はじめに
新築?中古?どちらを選ぶべきか
次に皆さんがお考えになるのはたぶん、新築・中古どっちが果たしていいんだろうかということだと思います。新しいほうがいいに決まってますよね。でも、高いよねと。築浅で手頃なものはないだろうか。ここで申し上げておきたいのですが、築浅で資産性の高いマンションの価格は新築と変わりません。変わるわけありません。むしろ希少性から価格が上がっているものも多数あります。
新築は本当に高いのかどうかを見てみてください。これは今年3月に竣工した新築のガーラマンションと、2002年竣工、築16年のとあるガーラの収支の比較です。収支条件は同じになっています。新築ガーラは2,760万のローンを組みまして、家賃からのローンの支払い、管理費、修繕積立金を引きまして、毎月1,091円の余剰です。とんとんというところですね。対して中古ガーラは、1,900万のローンで収支が8,881円のプラス。年間で10万円ちょっとの余剰です。この余剰で固定資産税も払えてしまえますし悪くないです。
それでは10年たちました。新築はローン残が2,130万円ありますが、家賃で返済が進んだ分と毎月の余剰を足した分をストックと考えますと、新築は650万。対して中古のストックは540万です。
さらに6年たって築16年。同時にスタートしたもう1つの中古物件と同じ年数になりました。新築ガーラのローン残は1,697万円、ストック1,080万円です。この時点で両者の築年数は同じになります。リセールバリューが高いですよね。この数字をご覧になってどうでしょう。新築マンションの数字が高いと思われますか。悪くないと私は思うのですが、どうですか。
次に、賃貸ニーズの2つの要素。立地と快適性。そのうち単身者がほしい快適性というのは何かを考えてみます。
ガーラマンションの入居者は女性が多いのです。半分以上女性なのです。女性のほうがチェック厳しいですから、女性割合が高いワンルームはいいマンションが多いといわれています。大事なのはセキュリティーと水回りです。ガーラマンションは、東京都心、横浜、川崎に現在267棟、18,434戸皆さまにご紹介してまいりました。この業界1位の実績から得られたデータを元に入居者のニーズをつかみ、早くから自社物件に反映させてプランニングしてきています。いろんな会社があると思いますが、ワンルームのデータを一番持っているのはエフ・ジェー・ネクストです。
例えばエフ・ジェー・ネクストでは、10年程前からオートロックにカードキーを採用しています。鍵の交換費用がかかりませんし、コストがかなり下がりました。エレベーターもカードキーがないと動かないです。結果、安全性も高くなりました。24時間オンライン監視システムも見守っています。室内を見ますと、室内のカラーのモニターですとか、浴室乾燥機、給湯コントロール、高性能のシステムキッチンなどいろいろあるのですが、設備機器は日進月歩なのです。値段は変わらないのです。最新のファミリーマンションと遜色ないようにつくられていますが、事業用はコスト計算が大事です。先々皆さまのご負担が増えてしまうような過剰設備はつけちゃいけません。何が必要で何が過剰なのか。私たちは300棟近い実績の中で集めたデータで的確なバランスを毎回考えています。例えば、新築はほぼ独立洗面台をつけているのですが、若い女性にとって、これがあるなしで家賃が1万円変わってくるのです。
さらに入居率に意外と影響するのが、エントランスに代表されるデザイン性です。エントランスは建物の顔です。借りる若い方が、ちょっとお友達に自慢したい。そんなスタイリッシュなデザインというのも、実は賃貸物件の大事な見方です。お金さえかければ、築古の部屋を新しく見せることは可能です。ただし、共有部分は変えられません。しかも新築の設備のランニングコストは安いですし、修繕費などのメンテナンス費用もかかりません。
他に新築をお考えになるメリットの1つとして、借入の金利ですとか、期間などの融資条件が有利であることもあります。また、確定申告の際の償却が大きいために、所得税、住民税の節税効果が中古に比べて格段に高いです。
では、中古は駄目なのでしょうかということですが、10年、20年たっても、リセールバリューのある中古であれば大丈夫です。管理がしっかりしていて、資産性が維持されている中古物件であれば、転売時にたとえ年数がかさんだとしてもリセールバリューは大丈夫です。余剰を生かして積極的に繰り上げ返済を進めていくような持ち方もできます。ただし、中古物件は状態がまちまちです。物件を1個ずつ仕入れて、単純に会社の利益分を乗せて販売している会社はたくさんありますから、そういったところからお買いになる際は注意しなくてはいけません。
こんな例があります。名古屋の中心地、栄駅から5分。すごくいい所です。価格も現金で買えそうな490万円。何よりも高利回りです。管理費、修繕積立金、固定資産税を引いたネット利回り9.1%です。ところが、結局3.3%になってしまいました。
実は、購入して4カ月で退室してしまいまして、賃貸がつかずに5万5,000円だったはずの家賃が3万円になってしまいました。買ったときの家賃が高かったんですね。管理費の1万1,400円、修繕積立金2,300円、月の手取りはわずか1万6,300円です。こうなったら、手放したくても次に買ってくれる人なんて出てきません。こういうリセールバリューの少ない不動産を持ってしまったら、転売ができなくても、賃貸がつかなくても、固定資産税や管理費、修繕積立金をオーナーたちは払い続けなければならないのです。ここまでひどくなくても、転売時にご希望からほど遠い値段しかつかなくて苦労されている方というのは、今みたいな中古の取引が大変活発なときなのでたくさんいらっしゃいます。
これを避けるためには、周辺や他の部屋の家賃相場、空室期間はもちろんのこと、大規模修繕をはじめとする建物の修繕履歴、修繕積立金のストック、滞納金額、管理組合の運営状態、管理会社の健全性、さらに入居者の履歴や家賃の推移、保証人などは最低限調べてください。他の部屋の家賃状態も知りたいですよね、分かればですが。
不動産は長期投資です。短期で転売して利益を得る運用ではありません。高い利回りの理由というのはどこかに必ずあるはずなのです。納得いくまで質問してください。その理由が結局よく分からないと思ったらやめておいたほうが絶対にいいです。
中古を考えるメリットはどこにあると思いますか。中古を選ぶメリットは、価格や利回りではないのです。東京圏には国内と海外の資金があふれています。優良な物件をお持ちのオーナーたちはリファイナンスがすごく容易になっていますので、売却のプレッシャーを受けていないのです。手放しません。そのため、新築と中古の利回りの差はどんどん縮まっています。安いのは出ております、でも高いのは出ないです。中古を選ぶ最大のメリットは、実は立地なのです。今では新しいマンションが建てられないような場所に建っている中古は狙い目です。
中古物件は在庫がだぶついているという方もいるんですけども、立地と管理状態が良い物件は築年数にかかわらず、皆さんの競争で持っていかれます。こういった中古物件をお持ちになりまして、積極的に繰り上げ返済を進めていけば、これは面白いと思います。