はじめに

最近、筆者の周りでも興味を持った方が多くいる金融商品があります。アセットマネジメントOneが設定する「ゴールドマン・サックス社債/国際分散投資戦略ファンド2018―07」という投資信託です。

約6,000本ある国内の公募投信のうち、為替リスクのない円建てで、投資したお金が目減りしない「元本確保型」は他にはないというのが触れ込み。今回は、この商品の資料を読みながら、投資信託について勉強してみましょう。


投資家のニーズは強い

この商品は7月11~30日の期間で、大和証券を販売会社として販売されましたが、当初設定額は307億円となったようです。この307億円という数字は、今年設定された国内公募の株式投資信託の中で4番目の大きさになります。

かなりのニーズがあったことは、この数字を見れば理解できるかと思います。一部報道によれば、9月から他の販売会社も加えた第2弾が販売されるようです。元本確保型という言葉と、為替リスクのない円建て商品であるという2つの要素が、日本の個人投資家には刺さったのではないかと思います。

家計の金融資産の半分以上が現金・預金である日本においては、株式などのリスク資産に投資することに過度な不安を感じる人が多いのは明白。元本確保型という言葉が実際にアクションを起こす際のハードルを下げてくれる効果は高いと思います。

また、直近ではトルコリラが暴落し、同通貨に関連する金融商品も軒並み資産価値を下げたことは日々ニュースでも取り上げられています。日本人は外貨が絡む商品で定期的に大きな損失を出す傾向にあるので、この商品が円建てであるということも、人気になった要因の1つであるといえるでしょう。

資料はしっかりと読まないといけない

基本的に投資は自己責任ですから、金融商品を購入する際は、しっかりと自分で関連資料を読んで理解することをお勧めします。投資信託の場合は、運用会社や販売会社のホームページや、開示書類閲覧サイト(EDINET)を開き、目論見書(投資信託説明書)や販売用資料、有価証券届出書を読み込むことを指します。

投資の基本ですが、わからないものには投資をしないことが大事です。それでは、本商品の関連資料を読み込んでみましょう。

まず、本商品は元本確保型の投資信託になります。ポイントは「元本保証型」とは謳っていないことです。実際に資料の中でも、「元本確保を目指します」と記載されています。つまり、投資した金額が絶対に減らないわけではないことは理解しましょう。

本商品はゴールドマン・サックスが発行する円建て債券に投資するため、満期償還まで保有すれば元本が返ってくるという社債の性質とほぼ同質です。しかし当然ながら、投資する債券の発行体などが債務不履行となった場合や、信託期間中にファンドを解約したり、ファンドが繰り上げ償還された場合は、元本を下回る可能性は十分にあります。

信託財産留保額も設定されており、途中解約した場合は換金申込受付日の翌営業日の基準価額に0.3%の率を乗じた額を換金時に負担する必要があります。

また、本商品は特化型運用ファンドであり、銘柄集中リスクを抱えています。つまり、集めた資金のほとんどをゴールドマン・サックスが発行する円建て債券だけに投資するため、信用リスクを思いっきり取っていることになります。

資料の中では同債券がザ・ゴールドマン・サックスグループ・インクによる保証が付されていることから、同社が格付投資情報センター(R&I)からAの信用格付けを得ていることを記載しています。格付けが高いとはいえ、1社の債券のみに投資する投資信託であるという点は理解する必要があります。

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