どんなAIが優れているのか

AIにはそれぞれ得意分野があります。数年前、囲碁の世界でもプロ棋士に勝つAIが登場したことは、よく知られた話です。このAIがとても優秀なことはわかるのですが、囲碁のAIが将棋で強いわけではありませんし、自動運転もできません。

将来、映画『ターミネーター』のようなAIも登場するかもしれませんが、現在、実用化されているAIはオールマイティではなく、それぞれ得意分野があるのです。ですから、なんでもかんでも学習させれば良いというものではなく、得意分野でどれだけ意味のある情報を学習させて優れたAIであるかということを知る必要があります。

最近はAIと並んで「ビックデータ」という言葉も流行っています。

たとえば、皆さんがお店で買い物をしたとします。何が買われたかをチェックし、集計したデータが「POSデータ」と呼ばれるものです。こうしたPOSデータを取り扱ったAIがあるなら、そのPOSから株価を予測することに特化したAIのほうが、POSの情報の特性をきちんと把握した、優れたAIになるでしょう。

また、AIに正しい情報を読み込ませているかも重要なチェックポイントです。AIは文字の情報も学習できるため、SNS(ソーシャルネットワークサービス)もAIで学習することができます。

しかし、最近はフェイクニュースなどが大きな問題になっています。ニセの情報も学習させてしまうと、正しくない予測が生まれてきます。最近はニュースがフェイクかどうかを判断するAIへの試みも見られ始めますが、実際にはなかなか難しいものです。むしろ本当に価値がある情報に絞って学習してもらったほうが、良い予測が生まれる可能性があります。

こうして整理すると、確かにAIのスピードや客観的な判断は貴重ですが、AIが学習する情報は私たち人間が入力していることや、AIには得意分野があることに注意する必要があります。こうしたうえでAIによる予想を使っていきましょう。

AIからの予想といっても、同じものではありません。学習データは株価だけか?文字も使っているか?とか、得意分野に絞っているか?をチェックしたうえで、それらの範囲での予想であると割り切ることが重要なのです。

AIは将来株価をどう見ている?

さて、これらの長所や注意点を踏まえたうえで、AIによる日経平均株価の予測を行ってみましょう。

ここでは3月までの経済統計の情報だけを使って、4月から6月までの3ヵ月間の日経平均を予測しました。経済統計のみのデータしか使ってないわけですから、経済環境から判断した日経平均の予測となります。投資家動向や投資家心理などは使っていません。

その結果、日経平均は4.9%程度のプラスの数字が出てきました。後で触れますが、何%上昇するかという水準というよりも、上昇という方向性に注目したいと思います。

ここで足元の相場環境を考えてみましょう。9月には自民党の総裁選があります。それに向けて、今後の政局にはさまざまなシナリオが考えらえます。米国に目を転じると、今年は中間選挙の年です。政局がらみの話は日米でわかりにくい状況になっています。それに、北朝鮮情勢などの地政学リスクも気になります。

どうやら足元の株価はこうしたリスクを懸念して下げ過ぎており、経済環境から相場を見ると、行き過ぎたリスク懸念の反動も期待されて、今後の上昇が予想されます。

最後に、AIからの予測を参考にするうえで最も重要な点の1つがAIモデルの予測精度です。下図は、昨年度下期(2017年10月~2018年3月)に行った予測と、実際の値動きとを比較したものです。

毎月末にAIを使って将来の3ヵ月の日経平均の騰落予測を行い、実際の3ヵ月間の日経平均と騰落率と比べています。棒グラフで示したAI予測に対して、折れ線グラフの実際の日経平均の騰落がなだらかですが、上昇(プラス)と下落(マイナス)はおおむね予測できているようです。

このようにAIの予測値と実際の間の特徴を捉えたうえで、4月から6月までの3ヵ月間は上昇を示唆していると捉えることが重要です。