はじめに

老後の生活費、いくらかかる?

次に老後の生活費ですが、平成28年度の生命保険文化センターの調査では、単身者の最低限の老後の生活費は出ておりませんが、夫婦2人暮らしの場合の生活費が22万円とありましたので、単純に半分した11万円としますと、老後の生活費は11万円×12ヵ月×25年=3,300万円となります。

賃貸の場合は、この額に家賃等の費用もかかりますので、お住いの場所にもよりますが家賃を5万円としますと、5万円×12ヵ月×25年=1,500万円が別途必要となります。合わせますと、3,300万円+1,500万円=4,800万円は必要となります。

4,800万円という数字はかなり大きい額ですが、これでも少なく見積もっている額になりますので、もう少しかかるという認識を持つ必要があります。

ただ、この額を全部貯めなくてはならないというわけではありません。ここから公的年金、貯蓄、退職金などを差し引いた額が、老後に向けて用意をしたほうが良い老後資金となります。

年収300万円なら給付年金は月11.7万円?

公的年金についてですが、会社員で22歳から60歳まで勤められた方の平均年収から年金受取額(月額)を試算しますと、年収300万円、400万円、500万円ですと、それぞれ11.7万円、13.4万円、15.1万円となります。この給付は現行、65歳より受けることができますが、年金を支える生産年齢人口が減っていくことを考えますと、満額受け取るのは難しいと思われます。

このほかは預貯金や退職金などで賄い、足りない分を貯蓄などで資産形成していくことになります。

ご相談者様の場合、仮に年金が11.7万円給付されたとすると、年金受取額は11.7万円×12ヵ月×25年=3,300万円となります。現在の貯金を合わせますと4,300万円となり、老後資金はあと500万円ほど貯めれば計算上は賄えることになります。

ご相談者様はあと7年で養育費が終わることになります(末子が大学を現役で入学して卒業することを前提にした場合)。48歳から65歳までの17年間かけて500万円を貯めることができれば、老後資金は賄えることになります。

47歳から65歳まで毎月約2.5万円を貯蓄することができればカバーは可能ですが、前述の通り年金の給付削減があった場合や物価上昇による貨幣価値の下落などがあった場合は、老後資金の不足が起こりえますので、なるべく多くの老後資金をご用意することをおすすめいたします。

老後の資産は単に貯蓄をするだけでなく、運用などをして資産を働かせることも検討されてみてはいかがでしょうか。個人型確定拠出年金(iDeCo)や、つみたてNISA、生命保険、個人年金保険など、節税をしながら資産運用することができる金融商品もございます。それぞれ特徴がございますので、一度お調べになってみるとよろしいかと思います。

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