はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

我が家は、共働き夫婦に長男ひとりの3人家族です。現在小学校5年生の息子についてですが、大学在学中に1年の留学、もしくは大学院は海外で、と考えています。そのため、外貨建ての資産を持とうと思っています(当たり前ですが、留学先は未定です)。できるだけ汎用性のある外貨ということでドルを考えています。なかなか始めるきっかけを掴めないでいますが、どういった資産をどのように形成するのがよいでしょうか。また、預貯金以外持っておらず、どの証券会社がよいのかわかりません。コストが安く安全な証券会社の選び方を教えてください。よろしくお願いいたします。


〈相談者プロフィール〉
女性、40代後半、既婚、子供1人(小5)


内藤: 外貨資産の構築をお考えということですが、タイミングを掴めないのであれば、時間を分散して投資していくことも考えられます。そのためにはまず、最終的にどの位の外貨資産を保有する予定なのか、目標値を立てることが第一です。

たとえば資産の40%を外貨資産にすると決めたら、目標の比率に向けて徐々に外貨を購入して比率を高めていきます。具体的には、3ヵ月で10%ずつ外貨比率を高め、1年後に40%にするといったプロセスになります。

外貨投資をする際に重要なことは?

外貨投資で重要なのは、コストを下げることです。銀行の外貨預金などは通常ドル円で為替手数料が1円かかります。売買の往復で2円ですから、かなり高コストです。ユーロや豪ドルといった他の通貨になると、さらに為替手数料がかかります。

外貨投資で初心者がまず活用すべきなのは、投資信託です。積立も使え、投資対象が株式から債券、不動産まで幅広いからです。インデックスファンドを活用すれば、年間の管理コスト(信託報酬)も1%以下。ドルだけではなく世界の主要通貨に分散投資をすることが可能です。

中上級者になったら…

また、中上級者になったらFXも検討できるでしょう。レバレッジが25倍までかけられるということで危険な商品だと思われていますが、売りと買いのスプレッドがドル円では、0.3銭程度と外貨預金に比べ、圧倒的に低コストになります。

FXで重要なのはレバレッジを掛けすぎないことです。私もドルの買いポジションを使って外貨運用をFXで行っていますが、レバレッジは最大でも3倍程度までに抑えています。

このような低レバレッジなら、為替変動リスクは外貨預金とそれほど変わらず、コストとリスクを抑えた外貨運用を実践できます。

コストを重視した証券会社選びを

証券会社の選択ですが、コストを考えればネット証券を選択すべきです。株式の手数料が安いだけではなく、投資信託も販売手数料のかからない「ノーロードファンド」を豊富に揃えています。

ネット証券大手であれば信用力も問題ありません。また、国内の株式は保管振替機構、投資信託は信託銀行で管理されていますから、万が一証券会社が破綻した場合でも資産は保全されることになります。

大手ネット証券の画面を見て、いくつかの会社から口座開設資料を取り寄せ、気にいった会社の口座を開けば良いでしょう。

外貨資産を保有することは、円以外の資産に分散投資が実現するという意味があります。計画を立てて、実践していってください。

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