はじめに
史料ホールで昔の証券や道具を見る
施設1階の出入口付近にある証券史料ホールでは、1868(明治元)年から1970年代までに使用されていた道具や、証券関連の史料が見学できます。
入口にある金属製の重厚な壁は、東証がまだ東京株式取引所だった1931(昭和6)年に建てられた「本館ドーム」で使用されていた扉。取り外され後、この場所に移設されているのです。大きさは縦約4.0m、横4.3mほど。
素材は丹銅という銅と亜鉛の合金。レトロな雰囲気で存在感がありますね。
史料ホールでは、昔の証券も見られます。
こちらは明治初期の「大日本帝國政府金祿公債」。各藩に仕えて俸禄を得ていた武士は、明治維新で定期収入がなくなりました。その代償として、明治政府から交付されたのがこの公債でした。
よく見ると、公債の下にチケット(利札)が付いているのがわかりますか?「利金参拾五銭」と書かれています。これを切り取り銀行に持っていくと、現金と交換できる制度になっていました。
上場会社の株券は2009年から電子化し、現在は発行されていませんが、株券があった時代の、さまざまなデザインの株券も見ることができます。例えばこちらは南満州鉄道株式会社の株券。下部には機関車のイラストが書かれています。
靴下やストッキングで有名な福助株式会社の株券はこちら。
他にも、サンリオの株券はキティちゃんなど、各社でおなじみのキャラクターがプリントされた株券が発行されていました。アナログ時代ならではの遊び心ですね。
さらに昭和初期頃に使用されていた、帳簿の罫引きやそろばんなどの事務用品の展示を見ることもできます。
昔のコンピュータに関する展示も見ることができます。実は日本で初めて商用コンピュータが導入されたのは東証。
1949(昭和24)年、証券市場が開かれると、景気上昇のために株式取引が増加し、作業量も急増しました。とうとう1953(昭和28)年2月12日には、午前立会の売買照合が間に合わず、午後の立会が休業する事態が起こったのです。そこで、東証はコンピュータ導入に至りました。
初めて導入されたレミントン・ランド社製(現:日本ユニシス株式会社)の計算機の実物はありませんが、写真で見ることができます。1974(昭和49)年に実用化された、日立製作所製の相場報道システムのコンピュータは実物が展示されています。