はじめに

利用者激増、10年で98.7倍に

ふるさと納税の制度がはじまる前は、日本には寄附の文化がないので制度自体あまり活用されないのではないかと疑問の声があがっていました。しかし、いろんな自治体が知恵を絞って魅力的な返礼品を用意するなど工夫をした結果、当時では考えられないくらいに利用者が増えています。利用件数の伸びや税額控除額については、以下のグラフをご覧ください。

出典:総務省ホームページ(平成30年度ふるさと納税に関する現況調査)

適用初年度は約3万人であった利用者が、平成30年度には約296万人にまで伸びていることがわかります。

さらに、金額ベースでは、平成30年度では約2,448億円にものぼっています。平成25年度以降、ずっと上昇傾向にありますので、この傾向は今後も続くものと思われます。

ふるさと納税の見直しの動向

これほどまでに定着してきたふるさと納税の制度ですが、まったく問題がないわけではありません。

ご承知おきのとおり、自治体間での競争が過熱し、高価な返礼品やふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されていることなどへの懸念から、総務省は自治体に向けて、平成29年4月1日に「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」という通知を出しました。

そこでは、返礼割合を「寄附額の3割以下」に見直すことなどを通知。さらに、今年の4月1日に再度、同様の通知が発出されました。そして、同じく今年の9月11日には、2回にわたる通知以後、返礼割合が3割超の自治体は減少してきてはいるものの、依然として3割を超える自治体があるという調査結果が団体名入りで公表されました。

出典:総務省ホームーページ(ふるさと納税に係る返礼品の見直し状況についての調査結果)

現在、来年度の税制改正の議論がされているところですが、これらの調査を受けて、総務省では何らかの対応をとることを検討しているようです。年末に向けて、ふるさと納税に関する税制改正のニュースが注目されるところです。

いかがでしたか。本シリーズでは、ふるさと納税の制度の内容・失敗事例からふるさと納税のやり方・確定申告の方法まで取り上げます。本シリーズを読み終えたとき、ふるさと納税をしていない人にとっては、ふるさと納税ができるようになることを、また、すでにふるさと納税をしている人にとっては、より理解が深まることを目標に解説していきたいと思います。

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