中国経済は大丈夫?貿易摩擦に耐える筋力を総点検
各種指標から中国の弱点を考察
最近は中国に関するニュースというと、米中貿易摩擦、中国における負債の拡大、シャドーバンキング(影の銀行)など、ネガティブなものばかりを目にします。しかし、中国の経済がどうなっているのか、という基本的な部分にはあまり焦点が当たっていないようです。今回は基本に立ち返り、中国の経済について、代表的な指標を見ながら確認していきましょう。
中国株は9月に反転できるか、国内景気対策の中身とは?
「金九銀十」との相乗効果を期待
2018年7月末、中国政府は今年下半期の重要政策の基本方針を発表しました。足元の経済情勢について「新たな問題や挑戦に直面し、外部環境には顕著な変化が生じている」と分析。米中貿易摩擦などを念頭に、中国では景気の下振れリスクが高まっているとの認識を示したのです。こうした見地から、今年下半期について中国政府は、経済や社会の安定を重要視する事を明らかにしました。具体的にどのような対策をとるのでしょうか。
個人投資家こそ留意すべき「トルコショック」本当の危うさ
嵐は過ぎ去ったのか
世界中を揺るがせた「トルコショック」。金融市場はひとまず落ち着きを取り戻した感がありますが、危機再燃の火種は依然としてくすぶり続けているように思います。日本ではトルコの高金利に着目し、同国の通貨であるトルコリラ建ての投資信託や仕組み債など、さまざまな金融商品が販売されています。外国為替証拠金(FX)取引でもトルコリラ・円が人気の通貨ペアの1つ。それだけに、同国経済やトルコリラの行方に気を揉む投資家が少なくないかもしれません。
「トルコ・ショック」が実は“絶好の買い場”だったワケ
「危機」にならない「ショック」とは?
ちょうどお盆休みが始まろうという頃、株式市場は激震に見舞われました。米国のトランプ政権が表明したトルコに対する制裁関税方針でトルコリラが2割も急落した「トルコ・ショック」です。動揺は瞬く間に世界の株式市場に広がり、日本株も急落しました。日経平均株価は25日、75日、200日の移動平均線をすべて下に抜け、下値メドが見えない状況になりました。まさに相場は悲観ムード一色でした。無理もありません。リーマンショックから10年、トルコ・ショックは新たな金融危機の引き金になりかねない、という論調まで市場の一部でささやかれていたのですから……。
「元号」で振り返る、日本の経済史
お金のことば36:日本史用語と元号
平成の歴史が終わろうとしています。本連載では前回、元号の話題を紹介しました。過去の改元事例のうち、経済的理由を契機とする改元について探った内容でした。それに引き続き、今回も元号を取り上げたいと思います。テーマは「元号入りの日本史用語」です。日本史用語のなかには、その名称に元号を含む語もありますよね。山川出版社が発行する『日本史用語集』に登場する範囲だけでも、天平文化や元禄文化などの「文化」に関する用語、大化の改新や明治維新などの「政変」に関する用語、明暦の大火などの「災害」に関する用語、大宝律令や明治憲法などの「法律」に関する用語、延暦寺や慶應大学などの「施設」の名称、寛政暦などの「暦」の名称、平治物語などの「著作」の名称など、実にさまざまな用語が登場するのです。歴史的な物事と元号とをセットで覚えられるところは、元号の貴重なメリットかもしれません。そしてそんな元号入りの日本史用語のなかにも、もちろん「経済」関連の用語が存在するわけです。
拡大するシェア経済、安くしたい年収300万層とこだわり1千万層
市場規模は約5000億、シェア志向が強いのは?
シェアリングエコノミー(シェア経済)が拡大しています。7月に内閣府は、初めてシェア経済の市場規模の試算結果を公表しました。2016年の市場規模は全体で4,700~5,250億円程度、内訳はフリマアプリなどの「モノ」のシェアが3,000億円程度で最も多く、民泊などの「スペース」のシェアが1,400~1,800億円、家事代行などの「スキル」のシェアが150~250億円ということです。なお、この推計では、個人間のやりとりに注目したために、主に企業が提供するカーシェアリングサービスなどは含まれていないそうです。シェア経済は日本の名目GDPの548兆円と比べると、0.1%程度ですので、現時点では日本経済全体に与える影響は大きくないよう。とはいえ、皆さんにとってシェアリングサービスは、どんどん身近になっているのではないでしょうか。ここで、ニッセイ基礎研究所が実施した生活者1万人を対象に調査に基づいて、どんな消費者がシェアリングサービスを使いたいという意向が強いのか、その特徴を見ていきたいと思います。
景気ウォッチャー調査から「株価買いシグナル」を読む方法
焦点は平成30年7月豪雨の影響
内閣府が月に1度公表する「景気ウォッチャー調査」は日経平均株価とかなり連動しています。景気ウォッチャー調査で「現状判断DI」が1ポイントを上回って上昇すれば、日経平均の買いシグナル点灯。その後、1ポイント以上の低下となると売りシグナルに転換、という売買を公表日終値で行ったとします。現在まで61回シグナルが点灯し、勝率は6割です。旧民主党政権下で勝率が3割と著しく悪化した時期を除くと、7割と高水準です。昨年7月10日の「買い」、今年2月8日の「売り」、7月9日の「買い」を経て、8月8日に再び「売り」シグナルが点灯しました。次の「買い」シグナル点灯の条件を探ります。
明日発表「GDP」が金融市場に与える影響を先読みする
持ち直しが期待できるのか?
8月10日には、重要な統計であるわが国の4~6月期の国内総生産(GDP)が内閣府から発表される予定です。今回は、経済を把握するうえで私が重要と考えること、GDP統計の意味、そして8月10日に発表されるGDPが市場に与える影響について、お話しできればと考えます。
日銀の政策目標は「物価」だけのままでいいのか
「デフレ=景気が悪い」は本当?
7月31日の金融政策決定会合で日本銀行がどのような話をするのか、非常に強い関心が寄せられていました。日銀は「前年比で2%の物価上昇」を政策目標として掲げています。しかし、同日に公表された「経済・物価情勢の展望(2018年7月)」において、2020年度の物価見通しは同1.6%の上昇となっており、4月時点での見通しよりも下方修正されています。目標達成まで少なくともあと3年は緩和を続ける必要があるわけですが、本当に物価を政策目標とすることが正しいのでしょうか。身の回りの例も見ながら、考えていきましょう。
ドル高局面における新興国投資のカギは?
先進国金利と実体経済の成長率
2018年も下半期となりました。上半期には新興国の為替がドル高傾向となり、新興国投資は「逆風にさらされている」と言われています。なぜ、ドル高になると新興国投資が不調になるのでしょうか?今日は、そのメカニズムを説明したいと思います。
好調な米経済はこのまま続く?今後のドル円ゾーンを予想
極めて強い米7月雇用統計
米6月のFOMC(連邦公開市場委員会)で、年内4回の利上げ見通し(従来は年内3回)が示されて以降、ドル円は堅調に推移し、一時1ドル113円台まで上昇しました。しかし、7月19~20日にトランプ米大統領が米FRB(連邦準備理事会)の金融政策に口先介入し、米国の利上げ軌道を牽制したことや、日本国内では日銀がイールド・カーブ・コントロールを微調整との観測報道が飛び交ったことで、一時1ドル110円台半ばまで下落しています。様々な投機要因に振り回された7月のドル円相場ですが、8月3日(金)に発表された米7月雇用統計は極めて強い結果となりました。今後のドル円ゾーンは?雇用統計の内容から確認していきましょう。
ハワイ&韓国、旅行者数と株価の“強い関係”って?
旅行者数から将来の株価を見通す
夏休みシーズンが到来しました。8月中旬のお盆の時期には、一斉休暇する会社も少なくないようです。夏休みは実家に帰ってのんびりするのも良いでしょうし、いつもより人が減る都会で過ごすのも良いでしょう。なかなか長期休暇も取りにくい方にとっては、家族旅行の良いタイミングにもなります。国内の観光地はどこも混んでいるので、人混みを避けたい人の中には、この際だから海外旅行を計画する方もいるでしょう。7月に日本経済新聞社から2018年夏のボーナス調査が公表されました。支給額の平均は前年と比べて4.2%増えて、リーマン・ショック前の2008年に迫る水準になったとのことです。今回、ボーナスが増えたうれしい方の中には、ちょっとぜいたくに海外でもと考える方もいるでしょう。「景気が良い→人々の収入が増える→海外旅行が増える」が連想されますが、海外旅行が増える時は景気や株価も好調になると考えられます。そこで、実際に海外旅行者と株価の関係を確認してみましょう。
結局のところ「日銀金融政策」の何が変わったのか
今後の行方と市場への影響を整理
先週から今週は、日本銀行の金融政策が久し振りに注目されました。事前に政策内容変更に関する観測記事もあったこともあり、長期金利や金融株、日経平均構成銘柄などに動きが見られています。しかし、政策変更を発表した7月31日当日の動きと翌8月1日の動きが逆になるなど、反応が複雑です。結局どうなるのでしょうか。改めて整理したいと思います。
チャイナショック再び? “2つのデータ”で再点検
世界経済占う「産業のコメ」とは?
米中貿易戦争の問題に、解決の兆しが見えません。中国、米国など当事者だけでなく、影響が多方面に広がりを見せ始めています。トランプ大統領の言動には不確定な部分が多く、朝令暮改の傾向があるため、あまりはっきりと見通しを示しづらい状況ですが、現時点で中国にどのような影響が出ているか、状況を確認したいと思います。
日銀観測報道に飛び交う思惑、円安トレンドは終了か
米中貿易摩擦は“休戦”へ?
内外情勢に翻弄されるかたちで、ドル円相場が揺れています。7月に入り、米中の通商問題を巡る摩擦が激しさを増しています。一方国内でも、日銀が現状の政策を柔軟化し金融緩和策の持続可能性を高める方策の検討に入った、という一部報道がなされました。米中貿易摩擦問題に日銀の金融政策、ドル円相場の今後の展開はどうなるのでしょうか?
資産運用で差をつける「経済指標の先読み」マル秘テク
4~6月期GDP反転は予測可能
株式などで資産運用する人はもちろん、そうでない人も経済ファンダメンタルズの状態を把握し、先々を読む必要に迫られる場面は結構あると思います。大切なのは、ファンダメンタルズに基づくフェアバリューを把握することでしょう。実際の相場などの状況はさまざまな要因でフェアバリューから乖離しますが、座標軸をしっかり持つことができれば、流れに翻弄される可能性は小さくなります。GDP(国内総生産)統計のような重要指標は経済ファンダメンタルズのチェックに欠かせません。正確なGDP予測は先行きの座標軸になり、誰でも次のGDPは予測できます。
二極化が進む株式市場、「値上がり業種」はどれ?
米中貿易紛争で明暗クッキリ
米中間の貿易紛争が激化の様相を呈しています。当初は、ドナルド・トランプ大統領が交渉術の一環として、中国に対する制裁関税案を発表したと見る向きもありましたが、その後の貿易協議においても交渉がまとまることはなく、7月6日にはそれぞれ340億ドル相当の輸入品に対する追加関税を発動するに至りました。一方で、年初に2万3,073円73銭で取引を開始した日経平均株価は、このレポートを執筆している7月17日時点で2万2,697円36銭と1.6%の下落に留まっており、株式市場全体への影響は限定的となっています。しかしながら、実際にはもっと影響が出ている、と感じている個人投資家も多いのではないでしょうか。
サッカーに続け!「フランス産スタートアップ」が熱いワケ
赤いニワトリは金の卵を産むか
6月中旬から1ヵ月にわたって熱戦が繰り広げられたサッカーのFIFAワールドカップは、フランスがクロアチアとの欧州勢対決を制し、20年ぶりの優勝を遂げました。フランスのブリュノ・ル・メール財務相は決勝戦の4日前に地元のテレビ局「フランス2」で、「GDP(国内総生産)への影響がどの程度になるかはわからないが、経済成長にはプラス」などと発言していました。しかし、今のところ、国内では20年ぶりの戴冠による「景気の押し上げ効果は限定的」(フランスの新聞「ル・フィガロ」の電子版)と受け止められています。「レ・ブルー(サッカーフランス代表の呼称)」が初の世界一の座に就いた1998年のGDPは3.6%増。1991年から1997年までの平均伸び率が1.4%にとどまっていました。それを踏まえると、今回もW杯特需への期待が高まるのもむべなるかな、というところでしょう。もっとも、1998年は自国開催。海外からの観光客流入や施設建設などのインフラ投資が国内景気を刺激した可能性が大きいとみられます。