はじめに

いよいよ2016年も終盤になり、うれしい年末ボーナスシーズンが到来。年末ボーナスの賢い使い道の一部として、自分の将来のため資産形成の第一歩として少額からでも「投資」を始めてみるのはいかがでしょうか。

「投資」というと、FXや先物、株式投資など「怖い」「損しそう」「お金持ちがやるもので自分には関係ない」という人も多いかもしれませんが、「投資=危ないもの」ではありません。正しい知識で実践すれば、ただ貯金だけをしているよりも着実に資産形成の役に立ちます。また、損をしにくいものから投資を始めて少しずつ慣れるという方法もあります。

ボーナスの使い道を考えると心が躍るけれども、景気が良く企業業績も右肩上がりの時代とは変わって、年金不安や、2016年以降の為替や株式市場の下落やマイナス金利等で変化の早いこの時代、どのようにして資産運用していき、お金と付き合っていけば良いのでしょうか。

投資の必要性は感じても、何からどうして良いか分からない方。今期のボーナスをきっかけに、実践できるマネープランをいま一度一緒に考えてみましょう。


ボーナスはどのように使っていくのが賢い使い道か

経団連が11月4日に発表した2016年、大企業が支給する冬のボーナス調査では、妥結額は平均92万7,892円と前年比0.84%(7,707円)増えています。

  • 2016年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)

日本経済団体連合会より引用

日常的な生活費とは別に、ボーナスならではの使い道をどうしようか考えると心が躍る年末時期。旅行・レジャーや趣味の支出だけではなく、増えた分のボーナスを将来のために自分への投資に回すことも考えたいところです。

人口が減っていく日本で、老後の年金や将来の生活は大丈夫か、子育て・住宅購入のための資金作り、あるいは将来の結婚資金など、お金について悩まないためにも、「資産形成」にボーナスの一部を回してみてはいかがでしょうか。

お金の管理もしないといけないと思って、日常的な出費を家計簿アプリで管理している人もいるかもしれません。資産形成のためには、支出の管理と合わせて貯蓄の方法も考えていくことが有効です。

例えば、日経新聞による読者モニター調査での夏のボーナス使い道では、貯蓄44.1%、生活費の補てん19.3%、旅行・レジャー12.6%に続き、投資は11.6%でした。

新聞等のいろいろなメディアで見るボーナスの使い道アンケートなどでも同じような傾向が見られ、ボーナスの使途は「預金」という人が最も回答が多いように見受けられます。「投資」「資産運用」に資金を回す人はまだまだ少数のようです。

貯金しているだけでは利子もほとんど付かない今の時代、長期的に回せるお金を「資産運用」することで資金を殖やしていくことも考えて計画し、みんなより一歩先に実践することが、自分の人生を経済面においてより良い方向に繋げられるでしょう。

下記表は、毎月1万円を積み立てながら資産運用により1~5%の複利利回りを実現した場合に、5年後~30年後に資産額がいくらになるかという計算表です。資産運用を長く続けるほど、運用利回りを高めるほど、資産の増加幅が大きくなることが分かります。

  • 毎月1万円を積み立てしながら複利運用したときの資産金額

(年間の投資元本12万円の場合)

なぜ貯金よりも投資がいいのか

貯金だけではなく投資にも目を向けた方が良い理由は明快で、貯金してもほとんど増えない資金を少しでも多く増やすためです。

将来の資産形成のために資産運用を考えたい、という人は多くいますが、お金は増やしたいが投資のリスクが怖い、何から始めれば良いのか分からない、といったことで、思ってはいても実際に最初の行動を始める人は少ないかもしれません。

ただ上記表の通り、複利効果は長期になるほど効いてくることを考えると、長期の資産運用は早く始めれば始めるほど有利です。資産運用の複利の効果は時間軸が長いほど投資の果実を多く得られやすいですし、何より少しずつ経験を積むことも大事です。

投資は確実に儲けを得られるものではなく、元本が減ってしまうリスクが伴います。ただ、このリスクは、投資先の特性を理解し、複数の投資先へ分散したり余裕資金の一定の範囲内にすることで損失額を許容できる金額以内に抑えるようコントロールは可能です。

少しずつ経験を積むことは、副次的には「自分への投資」にもなります。「自分への投資」とは、習い事や勉強のようなスキルアップのようなものが思い浮かびやすいと思いますが、それだけではありません。自分の将来の生活に向けた資産運用や投資行動に伴う経済や金融の学びも含めて「自分への投資」と言えると思います。将来に向けた資産形成のための投資は、長期的な視点から取り組む必要があります。長期投資は、実践しながら基本的な知識を身に付け学習することは望ましいですが、デイトレードのような頻繁な取引を常時して、生活の時間を取られたり仕事に支障を及ぼしたりするような労力を掛けることもありません。

筆者自身、個人的な投資経験は15年ほどになりますが、実際に投資をすることにより得られる経験がある方が間違えた行動をして損をしにくくなりますし、投資の成果は上げられやすくなり、実際に投資活動をしているからこそ経済や金融についてのニュースへの関心度合も高まり得られる知見も向上していくことを実感します。経済や金融の知識はビジネスマンとしての知見にも生きることも多いのではないでしょうか。