はじめに
なぜ市場はしまむらにポジティブ反応?
しまむらの株価が上昇した理由は、単なる好業績にとどまりません。市場が評価したのは、以下の3点です。
1. 四半期での過去最高業績:厳しい市況下でも安定成長を示し、粗利益、営業利益率ともに改善していること
2. 業績予想据え置きの「自信」:通期見通しは据え置かれましたが、内部的には進捗率が高く、市場に安心感を与えました。
3. 実行力のある戦略:PB・JBの育成や、地域ごとのプロモーション、デジタル販売の活用など、「売れる仕組み」を地道に磨いてきた点が評価されました。
アダストリアと三陽商会の今後に光は?
短期的には評価が分かれたアダストリアですが、中長期では注目される余地があります。会員数が2,000万人を突破した自社ECモール「and ST」の伸びや、東南アジアでの出店加速など、成長余地は大きく、構造改革の真っ最中ともいえます。今回の決算では、減益ではありますが、戦略的な販管費投入が要因で、売上高は過去最高を更新しています。売上総利益率は改善傾向にあり、今後は投資効果が期待されます。
一方、三陽商会も中期経営計画で粗利改善や販管費の見直しを掲げていますが、具体的な事業戦略の進捗状態については公表されておらず、今後、販売チャネルやブランドポートフォリオの再構築といった根本的な改革が必要となりそうです。
今回の決算で改めて明らかになったのは、アパレル業界が単なる商品力ではなく、「変化への即応力」と「経営の柔軟性」を求められているということです。
しまむらは、低価格と品質のバランスを磨き、変化する消費者ニーズをいち早く捉えることで、業績と株価の両方で結果を出しました。
ここからの楽しみは、アダストリアの投資効果がどのレベルで効いてくるか、そして三陽商会の一発逆転はあるのか? 26年2月期のアパレル商戦は始まったばかりなので、今後の経過を見守りたいと思います。
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