はじめに

資産運用の重要性が広く認知されてきています。一方で、資産運用に関心はあるけれど、なかなか一歩を踏み出せずに悩んでいる人もいることでしょう。資産運用のはじめの一歩を踏み出すのにためらってしまう――そんな人に知ってほしいのが「個人向け国債」です。

個人向け国債を購入すると、半年ごとに利子が受け取れ、満期に元本が戻ってきます。元本割れがないため、資産運用が初めての方にぴったりの商品です。

ただし、金融商品を購入する際は、商品のことをよく理解することが大切です。個人向け国債の特徴や活用方法を学んでいきましょう。


国が毎月発行する「個人向け国債」

国債は、国が資金を調達するために発行する債券です。その中でも、原則として個人の方だけが購入できる国債が「個人向け国債」です。

個人向け国債は毎月発行され、証券会社や銀行、郵便局などの金融機関で1万円から1万円単位で購入できます。

個人向け国債には、以下の3つの商品があります。

・変動金利型10年満期(変動10)
・固定金利型5年満期(固定5)
・固定金利型3年満期(固定3)

それぞれの金利タイプに応じた利子を半年ごとに受け取ることができます。満期を迎えると、元本が返済(償還)されます。

金利の種類や満期までの期間によって異なる3つのタイプ

個人向け国債の異なる3つの商品について確認しましょう。

「変動10」は、実勢金利に応じて半年ごとに適用利率が変わる変動金利タイプ。

「固定5」と「固定3」は、発行時に設定された利率が満期まで変わらない固定金利タイプです。

では、変動金利と固定金利のどちらを選べばいいのでしょうか?

変動10は、実勢金利が上がれば受取利子が増えるため、今後の金利上昇に期待する人に適した商品です。

それに対し、固定5や固定3は、満期まで金利が変わりません。金利がずっと変わらない分かりやすさを重視する人はこちらを選ぶとよいでしょう。発行した時点で運用結果を知ることができるため、資金計画を立てやすいという特徴もあります。

また、変動金利なのか固定金利なのかという点と併せて、満期までの期間も重要なポイントです。お金が必要になる時期にあわせて、変動10、固定5、固定3を上手に使い分けましょう。

個人向け国債のメリット

個人向け国債を購入するメリットはどのような点にあるのでしょうか。

1. 元本割れの心配がない
国が発行しており、元本割れがないため、安心です。半年ごとの利子の支払いも、満期時の元本の返済も、国が責任を持って行います。

2. 1万円から購入できる
額面1万円以上1万円単位で購入できるので、資金に余裕ができたときなどに、希望する金額を購入しやすいという特徴があります。

3. 金利の最低保証がある
個人向け国債は、3つのタイプいずれも年率0.05%の最低金利が保証されています。

中途換金の制約期間には要注意! 個人向け国債で気をつけるべきこと

次に、個人向け国債を購入する際に気をつけることを確認しましょう。

・発行後1年を経過するまで中途換金ができない
個人向け国債は、原則として発行後1年を経過するまで中途換金できません。急にお金が必要になった場合、他の預金などで対応する必要があります。1年経過後は額面1万円単位での中途換金が可能であり、元本割れの心配もありません(※直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます)。

なお、特例として、口座名義人が亡くなった場合、災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害により被害を受けた場合には、1年以内でも中途換金が可能です。