はじめに
「生前贈与」と認められるためには?
今回のケースについて大和証券自由が丘支店の相続コンサルタント南上沙友理さんに話を聞きました。
南上さん:今回のケースは、お父様が残された預金口座の存在を、ご遺族の方がご存じなかったことが原因と考えられます。贈与とは民法上の契約にあたるため、贈る方と贈られる方どちらかが知らない場合は成立しません。「名義預金」とみなされないためには、以下のような贈与の証拠を残しておくことが大切です。
(1)両者の署名と日付入りの贈与契約書を作成する。
(2)受贈者が口座の管理をし、登録印鑑も贈与者と異なるものを使う。
(3)期限内に贈与税の申告をし、贈与税を支払う。
相続に関する税務調査で、名義預金の申告漏れを指摘されるケースはとても多くなっています。国税庁の統計によると、平成28事務年度に申告漏れと判断された財産3,295億円のうち、約32.5%が現金・預貯金となり、特に名義預金についての指摘が多いとされています。
「生前にもうちょっと話しておけばよかったですね。そうすれば感謝の言葉も伝えられたかもしれないです」(山田さん)
先祖を祀るお盆の時期、話しにくい話題ですが、ちょっと家族で話しておくと、将来の不安が少しは軽減されるのではないでしょうか。
※2021年11月、現行法令を確認し内容を更新しています。