はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

現在、夫とは別居中で賃貸に住んでいますが、今後のことを考えて2380万円の中古住宅を購入したいと考えています。ただ、家計は毎月5万円の赤字です。この先、教育費や老後資金のことも考えると住宅購入は難しいでしょうか。


〈相談者プロフィール〉
・女性、47歳、既婚(別居中)、子ども2人(大学1年、中学1年)
・職業:会社員
・居住形態:賃貸
・手取りの世帯月収:25万円
・毎月の支出目安:30万円
・貯金:1200万円
・負債(住宅ローンなど):なし


花輪: 現在、子どもが大学生ということで、教育費が非常にきつくなっているのだと思います。

日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果 2017年度」によると、大学の入学・在学費用は、国公立大学で合計約503万円(月額にすると約10万円)、私立大学文系では約738万円(月額にすると約15万円)、私立大学理系では約808万円(月額にすると17万円)になります。

そのため、多くの家庭では大学資金を学資保険などで貯蓄し、貯めたものを切り崩して学資を捻出させる場合も多いです。そうした特別な理由があるのであれば、期間限定で赤字になるのも致し方がないでしょう。

赤字の状態で住宅購入するとどうなる?

しかし、毎月赤字の状態でマイホームを買ってもいいのでしょうか。

お金がかかるライフイベントが一度にあると、家計のやりくりはきつくなります。

中古住宅の場合は、仲介手数料などもかかり、初期費用に物件価格の1割程度は現金で準備をしたいものです。つまり、300万円程度ですね。

貯金から捻出させることも可能ですが、子どもの学費でも年間60万円程度赤字になっています。4年間で240万円の赤字になるので、住宅と両方で540万円の貯金を取り崩すと、貯金が660万円程度になる恐れがあります。

月々の支払いをシミュレーションすると

現在賃貸暮らしなので、住宅ローンを組む場合は、住宅ローンの支払いと維持費が賃料以下になるように気をつけましょう。また、65歳など定年退職までに完済できるプランを組みましょう。

たとえば、2380万円を金利1%で18年間借りた場合、毎月返済額は12万円程度です。毎月の収入が25万円なので、住宅ローンの支払いが収入の約半分になってしまいます。

頭金を500万円入れた場合はどうでしょうか。その他は同じ条件だと、毎月の返済額は約9万5000円になります。先ほどよりは無理はなくなりますが、依然として収入に対して高い割合です。また、貯金が200万円程度に減ってしまうのも懸念材料です。

「何のために買うのか」もう一度再考を

マイホームを買うのは何のためなのかを、もう一度考え直してみてもよいかもしれません。

老後の備えであれば、子どもが巣立ってから自分のための、やや小さめのマンションなどを購入するのも手かもしれません。

2人目のお子さんの教育費と自分の老後資金も準備しなければなりません。そう考えると、住宅ローンが収入の大半を占めてしまうと貯金をすることが非常に難しくなると思います。

住宅の予算を見直すか、このまま賃貸に住み続けることも含めて、ライフプランを考え直してみてもよいかもしれません。ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談をするのも一つでしょう。

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