キャリア

京急はVCとのタッグで“住みやすい沿線”に変われるか

来年4月に実証実験がスタート

第1期で浮き彫りになった課題

京急電鉄がアクセラレータプログラムを実施するのは、今回で2回目。第1期では2017年10月に募集を開始し、今年7月に成果発表会を開催していました。この時に得られた成果として沼田部長が掲げるのは「社内的な意識変革」と「新たな気づき」です。

多くのグループ企業を抱える京急電鉄では、組織横断で1つの取り組みを進めるのが難しかったといいます。しかし第1期では、原田一之社長を筆頭に、全社でプログラムに思い入れを持ってもらえたことで、社員を巻き込むことができたと振り返ります。

また、スタートアップとともに取り組むことで、自分たちだけだと気づかなかった側面が多々あったともいいます。

たとえば、アウトドアアプリの「ヤマップ」との取り組みでは、1泊2日のトレッキングイベントの2日目の朝、自社ホテルで有効活用できていなかった芝生広場で朝ヨガの体験会を開いたところ、想像以上の参加者が殺到。既存のハードに新たなソフトコンテンツを加えることで、魅力あるプログラムができたそうです。


記者説明会で握手する、京急電鉄の沼田部長(左)とサムライインキュベートの榊原代表

その一方で、課題も浮き彫りになりました。京急単独でベンチャーへの出資枠を設けていましたが、採択企業の大部分がすでに資金調達のタイミングを過ぎていたことに加え、京急にシードへの投資に関するノウハウや経験がなかったため、投資の意義づけを明確にできなかったといいます。

シードとの取り組みにおいて、有望企業に創業まもない段階で出資できることは大きな魅力。有効に新規事業創出と結び付けていくには、どうするのが最善か――。そう考えた結果、たどり着いたのが、アクセラレータプログラムだけでなく、シードベンチャーキャピタルファンドと連携し、それぞれの長所を生かしながら、事業創出に結び付けていくというスタイルでした。

京急とサムライが描く青写真

今回、京急電鉄はサムライが昨年組成したファンドに数億円規模を出資。国内外の有望企業との接点を増やし、ファンドから育成ノウハウの提供を受け、オープンイノベーションの推進に役立てていく考えです。

アクセラレータプログラムであれば実証実験が終了するまでの短期の関係になりがちですが、ファンドからの出資になると10年以上の付き合いになるケースが多いもの。「アクセラレータプログラムが完了した後、事業連携やM&Aの可能性もある。そこまで広げていけるか、期待しています」(沼田部長)。

サムライインキュベートの榊原健太郎代表は「京急さんは品川から三浦半島に多様なアセットと課題をお持ちなので、スタートアップと一緒になって新しい世界を作れれば、世界中にモデルのような街が生まれる。伴走して目指したい」と、壮大な野望を語ります。

課題先進地域の京急沿線は、スタートアップとの息の長い連携を通じて、暮らしやすい沿線に変貌できるか。京急の取り組みは一沿線のバリューアップにとどまらない、大きな期待を背負っています。

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