はじめに
※当コンテンツをご覧になる際は巻末の重要事項も併せてご覧下さい。
最近、耳にする機会が多くなった「ETF(上場投資信託)」。ビジネスパーソンやこれから投資を始めようと考えている人にもオススメと聞きますが、なんだかよく分からないし難しそう…と手がでない方も多いのでは。
そこで今回は、ETF投資歴の長い、公認会計士・税理士の伊藤さんに話を伺い、実際、ETFとはどういう商品なのかをきいてみました!
ETFの買い方と選び方のポイント
MONEY PLUS編集部: ETFってどうやって買えばいいんでしょう?
伊藤: ETF は国内外の取引所に上場している金融商品で、国内の取引所に上場している銘柄であれば、個別株式と同様に全国の証券会社で売買が可能です。東京証券取引所に上場しているETFを購入する場合には、例えばiシェアーズ TOPIX ETFという銘柄であれば、「1475」というように、上場株式と同様に証券コードが付いていて、売買方法は個別株式を購入するのと同様です。
MONEY PLUS編集部: ETFを選ぶ上でのポイントがありましたら教えて下さい
伊藤: 中長期志向の投資の場合、例えば連動を目指す指数が同じETFが、複数銘柄ある場合、コストは運用成果に大きく影響を与える要素ですので、保有コスト(信託報酬)が低いものを選択することがポイントです。次に、対象指数からの乖離率(トラッキングエラー)が大きくないかどうか、出来高による流動性や運用残高がある程度あるかどうか、という要素を見て評価することになります。
ETFを買うなら知っておきたい、iシェアーズって?
MONEY PLUS編集部: 伊藤さんは実際にETFに投資されているんですよね
伊藤: はい、私自身も資産運用としてさまざまなETFを活用していて、現在16銘柄のETFを保有しています。数えてみましたら、うち11銘柄がiシェアーズというブランドのETFでした。iシェアーズとは、世界最大の資産運用会社であるブラックロックが運用する、世界的にも有名なETFブランドです。グローバルでのETF運用資産残高でみても、約4割のシェアを占めています(*出所:BlackRock Investment Institute調べ、2015年9月末時点)。
もっとも、先に述べたような判断軸でETFを選びますので、iシェアーズだからということで選択するということはないのですが、投資対象のETFを調べていると結果的にiシェアーズを選んでいた、というのが正直なところです。
MONEY PLUS編集部: ETFには色んなラインナップがあるんですね、オススメはありますか?
伊藤: 長期投資は、どういう資産の組み合わせで投資するかが大事で、「これがオススメだ」というのは一概に言えないんですよね。まず、自分がどこに投資していくかを決めることが先決です。
先進国、新興国、あるいは単一国ならどの国か、それぞれどのような割合で資産運用していくかという資産配分を考えることが重要です。株式だけでなく、不動産投資信託(REIT)や債券といった様々な資産クラスの金融商品からも選ぶことが出来ます。最近は東京証券取引所においてもETFのラインナップが充実してきました。国内株式同様に売買できるほうが外国株式同様の売買より手間などが少なく済みますので歓迎すべきことと思っています。
ブラックロックのiシェアーズで言うと、2015年10月に投入された、iシェアーズ TOPIX ETF(1475)やiシェアーズ Jリート ETF(1476)はカテゴリ内で信託報酬が最低水準です(出所:東京証券取引所)。従来型の日本株指数ではなく、「スマートベータ」と呼ばれる、株価変動率等、一定のファクターに基づいて構成された指数を選びたければ、2015年10月に同時に出たiシェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF(1477)や、iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF(1478)を検討してもいいかもしれませんね。
税金面での諸注意事項もありますが、インカムゲイン狙い(配当重視)では、iシェアーズ 米国高配当株ETF(モーニングスター配当フォーカス)(1589)やiシェアーズ 米国リート・不動産株ETF(ダウ・ジョーンズ米国不動産)(1590)も注目していいと思います。(外国証券への投資は為替リスクを伴います。また、 Jリートは、他の資産とは異なるリスク特性を持ちます。投資対象資産の価格の値下がりを含むトータルリターンで比較した場合、不動産投資信託は国債と比べて、価格の上下の動きのリスクが大きい資産です。)また、iシェアーズ フロンティア株ETF(1583)というのは新興国よりさらに未開の地の国を投資対象に構成されたもので、さらにリスクをとって開発途上の国々の将来の成長を期待して投資するツールの一つとして関心があります。
MONEY PLUS編集部: 逆に気をつけなければならないポイントはありますか?
伊藤: マーケットの動向に一喜一憂してしまいETFを短期的に売買してしまう点は注意が必要です。最初から短期的な売買差益を狙っているのなら構いませんが、スタンスがブレてしまうと投資成果に結びつきづらくなる場合があると思います。
ETFを含め、リスクのある投資商品を検討する場合は、投資対象をより理解すると同時に、ご自身の投資目的・投資金額・金融知識やご経験を踏まえて判断することが重要と思います。また、ETFでは連動対象指数の構成銘柄に分散投資されるものの、対象となる資産クラスに応じてリスク・リターンの特性が異なりますので、ご自身がどれだけのリスクをとってでどれだけのリターンを期待するのかを踏まえて、対象資産の特長を吟味する必要があります。
投資にはリスクが伴いますし、普遍的で唯一・絶対の正解はありません。自分は何を目指して資産運用をしていくのか、どういうスタンスが向いているのか、ということを考えながら、自分に合った方法を見つけていけば良いのではないでしょうか。
投資目的や運用目的に合わせた多彩な使い方ができるETFなら、忙しいビジネスパーソンだけでなく、既に株式投資されている方にもメリットがありそうですね!これを機会にiシェアーズETFで長期分散投資を始めてみませんか?
関連記事はこちら:忙しいビジネスマンのための長期投資の賢い必需品「ETF」って何?(各証券会社ETFページへのリンクあり)
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- 伊藤会計事務所代表 公認会計士・税理士
- 早稲田大学政治経済学部卒
- 大手監査法人を経て、2005年 伊藤会計事務所開業(現任)、ベンチャー企業の支援業務及び資産管理サービスを行う
- 複数のベンチャー企業の非常勤・社外役員も歴任。資本政策、IPO、M&Aに強い
- 資産管理サービスは、相続税・法人税・所得税等の税金対策及び税務申告、資産活用全般やライフプラン向上を見据えた総合的なコンサルティングやフィナンシャルサービス等を個人・法人へ提供している
- 長期分散投資を志向した資産運用も自ら行っており長年の経験がある
- 早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了、AFP(ファイナンシャルプランナー)保有
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