はじめに

世界から見た東京不動産の魅力

森記念財団都市戦略研究所が毎年発表している「都市総合力ランキング」というのがあります。5年間ロンドンが1位、2位ニューヨーク、東京は2年前にパリを抜いて現在3位です。しかし、オリンピックを控えた東京と2位のニューヨークの競争が激化しておりまして、近い将来、東京がニューヨークを抜くだろうと言われています。東京の値段はこんなものじゃないんじゃないでしょうか。

こちらが各都市の賃料の比較です。ロンドンは元麻布の2.5倍。ニューヨークすごいですね。家賃が元麻布の2.2倍です。東京にビジネスで来られている方々とお話ししますと、皆さん口をそろえて「東京は物価が安い」とおっしゃるんですね。特に住宅費が安くて住みやすい。このグラフを見るたびに私も、ものすごく頑張れば元麻布あたりに住むこともできるかもしれないけど、ロンドンとニューヨークは絶対無理だなといつも思っています。

世界的な不動産調査機関にジョーンズ ラング ラサールというところがございまして、こちら発表している世界都市を10分類に分けて調査があります。東京はこの中で、最もグローバル化した流動性の高い都市、ビッグ7に選ばれております。この7つ都市だけで、なんと世界の不動産投資額の4分の1を占めています。

世界都市東京の不動産は、日本国内の需要を景気のみに頼っているのではありません。むしろ、国内の買い控えがあれば、国外の投資家がわっと来ます。都市としての流動性、リセールバリューはダントツに高くて世界の大都市と比べて高い利回りと将来性を求めて、海外の企業や個人が集まってきています。

東京圏の圧倒的有利さは皆さまもよくご存じですけれども、現在、大規模の開発だけでこれだけの計画が動いています。これは、もはやオリンピック後の心配をされている方は本当に少ないです。これだけの資本が東京に投入されている。

お金余りは日本だけじゃないんです。世界の通貨供給量も増えていまして10年間で76%増えました。この過剰な貯蓄が今もどんどん日本に集まってきています。今、まさにここ、この品川の地下で、2027年の名古屋開通を目指してリニアの新駅の工事が進んでいます。リニアが開通すること自体、本来ならばとんでもなく大きな出来事なんですけど、他にもこれだけお題があるものですから、特にがんがん取り沙汰されているということもなくなってしまっている。

さらに東京はロンドンシティーのような、アジアの金融街をつくる計画が進んでいまして、都市計画、規制緩和、ハード、ソフトの両面から既にかなり動いています。そしてそこに向かって世界中から優秀な人材が集まってきている。

都内の大型オフィスビル、丸の内、日比谷、浜松町、渋谷、その他10棟程度なんですけれども、既にほとんどのビルでテナントが内定しておりまして、視線は来年完成のビルに向かっています。新部署の設置です。事業拡大、人員拡大のための確保です。大体、ああいう大型オフィスビル1棟建ちますと、5,000人~1万人のオフィス人口が生まれてきます。「Central Business District」なんて書いてありますが、都心に集中オフィス群、そしてそこに直結するエリアの家賃というのは上がり続けています。

このように安全な住まいの需要がさらに高まっていくのにもかかわらず、売買価格が下がることは極めて考えにくい状態になっています。必要とされているのは都心。そして短時間に都心に乗り換えなしで直結する住まいなんです。ニッセイ基礎研究所の試算によりますと、都心までの乗り換えを含めた所要時間が1分長くなるごとに家賃は0.46%ずつ下がってきます。

高くなったにもかかわらず、東京の住宅用の新築マンションは高価格帯から売れています。高いものから売れるのです。水面下といわれる低金利の状態で、ローンの支払金額は変わっていないからなんです。バブル時代、建ったばかりの恵比寿ガーデンプレイスは坪1,000万円しました。今のワンルームぐらいの広さに換算すると1億4,000~5,000万円です。当時は不動産価格の高騰を抑えるために貸出金利もあがりました。銀行系で8%、住宅ローンなのに今のカードローン並の金利です。

赤い線がマンションの価格の推移、青い線が長プラレートです。当時は家賃10万円に対して返済は毎月30万。返しても返して残高はちっとも減らない。そうなったら短時間で高く売り抜けて売却益を得るしかなくなってしまうのです。それがバブルです。そんな持ち出しは無理という方は、地方都市ですとか主要駅から乗り換えが必要な郊外の物件に手を出されて、実際の価値からかけ離れた不動産を買ってしまったわけです。

今は違います。価格が上がって利回りが下がったというものの、調達金利はそれ以上に下がっていますから、その差から得られるイールドキャップはむしろ大きくなっています。リーマン直前のファンドバブル期よりも、現在のイールドキャップは上がっていまして、実は2008年頃よりも過熱度が低いのです。今はインフレとはほど遠い状態ですし、頭金なしのフルローンを組まれましても、家賃で返済できてしまううえに元金は低金利のおかげでどんどん減ってきます。皆さまがお考えになっていらっしゃるのは、投機的な買い方ではなくて、将来にわたって崩れない健全なインカムゲインだと思います。家賃収入を生む不動産を目的にされていらっしゃる方がほとんどだと思います。

今はバブルではなく、実体を伴った価格の上昇です。しかも、他に代わる運用資産が見つからないのです。そのために余裕のあるオーナーたちは売却する必要がないのです。2016年頃に週刊誌などで、その頃からずっと3年ぐらい前、不動産の価格もピークもピーク暴落、暴落とずっと言っていましたけど、価格下落に向かう兆しが全く見られません。

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