はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は横山光昭氏がお答えします。

共働き夫婦で、毎月70万円ほどの収入があります。ですが、今まで家計簿をほとんどつけたことがないためか、やりくりがうまくいきません。高校生の子ども2人を大学に進学させてあげたいのですが、貯蓄は190万円ほどしかなく困っています。特に上の子は、海外留学を希望していますが、それをかなえられるのか不安です。現在、教育費が月16万程かかっていますが、子どものことを考えると減らせません。アドバイスよろしくお願いします。

〈相談者プロフィール〉
・女性、47歳、既婚(夫:51歳・会社役員)、子ども2人(高2・高1)
・職業:会社員
・手取りの世帯月収:70.4万円
 夫:48.2万円
 妻:22.2万円
・預貯金:190万円

【支出の内訳(63.8万円)】
・住宅ローン等:11.7万円
・食費:12.6万円(外食4万円)
・通信費:4.1万円
・日用品:1万円
・教育費:16.3万円(私立高校の授業料と塾代)
・交際費:1.5万円(ママ友との食事代が主)
・こづかい、その他生活費:16.6万円


横山: ご相談ありがとうございます。2人で十分といえるほどの収入があるのに、貯蓄ができていないのは残念ですね。ぱっと見の印象は、全体的に支出が多い、いわゆる「メタボ家計」になっていることが原因だろうと思います。

食費は収入の15%に抑えて

相談者さんは教育熱心なお母さんなのですね。教育費は2人分のため高額になっていますが、今後の受験のために減らせないのであれば、他の支出を下げられるよう進めていきましょう。

まず、4人暮らしの家庭では食費を大体15%前後に抑えています。相談者さんのご家庭は18%なので、極端に割合が高いわけではありません。ただ、収入が多いので、同じ割合でもかなりの金額を食費に費やすことになってしまいます。

4人暮らしの平均的な1ヵ月の食費は5~8万円程度である印象です。幅があるのは、食へのこだわりにより差が出るということです。まずはここを見直してみましょう。

外食費が月4万円は少々高いと思います。もし、お料理が苦手であれば、お惣菜なども上手に利用しながら、自炊と組み合わせて食費の削減をしていきましょう。

1週間ごとに食費の予算を決めて買い物をしたり、買い物に行かない日を作るのも削減につながります。

格安スマホで支出を大きく削減

スマートフォンなどの通信費も、4人全員分を大手キャリアで利用していると〔月8,000円以上×使用している人数〕となり、高額になりがちです。

仕事上、通話をよくする人は適しませんが、ネット検索やメール、SNSを中心とした使い方をしているのであれば、格安スマホに変えても問題はなさそうです。

また、固定電話を自宅のインターネット回線と一緒に契約をしているなら、利用頻度を見ながら、固定電話のみ解約を検討してもよいかもしれません。

妻の小遣いをブラックボックスにしない

そのほか、相談者さんは小遣いとは別に、ママ友との外食代として交際費を使っていることも気になります。よく妻の小遣い相当額を家計に紛らせ、生活費として処理してしまうご家庭があります。妻の小遣いがブラックボックス化しているのだろうと思われます。

「自分にかかる費用は小遣いの中から」というルールを設け、しっかり守りましょう。

もし、小遣いが足りないのであれば、いくら必要なのかを明確にし、妥当かどうかを家族で話し合った上で、小遣いアップを検討してみると削減につながると思います。

このように見ていくと、意外と支出を削減できることが分かります。

老後資金の準備も視野にいれて

教育費は下げられないとのことでしたが、現在通っている塾、もしくは進学先などについては、家計の現状を踏まえながらお子さんと十分に話し合いましょう。

相談者さんのご主人は現在51歳。定年後の暮らしについても考えなくてはいけません。継続して65歳まで働けるにしても、現在の貯蓄190万円からスタートし、教育費を捻出しながら老後資金を作っていくことは大変です。

幸い、収入が多いことが強みです。今からがんばれば、老後資金も準備できるでしょうから、支出を削減して、貯えを増やすようにしてください。支出を削減するといっても、決して神経質に毎日気にしなくてもよいのです。時々、支出を振り返り、ムダがないかを確認してください。

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