過した現在も、各地で避難生活を余儀なくされている住民がいます。これまでの報道では台風19号による社会的な問題が中心ですが、この国の経済にはどのような影響が及びそうなのでしょうか。以下では、台風19号のような大災害が日本経済や金融市場へ与える影響を考えたいと思います。
破壊者か、救世主か、「ポスト・トランプ」に浮上した女性政治家の正体
目玉政策は富裕層向け課税
世界経済・金融の中心、米ウォール街の関係者が1人の政治家の動向に神経を尖らせています。その政治家とは、2020年に迫った米大統領選に向けて民主党の有力候補として急浮上した、エリザベス・ウォーレン上院議員です。ウォーレン氏は70歳の女性。1949年に米国の南中部にあるオクラホマ州で生まれました。大学などで法律を教えた後、2012年の上院選へ立候補して当選。破産法のエキスパートとして知られ、議員になる前はオバマ政権下で消費者金融保護局の設立にかかわったこともあります。ウォール街が「ウォーレン・リスク」に敏感になっているのは、同氏の掲げる政策が「大企業やお金持ちに冷たい」と受け止められているからです。どんな政策を掲げていて、金融市場にどのような影響を及ぼしそうなのでしょうか。
ラグビー日本代表は「日本の景気後退」を食い止めることができるか
実は重要な「心理面からの悪化回避」
ラグビー日本代表が快進撃を続けています。10月13日には、因縁の相手であるスコットランド代表を破り、史上初の決勝トーナメント進出を決めました。これと対照的な動きをみせているのが、日本国内の景気です。天候をはじめとした要因から、個人消費などの経済指標は7月分で一時的に悪化。8月分、そして一部結果が判明している9月分は、消費増税前の駆け込み需要も出て、底堅い内容になっていますが、米中貿易戦争に代表される不透明な国際情勢や消費税増税の影響などから、マインド指標は実態に比べて悪化が目立つ状態です。今後はさらに、記録的な大雨と多くの河川での堤防決壊をもたらした台風19号による被害の影響が加わります。総合的にみると緩やかな回復が続いていると思われますが、微妙な局面でしょう。こうした状況下、景気動向指数の機械的判断は、8月分で4ヵ月ぶりに景気後退の可能性が高い「悪化」に転じてしまいました。心理面からの悪化で本当の景気後退に入ることが回避できるかどうかの正念場です。
日本の景気後退が「すでに始まっている可能性が高い」十分な根拠
景気動向指数は「悪化判断」へ
10月7日に公表された8月分の景気動向指数(一致CI)は、前月から0.4ポイント低下し、内閣府による景気判断は「下げ止まり」から、再び「悪化」に下方修正されました。景気動向指数は複数の経済指標によって作成されますが、日本の景気変動を最も的確に示す指標の1つです。内閣府の判断が悪化に転じたことは、日本が景気後退に至っている可能性が高いことを意味します。この判断は景気動向指数から機械的に決まりますが、政府の意図などとは関係なく、日本経済がいわゆる後退局面に近い状況にあることを客観的に示しています。一方、景気動向指数の構成項目の多くは、製造業の生産活動の変動を反映するため、必ずしも経済全体の動向を表していない可能性もあります。春先から持ち直している個人消費、そして企業の景況判断を示す日銀短観の業況判断DIの水準などを踏まえると、「すでに景気後退に陥っていると判断するのは早計」との見方もできます。また、今回は8月分の指数ですから、家電、日用品などにおいて増税前の駆け込み消費が9月に現れた影響で景気動向指数が持ち直し、来月には景気判断が上方修正される可能性が残ります。はたして、日本の景気はすでに
10月の株式相場、底堅い株価推移に潜む“不都合な真実”
米雇用統計に落ちる不穏な影
いくつかの主要な景気指標の悪化から、米国株は10月になった途端に大幅安に見舞われましたが、現在は持ち直しています。背景の1つは、同月4日に発表された雇用統計でしょう。9月の雇用統計が警戒したほど悪くないとの見方から景気後退の懸念が和らぎ、株式相場の反発につながりました。9月の雇用統計では非農業部門の雇用者数は予想を下回りましたが、過去分が上方修正されました。失業率は3.5%に低下し、半世紀ぶりの低い水準となりました。好悪材料が入り交じる結果となったことで、市場ではかつてのような、熱過ぎでも冷め過ぎでもなく、ちょうど良い加減の「ゴルディロックス」の状態になったとの見方が浮上しました。はたして、適温相場はどこまで続くのでしょうか。9月雇用統計の中身を読み解くことから、株式市場の先行きについて考えてみます。
対岸の火事では済まされない、米「レポ市場」で起きている異変
当局が10年ぶりに資金供給
米国で今、「レポ市場」における金利の上昇が話題となっています。レポ市場とは、主に国債を担保にして、短期の資金を貸し借りする市場です。1日当たりの取引高は数兆ドルと非常に大きく、参加者も多様で金融市場の根幹を成しています。レポ市場で異変が起きたのは、9月17日のこと。それまで2%程度で推移していたレポ金利が一時8%を超えて上昇し、米国の短期金融市場を統括するニューヨーク連銀は実に10年ぶりとなるレポ市場を対象にした資金供給を行いました。その後は急激な金利上昇こそ落ち着いたものの、レポ市場は不安定な動きをみせており、ニューヨーク連銀は連日の資金供給を続けています。レポ金利は、金融市場全体の短期金利の動向に大きく影響します。それだけに、日本人の投資家にとっても“対岸の火事”で済ませられる問題ではありません。足元の異変の根源を探ってみます。
株式投資に興味を持ったさまざまな理由、経済アナリストの著者の場合
キッカケは思わぬところにある
老後資金2,000万円問題をキッカケとして、証券会社の口座開設数が増えたり、金融機関のセミナーに参加する人が増えているそうです。なかなか金融教育を受ける機会がなく、資産運用と接点を持つ機会も少ない日本人が投資に興味を持つキッカケになったことは確かです。では、今回の問題より前に投資に興味を持った個人投資家はどのようなキッカケだったのでしょうか。筆者の場合とキッカケになりうるいくつかの事例を紹介しましょう。
アジアで進む「スマートシティ計画」、日本にビジネスチャンスはあるか
「キャッシュレス」と並ぶ投資テーマ
現在、日本では政府主導でキャッシュレス決済への移行が進められています。関連企業もさまざまな特典を付与して、シェア争いを繰り広げています。日本はこれから本格化を目指すという段階ですが、中国をはじめ、アジアの国々では現時点で日本より一歩も二歩も先を進んでいます。キャッシュレスと併せて推進されているのが、スマートシティの開発計画です。これはAI(人工知能)などを活用したハイテク都市を作り上げようとする政策で、関連プレイヤーが次々に参入してきています。そして、そこには新たなビジネスチャンスや投資の好機が潜んでいる可能性もあります。
株式市場の順風はいつまで続く?カギを握る“2つの論点”
日経平均は2万2000円台を回復
9月19日の日経平均株価は前日比83円高の2万2,044円と反発し、堅調に推移しています。米中の貿易問題をめぐる対立はいったん緩和しており、中国は米国産大豆の購入を再開。米国は10月1日(中国国慶節)に予定していた対中追加関税を15日に延期しています。ただし、こういった動きが長続きするかは予断を許しません。これまで米国は、貿易協議でさまざまな合意の動きを見せては、それにとらわれない行動を繰り返してきました。2018年5月には、米国のスティーブン・ムニューシン財務長官と中国の劉鶴副首相は相互に追加関税をかけないことで合意しましたが、そのわずか11日後にドナルド・トランプ大統領は追加関税を発表しました。欧州に対しても、トランプ大統領はジャン=クロード・ユンケル欧州委員長と2018年7月に自動車関税をかけないことで合意しましたが、その後もたびたび自動車関税を交渉材料として用いています。トランプ大統領は「中国と暫定合意を目指す」と述べていますが、そもそも合意してもそれが守られるかどうかはトランプ大統領次第であり、不安が払拭されない状況が続くおそれがあります。
置き土産は「ドラギ・バズーカ」、日本人も無視できない欧州経済の深刻度
1年足らずで政策方針が巻き戻しに
通貨「ユーロ」の番人、欧州中央銀行(ECB)が昨年12月に打ち切ったばかりの量的緩和政策の再開へ踏み切りました。ECBは9月12日に開いた定例の理事会で金融緩和を決定。銀行が中央銀行に余剰資金を預ける際の金利を、現在のマイナス0.4%からマイナス0.5%へ引き下げました。同時に、11月から月200億ユーロのペースで国債などを買い入れる量的緩和政策に再び乗り出すことも決めました。マイナス金利の深掘りをめぐっては金融市場の関係者の間でも「織り込み済み」との受け止め方が大半を占めていましたが、量的緩和の再開に関しては「サプライズ感」もあったようです。なぜ、ECBはこのタイミングで量的緩和の再開に踏み込んだのでしょうか。
消費増税、日韓問題… この国の景気は“曲がり角”に差し掛かったのか?
景気ウォッチャー最新調査を読み解く
9月9日に公表された8月の景気ウォッチャー調査では、ある指数が注目されていました。景況感の方向性を示す「現状判断DI」です。最新調査では、消費税増税時期を挟む「先行き判断DI(季節調整値)」は前月差4.6ポイント低下し、39.7に悪化しましたが、注目の現状判断DIは天候の回復などで前月差1.6ポイント上昇し、42.8まで回復しました。この現状判断DIが注目されていたのは、8月8日に公表された7月調査で41.2と、3ヵ月連続で悪化し、熊本地震が発生した2016年4月以来、3年3ヵ月ぶりの低水準となっていたためです。季節調整値のある2002年1月以降の211ヵ月中で、低いほうから39位タイ。これより低い数字の多くは2009年までのもので、2010年以降は東日本大震災のあった2011年3月、4月、5月と、消費税率が引き上げられた2014年4月の4回しかありません。街角景気の景況感はかなり微妙なところに来たといえます。
経済政策の現状維持が“安倍政権の土台”を揺るがしかねない理由
第4次改造内閣が発足
9月11日に第4次安倍再改造内閣が発足しました。事前に報道されていたとおり、2012年の発足以来の安倍内閣の“骨格”といえる菅義偉官房長官、麻生太郎財務大臣が続投となったことを踏まえると、経済・外交などはこれまでと同様に政策運営が続くことになるでしょう。今回の内閣改造で13名が初入閣となりましたが、安倍晋三首相と一定程度関係がある、あるいは能力・実績を踏まえた人選、との印象を筆者は受けました。2021年半ばまでの安倍首相の自民党総裁任期を見据えて、次世代のリーダーとして人気が高い小泉進次郎氏を含めポスト安倍の候補者を、大臣や自民党の重職に軒並み配置しており、次期首相争いがスタートしたと位置付けられるといえます。経済政策運営はほとんど変わらないことなどから、今回の内閣改造が経済や金融市場に及ぼすインパクトはほぼ皆無とみています。今後、次期首相ポストを意識しながら、閣僚や重要ポストの政治家が競い合いながら成果を出そうとするでしょう。そうした中で、安倍政権のレガシーとして、東京オリンピックの成功、そして憲法改正の実現に重点が置かれそうです。2013年からの金融・財政政策の転換によって日本経済
景気後退も近い?「株式市場の賞味期限」はいつか
強気ストラテジストが懸念する予兆
世間では、景気後退の“予兆”とされる「米国債の逆イールド発生」が大きな話題になっています。確かに、過去には逆イールドが発生してから1年半程度で景気後退になってきました。しかし、逆イールドが発生したから、という理由で景気が後退するものではありません。逆イールドと景気後退との間に、因果関係はありません。この点は過去に何度もレポートしています。しかし、逆イールドは今回もまた、“結果的に”景気後退の予兆となってしまうかもしれません。というのは、今後1年半程度で米国の景気が相当減速する可能性が高いと思われるからです。