はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はマネーフォワードから生まれたお金の相談窓口『mirai talk』のFPがお答えします。
小学生の子どもが2人いる4人家族です。子どもの大学費用や自分たちの老後資金を考慮し、計画的に貯蓄をしたいのですが、家計は毎月赤字です。ボーナスから貯蓄していますが、実はいくら貯まっているのかは把握できていません。どのように見直しをしたらよいでしょうか。NISAやiDeCoに興味があるので、できたら投資も始めたいと思っています。また、9年前に一戸建てを購入し変動金利で返済中です。来年、住宅ローン控除の期間が終了するので、固定金利に借り換えをした方がよいのか迷っています。アドバイスをいただけますでしょうか。
〈相談者プロフィール〉
・男性、40代前半、既婚(妻:専業主婦)、子ども2人(9歳・7歳)
・職業:会社員
・手取り月収:25万円
・年間ボーナス:60万円×2回
・預貯金:300万円
【家計の内訳(31.6万円)】
・住宅費:9万円(住宅ローン返済含む)
・水道光熱費:1.9万円
・生命保険:1.2万円
・食費:8万円(外食含む)
・通信費:1.5万円(携帯2台と固定回線)
・教育費:3万円
・日用品:2万円
・趣味・娯楽費:3万円
・衣服・美容費:1万円
・その他不明金:1万円
FP: ご相談ありがとうございます。miraitalkファイナンシャルプランナーの大石です。
今の収支状況は毎月ギリギリか、赤字というところですね。おそらく「うまく把握できていない」という言葉があるように、無意識にボーナスなどで補填されているのだと思います。
まずは支出をざっくり把握すること
お金を貯めるために、毎月の収入の中からしっかりと貯蓄ができるように改善したいものです。そのためにまず必要なのは支出の把握です。
支出を把握するには記録することが不可欠ですが、細かくやりすぎると長続きしないので、まずは支出を「消費」「浪費」「投資」に分ける、「家計の三分法」を実践してみましょう。三分法を試していただくと、自分の支出の仕方を振り返り、必要なところにお金をかけ、いらないと感じた部分をカットしていこうと考えられるようになります。
貯めている人の家計と比較すると、相談者さんは食費、日用品、趣味・娯楽費などの支出が多いです。まずはここから、削減できる支出があるかどうか、三分法で記録して探していきましょう。
健全な家計管理とは、当たり前ですが、収入の中で支出が収まることです。まずは毎月5%、できるようになったら10%と、貯蓄に回せる金額を増やしていきましょう。そうすると、ボーナスからの補填もなくなり、丸々残せるようになります。ボーナスでも使い途をよく検討し、7割から8割程度を貯蓄に回せると、かなり家計が安定してくると思います。
金利差が1%以上なら借り換えの検討を
住宅ローン控除の終了に伴い借り換えを検討されているとのことですが、まずは金利を比較してみましょう。
固定金利の方が安定していて返済計画が立てやすいですが、現在は変動金利の方が金利がかなり低いため、借り換え前後の返済総額や今後のライフプランを踏まえて考えていくといいでしょう。たとえば、フラット35の借り換え専用・手数料先払いタイプですと、固定金利で1.340%です。
また、下記の3つの条件に当てはまるようであれば、諸費用がかかっても借り換えた方が有利になる可能性が高いです。
・金利差が0.5%以上ある
・借り入れ期間の残りが10年以上
・ローン残高が1,000万円以上
借り換えが無意味にならないよう、金利や諸条件に注意をしながら検討していただくとよいと思います。もし、借り換えをすることで毎月の返済額が少なくなるのであれば、家計の黒字化にもつながりますね。
支出削減には限度あり、妻も働く検討を
削減ポイントはいくつかありますが、すべてを実践しても、相談者さんの家計で減らせる支出は限られていると思います。生活を送るためにかかる支出を大幅に減らすことは難しいためです。
削減策を実践した上で、思うように貯まらない場合は、妻が働きに出ることを検討してもよいと思います。2人のお子さんも小学生ですので、学校に行っている間の時間を使うなどして、パートをすることも可能だと思います。事情を踏まえながら、増収を検討されてみてはいかがでしょうか。
教育費は、早い段階からコツコツと貯めておきたいものです。大学入学までに1人300万円ほどを目指して貯めていきましょう。ご収入に児童手当が含まれているかどうか、ご質問からはわかりませんが、0歳から貯めておくと(平均的な収入の方であれば)198万円になります。今からでも児童手当を貯蓄できるような家計運営を目指してみてはいかがでしょうか。
家計が安定するまで投資はつみたてNISAで
iDeCoやつみたてNISAにもご興味があるようですが、まずは家計を見直し、余剰金が出せるようになってからスタートしていただければと思います。
奥さまが専業主婦なので、iDeCoは毎月23,000円まで拠出できますが、現状では収入がないので拠出金の税優遇が受けられません。相談者さんのお勤め先に企業年金があるかどうかにより、加入できるかどうか、できるとしたら掛け金はいくらまでなのかが異なります。加入条件や掛金はiDeCo公式サイトでも調べることができるので、確認してみてください。
iDeCoは拠出すると原則60歳まで引き出しができません。税制優遇面ではやや劣りますが、まだ家計が安定していない現在の状況では、つみたてNISAを検討いただきたいです。つみたてNISAであれば、年間40万円まで運用益に対して非課税で投資をすることが可能です。
iDeCoやつみたてNISAは月5,000円からといった少額からでも始められますので、まずは家計改善を進め、余剰金を少しずつ投資に回していけるとよいでしょう。
mirai talkはマネーフォワードから生まれた公平で安心できるお金の相談窓口です。新宿駅から徒歩約5分。家計改善のコツがわかる無料セミナーを毎週開催しています。