はじめに

人生100年時代といわれるようになり、「老後」期間も長くなっています。老後に備えるためには、早期からの「長期資産運用」が大事。借りたローンを返しながら資産を少しずつ増やして老後に賃料収入を得る不動産投資で年金対策をする、という方法が人気です。

そこで今回は不動産投資会社 日本アセットナビゲーション代表取締役・茂木亮介さんに自分で資産を作る大切さと具体的な不動産投資のはじめ方を、実際に同社で物件購入をされた30代オーナーの山本さとみさんに購入された経緯や投資の考え方などを伺いました。


最初に決めておきたいのは「範囲と目標」

― 御社のオーナーは、どのくらいの年代の方が多いのでしょうか。

茂木さん: 20~50代までさまざまな年代のお客さまがいらっしゃいます。男女比は7対3で、男性のほうが多いですが、昨年から女性の方が不動産投資に興味をもち、スタートする傾向が増えております。

― これから投資をスタートしようと考える20~30代くらいの方が抱えるライフプラン上の課題とはどんなものがありますか。

茂木さん: 20~30代は、先々の年金への不安を感じていますね。特に20代は、就職先を選ぶときに福利厚生がいい大手企業に勤めたいというニーズが強くあり、安定志向の若者が多いという傾向になっています。もう国には頼れないという意識が強いのでしょうか。若いうちから資産形成をした方がいいと考えている人も多く、よく勉強しています。40~50代に比べるとスマホでネットに接続している時間も長いので、いろいろな投資情報に触れる機会が多いのも特徴です。

― 自分で資産をつくろうとした場合に、何を考えて選択すればいいでしょうか。

茂木さん: 最初に決めておきたいのは、「範囲と目標」ですね。範囲は、自分の収入や資産からどこまで投資していくのかということ、目標は、いつまでにいくらの収益を得たいのかということ。将来的にどうしていきたいのかという方向性の部分がいちばん大事です。

自分で決めて相談に来られるお客さまもいらっしゃいますが、このあたりは当社の個別相談会を受けられてスタッフと相談しながら一緒に考えていくことがほとんどです。

― 不動産投資はどういった方に向いているというのはありますか。

茂木さん: 基本的に「どういった方に向いている」とかはないんですね。不動産投資をしなくても生活できるので。「資産を不動産で形成していきたい」という興味がある方に紹介しています。あってもなくてもいいものではありますが、やらないよりはやったほうがいいというのもあるので、メリットやリスクについて密にお客様へ回答させて頂きます。

― なるほど。なぜ、「やったほうがいいもの」なのでしょうか。

茂木さん: 会社員の場合、「今の給料が今後10年でどうなっていくか?」と考えたら、だいたい想定できますよね。それが満足な額であればいいのですが、給料が下がる不安があったり、その先の老後の年金が不安だったりするのであれば、将来の収入を増やすための手法としておすすめしているのが不動産投資です。

― 不動産投資は、将来的に収入を増やすことにつながるのでしょうか。

茂木さん: 不動産投資をする人の9割くらいは融資を活用して投資用の不動産を購入します。借入期間中は資産を形成している時間で、ローン完済後の家賃収入が、投資をした方の利益となり、その分収入が増やせます。

― 具体的には、いくらくらいの物件を購入するのでしょうか。

茂木さん: 当社の場合は価格1,000万円程度の中古ワンルームマンションを、返済期間25年で借り入れをして、購入します。30代のオーナーさんの場合は、そのまま25年で完済してもいいのですが、40代の場合は途中で繰り上げ返済をして10年、15年で返す仕組みをつくっていくようなプランニングを実際の当社独自の数値シミュレーションを参考にして行っています。

月々のローン返済額が2万5000~3万円程度で、管理費・修繕積立金が1万円程度、管理代行手数料などもかかるので、支出が4万5000円程度。それに対して家賃収入が5万円程度になるので、月々数千円のプラス収支になるイメージです。ただし、この数千円が利益なのではなくて、ローンを完済した後に入る家賃が利益となります。なので、マイナス収支からの運用ではないので完済までの道筋が大事になってきます。

― では、完済までの期間を短くした方がいいですね。

茂木さん: 早く利益を得たい場合はそうですね。購入時に頭金を入れて、返済期間を短くすることもできますが、そのお客さまの資産状態や要望によってプランニングの仕方が変わってきます。これらは個別相談などで実際に数値をご覧頂き、具体的なイメージを持って頂きます。

セミナーだけでは先へ進めない、個別相談がポイント

― 不動産投資に興味を持ったら、まずはセミナーを聞きにいくのがいいのでしょうか。

茂木さん: まずはセミナーを聞きにきていただきたいのですが、セミナーでは一般的な仕組みをご説明するだけで終わってしまいます。興味を持ってセミナーを聞きに来て、「へー、そうなんだ」で終わり、ではなかなか先へは進めないと思います。「次にどうするの?」というところがポイントです。個別に「自分の場合はどうか?」ということを相談してもらわないと具体的に理解してもらえませんし、個々のお客さまの事情に合わせた対応も出来かねるのが実情です。

― 個別相談までお願いしてしまうと、買わないといけないんじゃないかと思ってしまいそうですが。

茂木さん: 不動産業界はそのようなイメージがつきまといますからね。そして、ネットで販売できるものでもないですからね。とはいえ売りつけられないかと不安になる気持ちはわかります。でも、買うか買わないかはどちらでもいいのが私の持論です。まずは、個別相談で話をしてもらって、我々が個別に出したプランニングを見て判断していただき、現状よりも知識を深めていただきたいと思います。

個別相談をして、実際に購入することになったとしても、申し込みから決済までに約1カ月~2カ月程度の時間がかかります。その間には、今回は見合わせるタイミングはいっぱいあるんですよ。源泉徴収票、個人情報の書類など、お客様に協力してもらいながら、金融機関へ提出してもらわないといけないですし、こちらで勝手にできる作業ではありませんから、ご本人さまが納得しないで売りつけるということはまずありません。