はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
夫があと数年で定年です。子どもはまだ小さいのですが、できれば同じタイミングで退職したいと考えています。老後資金はどのくらい必要になりますか。
〈相談者プロフィール〉
・女性、40歳、既婚(夫:53歳・会社員)、子ども1人(4歳)
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:150万円
(夫:年収1,300万円)
・毎月の支出目安:15万円
花輪: 老後の必要資金はその人の生活費、収入(年金など)、退職年齢、運用利回りなどによって変わります。
受給年金を確認して試算を
たとえば、60歳で退職をする場合、65歳までの5年間は収入がなくなります。
現在、毎月の生活費は15万円ですが、子供の教育費等で月20万円を見込むとしましょう。その場合、貯蓄などから年間240万円を取り崩すことになり、5年間では1,200万円に上ります。
50歳以降になると、65歳以降の年金額を「ねんきんダイヤル」で確認できます。現在の収入と支出を考えると、年金の範囲内でやりくりできそうですが、子どもの大学費用などは大きくなるため、まかなえるか計算するためにも確認してみましょう。
私立と公立で大きく費用の異なる教育費
60歳の時に子どもの年齢は11歳程度、65歳の時の子どもの年齢は16歳程度ということも頭に入れておきましょう。
文部科学省の「子どもの学習費調査」(2016年度)によると、授業料、給食費、校外活動費などを含む1ヵ月の学習費総額は、中学生の場合、公立で約4万円、私立で11.1万円。高校生では公立で約3.8円、私立で約8.7万円となっています。
大学の入学・在学費用に関しては、日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果」(2017年度)によると、国公立大学の場合は合計約503万円(月額約10万円)、私立大学文系の場合は約738万円(月額約15万円)、私立大学理系の場合は約808万円(月額約17万円)です。
日本FP協会のホームページなどでは長期で資産推移を予測できるキャッシュフロー表がダウンロードできるので、ぜひシミュレーションをしてみましょう。
お金の寿命を延ばすには退職後も仕事を
また、現在手元にある資産額や運用利回りによっても、お金の寿命は変わります。
たとえば、資金2,000万円を毎月7万円ずつ30年間で取り崩したい場合、年率1.6%の想定利回りが必要になります。金融電卓で計算ができるので、ウェブサイトで探してシミュレーションをするのも手です。
介護など予備費も必要ですし、妻や子どもなど扶養家族の年齢も若いので、資産額によっては定年退職をしても仕事をゼロにするのではなく、フリーランスなどで年100~200万円稼ぐというのも検討してみてもよいかもしれませんね。
リタイアメントプランをしっかりと立てたいのであれば、老後資金の相談をファイナンシャルプランナー等の専門家に相談してみましょう。