はじめに
「長期・積立・分散投資」で安定的に増やす
投資初心者におすすめなのは、損するリスクを押さえてリターンを得ることを目指す、「長期・積立・分散」投資です。投資の王道とも呼ばれる考え方です。
「投資」というと、市場の動きをとらえてタイミングよく取引をするイメージがあるかもしれません。確かに、そういう投資もありますが、投資初心者が取り組む投資としてはまったくおすすめできないもの。そもそも売買タイミングを見計らうのはプロでも難しいですし、投資は、投資する期間が短いほどリスクが高くなり、値動きで大きく損をしてしまう可能性があるからです。
積立投資では、毎月一定額ずつ金融商品を購入します。値動きのある金融商品を一定額ずつ購入すると、金融商品の値段が高いときには少ししか買えず、安いときにはたくさん買えます。そうすることで、平均の購入単価が下がるため、その後少しの値上がりでも利益を出せる可能性が増します(ドル・コスト平均法といいます)。
初心者でも長期・積立・分散投資を手軽に実践できる王道の商品が「投資信託」です。投資信託は、たくさんの投資家から集めたお金をプロ(ファンドマネージャー)がまとめて運用する金融商品です。それぞれの投資信託は、国内外の株・債券・不動産といったさまざまな資産に投資しています。どの地域のどの資産にどのくらいの割合で投資するかは、投資信託ごとに異なります。そして、利益が出れば配当金という形で利益の一部を受け取ることができます。
投資信託は通常、1本で数十から数百もの銘柄に投資しています。そのため、その中のどれかが値下がりしても、他のどれかの値上がりでカバーする期待ができます。多くの投資信託で1000円程度から積立投資を行うことができます。
使い勝手が良いNISAを活用する
投資信託を活用して投資する際に、ぜひ活用したいのが税制優遇の恩恵を受けられる制度。中でも初心者にはNISA制度がおすすめです。
NISAは、投資で得られた利益にかかる20.315%の税金が非課税にできる制度。2024年に制度が大きく変わり、積立投資専用の「つみたて投資枠」と、一括投資もできる「成長投資枠」を利用して、1人当たり1800万円までの投資で得られた利益を非課税にできるようになりました。
つみたて投資枠では、金融庁の基準を満たした投資信託やETF(上場投資信託)に積立投資可能。いずれも手数料が安く、長期の積立投資で安定的にお金が増やせると見込まれる商品が揃っています。明らかに初心者に不向きなものや積立投資に適さないものは除外されるので、ご相談者さんのように初心者の方でも始めやすといえるでしょう。
運用商品も多くの商品に投資するというよりは、1〜2本に絞って淡々と積み立てを行う方が手間なく行えます。
運用商品の選定は、リスク許容度(いくらまで損に耐えられるか)に合わせて選びましょう。リスク許容度は、収入、資産、年齢、投資経験などによって変わります。一般的には、「収入・資産が少ない」「年齢が高い」「投資経験が少ない」ほど、リスク許容度は低いとされます。
リスク許容度が低いのであれば国内外の株、債券に投資する「バランスファンド」、積極的にリスクを取りたいならば、世界株や外国株に投資する「インデックスファンド」が候補になるでしょう。
目標の運用利回りを年4%とするならば「バランスファンド」、年5%超ならば「インデックスファド」が候補になります。コストは運用成績に大きな影響を及ぼすので、低コスト(信託報酬が低い)商品を選ぶようにしましょう。
ご相談者さんは、投資初心者なので、まずは手堅くバランスファンドで運用するのも良いでしょう。
40歳からでも20年は運用できる
現在40歳ですから定年まで20年以上投資をすることができます。現在毎月20万円貯蓄をしていますが、半分の10万円を投資に回したとしましょう。毎月10万円を年利4%で20年間運用すると3,668万円(投資元本2400万円)になり、老後資金を十分に貯められます。
いきなり10万円はハードルが高いとしても、毎月5万円を年利4%で20年間運用しても1,834万円(投資元本1200万円)です。初めは少額から始めて徐々に投資金額を増やしていくのも良いでしょう。
NISAを活用した投資といえども、投資ですから元本割れをする可能性はゼロではありません。しかし、金融庁の『つみたてNISA早わかりガイドブック」によると1985年から2020年の期間において、積立、分散投資を20年でおこなった場合には元本割れの可能性が減り、年利2〜8%の間に収まることが示されています。
また、老後までの間にお子さんの進路が変更になりさらに教育費がかかったり、旅行資金が必要になったりするなど、ライフイベントにお金が必要になった場合には、NISAであれば、資産はいつでも売却できるので、売却して活用しても良いでしょう。
また、2024年に刷新された新NISAの制度であれば、売却するとその分の売却枠が翌年復活するため、たとえばNISAの一部を売却した場合でも翌年から新たに増えた非課税枠での投資が始められます。
ご相談者さんの家計状況では、十分に投資を始めることができます。まずは、NISA制度を活用し、無理のない範囲で始めてみてくださいね。
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