はじめに

老後の生活費 考えてみよう

おおよその年金額がわかったところで、次は「老後の生活費」です。

当たり前のことですが、どういう暮らし方をするかによって、老後の生活費は人それぞれ異なります。ヒントとなるのは今の生活費。そこから老後にかかりそうな生活費を推測しましょう。

生活費を把握するには、やはり家計簿が1番です。

最近は、パソコンやスマートフォンのアプリケーションで、簡単に家計簿をつけることができます。クレジットカードの引き落とし先の銀行口座を登録し、現金での決済はレシートを撮影するだけで、おおよその支出が確認できたり、とても便利です。

今の支出がわかれば、そこから退職後に必要なくなりそうな出費を差し引きましょう。一般的には、今よりも支出が減るはずです。

たとえば、ランチを外食ですませている方は、退職すると食費が減るでしょう。スーツやシャツなどの服飾費もかからないですね。子どもが独立すれば、食費や教育費などが減るはずです。

問題は、医療・介護にかかる費用です。

日本には健康保険や介護保険といった社会保障があり、一定額以上の負担はかからないようになっています。しかし、保険の対象外となる医療を受けたり、施設に入所したりすると、それなりに費用がかかります。

もちろん、一生介護が必要にならず、大きな病気をしない可能性もありますが、ある程度の余裕をもって準備しておくべきでしょう。

今後すべきことは?

その対策として、利用したい制度をご紹介しましょう。

以下の制度は「税制優遇制度」といって、通常なら課税されるところが非課税であったり、税金が安くなったりします。国も、老後のお金は自分で用意して欲しいのですね。

1番のおすすめは、iDeCo。iDeCoは、自分で毎月積み立てて運用し、60歳以降に年金として(または一時金、年金と一時金の併用として)受け取る制度です。

この制度のメリットは、掛け金が全額所得控除され(所得税や住民税が安くなります)、運用中の利益が非課税、受け取るときにも税制優遇があるということ。老後の資産作りには、もっていこいの制度となっています。2017年1月から、20歳以上の国民全員が加入できるようになりました(会社員の人は、企業年金の規約によっては加入できない場合があります)。

もうひとつのおすすめは、2018年1月から始まった「つみたてNISA」。こちらも税制優遇されています。

以前からある「NISA」は、非課税の投資枠が年間120万円で、非課税の期間は最大で5年間でした。それに対して「つみたてNISA」は、非課税の投資枠が年間40万円ですが、非課税期間が最大20年間。上限いっぱいまで20年間積み立てると運用額は800万円となり、長期的には「つみたてNISA」の方が大きな資産を運用することができます。

また、つみたてNISAで運用できる商品は、金融庁が定めたガイドラインに沿ったものだけです。

このガイドラインでは、「株式投資信託では販売手数料(購入時手数料)と解約手数料(信託財産留保額をのぞく)が無料であること」、「投資信託を保有している間にかかり続ける信託報酬に上限が設けられている」など、さまざまな条件が課せられており、低コストで長期保有に適している商品があらかじめ選ばれているといえます。商品の種類も限られているので、はじめて投資をする人には分かりやすいでしょう。

注意したいことは、iDeCoで積み立てたお金は60歳まで引き出せないこと。老後に使うお金を用意するための制度、とご理解ください。

つみたてNISAは、一度売却すると非課税枠は再利用できません(通常のNISAも同様です)。短期間で成果を上げるというよりも、長期的な運用の方が向いています。

これらの税制優遇制度を使えば、銀行口座に貯金していくよりも有利に老後の資金を準備できるはず。2018年は、こうした制度を積極的に利用して、老後資金を増やしてみるのはいかがでしょうか。

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