はじめに
3月半ばから交渉が急進展
――NEMの補償の現状と訴訟リスクは?利益について、2017年3月期まで出ているが、直近の数字はどの程度か。
松本: まだ確定した数字がない。また、マネックスは上場企業であり、CCはその完全子会社なので、開示上の問題もあるので、この場では説明を控えます。
大塚: 対象の全ユーザーに補償している。アカウントにはすべて反映済み。補償については終わった。
松本: 訴訟が増えているということはない。
――こうなった経緯は?マネックスは以前、暗号資産の会社を買収しようと思ったことはあるのか。
松本: 以前から和田さん、大塚さんは存じ上げていた。事故が起きた直後に、何かできることはありますかと連絡しました。その後、まったくコミュニケーションはなかったですが、3月半ば近くになって、CCから話がしたいと連絡があった。それから一気に話をした。他の交換業者のM&Aは特に考えていなかった。
――マネックスは静岡銀行から25%の出資を受けているので、銀行のグループ会社になる。銀行の他業禁止規制との兼ね合いはどうなるのか。
松本: 今回のアクションは金融庁としっかりと詰めて話したうえのこと。私の理解では、高度金融化事業(フィンテック)に整理されて、個別案件として銀行の枠組みの中で、持ち株比率が25%ではあるが、マネックスの下でもできると整理された。ただ、当社の問題ではなく、静銀の問題。私から完全に正確に答えることはできない。
――もともとマネックスとして交換業の申請をしていたが、今回の完全子会社化でこの線はなくなった?訴訟リスクがありながらも、買収で入っていったメリット・デメリットは?
松本: 以前から子会社のマネックスクリプトバンクとマネックス証券の2つで交換業の参入準備をしていると説明してきた。専業であるクリプトバンクはCCがグループに入ったことで、申請を進めることは意味がないので、取り下げることになる。
マネックス証券は、顧客が円で入金し、円で出金する形で、レバレッジのないCFDのような形で仮想通貨の値動きをトレーディングするサービスになりそう。これはCCの提供しているサービスとまったく異なるので、そういう1つのプロダクトとして提供していきたいために、申請活動を続ける選択肢もある。現時点では決定しておらず、CCと仕事をしていく中で考えていきたい。
CCは仮想通貨交換ビジネスの先駆者であり、日本だけでなく、世界的な先駆者であり、世界的なブランドがある。今回の件も、日本語・英語のみならず、スペイン語などでも報道されている。これはマネックスの過去になかったこと。それだけCCにはブランド力もあるし、強い大きな会社。
リスクは管理できるもの。どんなリスクにも値段はある。一方で、CCの持っているブランド価値・基盤を作ることは簡単にはできない。そうした中で、CCの良いところをわれわれがしっかり支えることによって、お互いにいい形ができる。
2ヵ月で登録できるスピード感で
――交換業の登録には2ヵ月程度と言っていた。何か根拠があるのか。また、交換業をとってから全面サービス再開なのか。
松本: 2ヵ月はあくまでも目標。われわれ4人ほか経営陣の目標。ただし、CCがやってきている内部管理態勢の構築・強化を考えると、しっかりと前進している。われわれは2ヵ月以内に登録できると思っている。目標として、そのぐらいのスピード感で進めたい。
2つ目の質問も金融庁の問題。一般的な常識で考えると、全面再開と業登録はほぼパッケージなのではないか。
――今後、どんなビジネスを展開していくのか?
松本: 交換業・販売所が中核になるが、もともとCCが謳っている新しい支払い手段がある。新しい総合金融グループを作る中で、新しい資産クラスを含めて、マネックスグループのいろいろな会社が協力することで加速させていきたい。
――NEMの補償の460億円はマネックスに関係があるのか。マネックス以外に選択肢があったのか。
松本: NEMの補償は完了している。マネックスはCCの債権債務を包括的に継承する。今後はグループ全体の問題として取り組んでいく。
和田: NEMの補償は今回の完全子会社化が決定する前に完了している。補償については、自己資金からの補填。
詳細は答えられないが、複数社が候補としてあった。マネックスに決めたのは、仮想通貨交換業は未成熟な業界。当然、内部管理態勢や経営体制は重要だが、ある程度のスピード感も業界の発展や競争優位性のためには大事。その中で検討した結果、マネックスであれば当社としてなるべく早く意思決定ができつつ、体制を強化するサポートをしてくれると判断した。