はじめに

和田氏は執行役員として開発を管掌

――CCをだいぶ評価しているようだが、同社を育ててきた和田社長を替えた理由は?今回のCC売却がNEMの補償と関係はあったのか。

松本: CCの経営陣を高く評価し、敬意を持っている。今回の事故の後の経緯の中で、金融庁ともコミュニケーションをとる中で、内部管理態勢にしっかりとした仕組みを作らないといけないという社会的な要請がある。監督と執行で分けて、執行部の中にも勝屋をはじめとするマネックスからの人員の派遣という形になった。これが今の状況を考えると、社会的要請にも答えられ、会社を推進していくうえで一番いいと判断。

もちろん、今後会社が安定し、伸びていく中で和田氏が社長になることもありうる。そういうことも含めて、力を合わせて前進していきたい。

和田: 直接は関係ないが、間接的には関係がある。金融庁から業務改善命令を受けた。内容は内部管理態勢などの強化だが、そこがしっかりできていなかったからNEMの流出が起きた。そういう意味で、根本を直さないといけないのが一番の課題だと感じている。課題を解決・補強するためにはマネックスからの支援が一番だと考えた。

――今回のディールについて、どういう点が問題で、一緒になることでどこが底上げできるのか。和田氏は執行役員として残る。執行役員から外れる選択肢もあったのか。執行役員としての注力分野は?

松本: この30年間、ずっと金融の仕事をしてきた。1980年代の終わりから。その中では、デリバティブが出てきて、理論的にもいろいろな人がわからない、貸し借りをする市場がないなど、未成熟な時期があり、実際にその中に入ってデリバティブの取引をしてきた人達がルールを整備したり、啓蒙活動をして、成熟させてきた。

国債の世界でも、25年前までは、100億円単位で国債を売買しても、売り方と買い方がサインして、バイトが有価証券をアタッシュケースに入れて、日銀に持っていっていた。それでは危険だということで、さまざまな仕組みが作られてきた。金融の世界でも、最近まで大きなリスクを内包しながら動いてきて、改善してきた。そういう知識や経験がCCや仮想通貨業界の発展に貢献できるところがあると信じている。

和田: 当然、今回の事故を起こしただけに、一定の責任があると感じている。今の経営体制のままでは顧客に安全なサービスを提供するのが難しいと考えたので、取締役を降りた。

一方で、CCの代表取締役として、顧客数は100万口座を超えたり、一定程度の業界に対する貢献をしてきた。今後のCCを運営するにあたって、執行役員として残り、管掌することで安全にサービスが提供できる。その中で執行役員として残ることにした。

管掌範囲は開発に関するもの。創業当初からエンジニアとしてサービス開発に携わっている。社内で一番理解があり、どうすれば安全なサービスが提供できるか知見があると自負している。開発やプロダクトに執行役員として責務を果たしていく。

第一の抱負は「ユーザーの信頼回復」

――CCの社員数と、今後増やす予定は?勝屋氏はなぜ社長を引き受けた?

大塚: 104人。今後は安全にサービスを提供するため、積極的に採用していく。

勝屋: 非常に責任が重いと感じている。グループとして第2の創業ということで、半年前に仮想通貨に取り組むと話していた。そういう意味で、ど真ん中。

抱負としては、ユーザーの信用を取り戻す。第2に、信用してもらったうえで信頼を受ける企業にしていきたい。第3、第4がなくて、第5に業界をリードするような、貢献できる企業にしていきたい。日進月歩の業界なので、常に外にアンテナを張って、技術の動向やインテリジェンスに傾注してやっていきたい。

――買収金額。これから3年間、利益をシェアしていく。「一定の事業上のリスクを控除して」とあるが、どういうリスクがあるのか?

松本: マネックスの株主の観点から考えると、当初3年間は当期利益の半分がマネックスに属する。その後は100%になる。もともとの株主は、最初の株の値段のほかに、今後3年間、当期利益の半分から事業リスクが引かれる。マネックスの株主の観点からすると、追加のロスは発生しないと考えている。

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