はじめに

4月6日午後4時前。マネックスグループによるコインチェック(CC)の完全子会社化に関する会見が開かれるホテルオークラ東京の周辺は、灰色の雲が垂れ込めていました。これは、ただの偶然か、はたまた両社の今後を暗示するものなのか。

この日の会見には、マネックスからは松本大CEO(最高経営責任者)、勝屋敏彦COO(最高執行責任者)が、CCからは和田晃一良社長、大塚雄介COOが出席しました。いったいどんな内容が語られたのか。7,000字超の完全詳報をお伝えします。


CC新社長はマネックスの勝屋氏

松本: 本日、午前中にマネックス、CC両社において、取締役会を開催し、マネックスグループがCCの株式を100%取得し、今後は完全子会社という形でグループの一員として、一緒に事業を展開してまいります。

マネックスは19年前にできた会社が母体になっています。その中で蓄積されてきたさまざまな経験などをCCに活用していただいて、さらに強い大きな会社に伸びていくことに貢献してまいりたい。

CCに関しては監督機能と執行機能をしっかり分離することにしました。監督機能としての取締役会は、当社の常務執行役である勝屋、同じく執行役の上田雅貴、それから私、弁護士で日比谷パーク法律事務所の代表パートナーで日本取引所グループの社外取締役をされている久保利英明氏、また東京三菱銀行で常務取締役を務めたことがあられる玉木武至氏の5名で取締役会を構成し、コインチェックに対する監督機能を担っていきます。

執行部は勝屋が社長を務め、取締役にも就任する上田が執行役員に、またマネックス証券からシステムに長い経験のある後藤浩、コンプライアンスなどで長い経験のある三根公博が常勤の執行役員として参加いたします。また、CCのCEOを務めてこられた和田晃一良さんと、COOを務めていらっしゃる大塚雄介さん、それからCFO(最高財務責任者)を務めておられる木村幸夫さんの7人で執行をしてまいります。新しいコインチェックを推進し、その上に監督機能としての取締役会が存在します。

4月16日に臨時取締役会で人事を決定します。本日、3通貨の出金を再開されました。リスク管理態勢の整備を金融庁の指導を仰ぎながら鋭意進めているところであります。新しい経営体制の中で管理態勢を定着させて、2か月程度を目標としてサービス全面再開と業登録の実行を目指していきたい。

「ハイブリッドにフュージョンする」

マネックスは未来のマネーを実現しよう、新しい時代におけるお金との付き合い方をデザインして提供していこうということが創業以来の理念になっています。一方、CCは仮想通貨ビジネスにおける世界的な先駆者であります。

マネックスの金融機関としての経験と、未来のマネーを実現していこうという理念と、CCの新しい技術と新しい思想をフュージョンさせる。これは世代の違いもあるが、今まで蓄積してきた経験と力と新しい技術と新しい考え方をハイブリッドにフュージョンすることで、まったく新しい強いグループ群を作っていける。

具体的には、クリプトアセットバンク機能と世界の金融市場をつなぐ証券機能を中核とした、世界をリードする新しい時代の新しい形の総合金融機関を作っていくことを目指していきたい。

日本においても、法定通貨を扱っているメガバンクなどと、そのグループ内に国内証券会社やクレジットカードの会社があって、総合金融機関が作られている。それに対して、仮想通貨を扱うCCがまったく新しい支払い手段と、クリプトアセット(暗号資産)という新しい資産クラスを持っているクリプトアセットバンク機能を持っているCCと、日本、米国、香港、豪州、中国などにもオンライン証券の子会社があるマネックスとを組み合わせて、まったく新しい形の総合金融機関を作っていきたいと考えています。

また、CCはIPOを目指して、外部牽制の導入を目指したい。仮想通貨交換業の本質がますます銀行に近いものになっていくことが予想される中で、資本を強くすることが重要になってくる。内部管理態勢を強固なものにするためには、外部牽制を導入することは極めて有効。いずれIPOして、コインチェックを強い会社にしていきたい。

**和田:**新しい経営体制の下、経営戦略の見直し、経営管理態勢や内部管理態勢の見直しを図っていく次第でございます。まず顧客の資産保護を第一に考えています。その先にサービスの再開や仮想通貨交換業としての登録などを考えています。和田と大塚は4月16日をもって取締役を退任する予定ですが、引き続き、執行役員として業界の発展や顧客資産の保護を目的に責務を果たしていく予定でございます。

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