はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はマネーフォワードから生まれたお金の相談窓口『mirai talk』のFPがお答えします。

シングルマザーですが、実家住まいのため、貯蓄はある程度できています。しかし、子ども2人が私立大学への進学を希望しているため、教育資金と自分の老後資金が足りるのか不安です。貯蓄のほとんどは定期預金や保険だけで、資産運用をやったことはありません。子どもの大学費用を捻出した上で、自分の老後資金を作っていくことは可能でしょうか。

〈相談者プロフィール〉
・女性、45歳、シングルマザー、子ども2人(18歳・16歳)
・職業:会社員
・手取り月収:35万円
・年間ボーナス:50万円×2回
・預貯金:1,800万円

【家計の内訳(22.5万円)】
・住宅費:なし(実家住まいのため)
・水道光熱費:2万円
・生命保険:3万円
・食費:7万円(外食含む)
・通信費:0.8万円
・教育費:2万円(一時的な費用は貯蓄から)
・日用品:0.7万円
・趣味・娯楽費:1万円
・衣服・美容費:3万円
・その他不明金:3万円
※ボーナスの8割を貯蓄に回している


FP: ご相談ありがとうございます。miraitalkのファイナンシャルプランナーの秋山です。お子さん2人を私立大学に行かせたいのですね。教育費や老後資金が心配になりますね。

老後資金を残しながら教育費を貯めるコツ

毎月10万円以上の余剰金がありますし、住居費がかからないことにも助けられ、やりくりはうまくいっていると思います。貯蓄もよくできていると感じます。ただ、お子さんの教育費を全額負担するとなると、老後の生活費とのバランスをきちんと見据えておいたほうが良いかもしれません。

まず、学費ですが、自宅から私立文系の大学に通うと考えても、4年間の学費として1人500万円ほどを見積もったほうがよいでしょう。2人分だと1,000万円になります。理系であればもっと学費が高いでしょうし、自宅以外から通う場合は仕送りの有無もあるので、金額を計算しておく必要があります。

次に、老後の生活費について考えてみましょう。仮に、相談者さんが受け取れる年金額を15万円とし、老後の生活費を教育費分を引いた20.5万円とすると、不足額は月5.5万円となります。65歳までお仕事されるとして、65歳から100歳までを老後の期間とした場合、老後資金として必要なのは [5.5万円×12ヵ月×35年=2,310万円] と考えることができます。

現在の貯蓄から学費を出して800万円に減ることを見込んでも、相談者さんは毎月10万円以上の余剰金がありますから、65歳まで20年間きちんと貯めていければ、老後生活に入るタイミングで貯蓄は3,200万円となり、不足はないように見受けられます。

ただ、人生は何が起こるかわかりません。子どもが独立するまで親がすべて出してあげるという姿勢でいるよりは、子ども自身に多少の自己負担をさせ、学んでいる自覚を持たせるのもよいと思います。

いざという時に助けられる資金を残しつつも、子どもにアルバイトをさせて金銭感覚を養わせるのもよいのではないでしょうか。それが、老後資金をきちんと残しつつ教育資金を作っていくコツにもつながると思います。

余剰資金は預貯金だけにせず、投資の検討を

せっかく毎月余剰金があるのですから、そのまま預貯金にしておくのはもったいないですね。銀行の預金金利よりも利回りが期待できる積立投資を検討してみてください。
 
今は老後資金作りのためのiDeCo(個人型確定拠出年金)や、長期投資のためのつみたてNISAなど運用益が非課税になる制度があります。どちらも、「長期」「分散」「積立」の投資の大原則に乗っ取った運用を行うもので、商品の選び方によっては低コストである程度のリターンを狙った運用も可能です。

制度により選べる投資商品が異なったり、それぞれにメリット・デメリットがありますが、どちらも初心者に向いている制度です。45歳ということでしたら、老後までにまだ時間がありますし、始めてみてもよいと思います。

投資に不安があるようでしたら、まずは普通の課税口座、もしくはつみたてNISAの口座で始めて、「値下がりが怖い」「向いていない」と思うようであれば、やめてもよいと思います。iDeCoは税制メリットが大きいですが、一度拠出すると60歳までは引き出しができないため、慣れないうちは引き出し可能なものを選ぶのも1つのやり方です。続けられそうだと思うなら、iDeCoとつみたてNISAを併用して積立投資をしてもよいでしょう。

不明金、子供が独立後の保険料…支出はまだまだ見直せる

現在も十分貯蓄ができている家計ではありますが、まだダウンサイジングを図れる部分もありそうです。食費や衣服費、不明となっている3万円、お子様が独立されたあとの生命保険料などは見直してみてはいかがでしょうか。

また、投資を始めると、家計の無駄な支出が見えてきたり節約が楽しくなってきたり、今までとは違うお金の見方ができるようになることが多く、お金の使い方も変わってくるだろうと思います。

子育ても終盤で、徐々に自分にかけられるお金も増えてくると思います。老後をしっかり楽しめるように、いろいろ取り組んでみてください。

mirai talkはマネーフォワードから生まれた公平で安心できるお金の相談窓口です。新宿駅から徒歩約5分。本気で家計を変えたい人のための「貯まる家計養成プログラム」を提供しています。

この記事の感想を教えてください。