はじめに

カロリーは減っても脂質の多い食事に、運動も減少

さて、体格には食事と運動が影響しますが、これらの状況はどうなっているのでしょうか。厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、1日の摂取カロリーは国民全体で減少傾向にあります。2000年と2016年を比べると、男女とも20~50代の減少が目立ちます。

男性では最も減っているのは30代▲195kcalで、40代や50代でも約130kcal減少しています。また、女性で最も減っているのは40代▲159kcalで、50代や20代で約130kcal減少しています。

一方で摂取カロリーのうち、脂肪エネルギー比率は増えており、40代以上の上昇幅が比較的大きくなっています。つまり、中高年男女を中心に、摂取カロリーは減っているものの、カロリーに対して脂肪分がやや多い食事内容となっています。食生活の洋風化が進んだ影響があるのでしょう。

なお、運動習慣については、男女とも70歳以上では増えていますが、他の年代では減っています。特に男女とも30代で大きく減っています(図3)。

よって、中高年男性で肥満が増えているのは、摂取カロリーは減っているものの脂肪分の多い食事が増えていることに加えて、運動習慣も減っているためなのでしょう。一方、女性でも脂肪分の多い食事が増え、運動習慣も減っていますが、肥満は減っています。それは、男女の体格の差がありながらも、摂取カロリーは男性と同程度に減っていることが影響しているのかもしれません。

さらに、男女とも摂取カロリーが減っているのに対して、体格の変化が異なる理由には、食事のとり方や知識の違いもあるでしょう。例えば、また、男性で就寝前の飲食やドカ食いが多いけれど、女性では少ないことなども考えられます。女性では若い頃からダイエット意識が芽生えることも多いため、女性が食生活の常識として認識していることでも(肥満には摂取カロリーの影響もあるが食のバランスや食事を取るタイミングも影響するなど)、男性ではさほど知られていないことも多いのではないでしょうか。

消費者の困りごとは新たな消費機会に

BMIの推移を見ると、同じようにダイエットに関心が高くても、それぞれの理由は異なります。中高年男性では肥満の改善、中高年女性はアンチエイジング、若い男性では美意識の高まりなどがあるようです。
消費者の困りごとには新たな商機が隠れています。ライフスタイルが多様化する中で、どんな層がどんなことに困り、どんなことを求めているのか、1つ1つ解きほぐしていくことで、新たな消費機会が生まれるのではないでしょうか。

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