はじめに

ワンストップ特例制度で確定申告は不要に

平成27年4月1日以後に行われたふるさと納税から、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」がはじまりました。

この制度は、確定申告の不要な給与所得者等で、寄附先の自治体数が5団体以内である場合に限り、ふるさと納税を行った各自治体に申請書を提出することで所得税の確定申告が不要になるというものです。これは、ふるさと納税のためだけに確定申告をしなければならなかった人の事務的な負担を軽減する措置です。

申請書は、希望すると各自治体から郵送されたり、各自治体のホームページからダウンロードできるようになっていることが多いです。何か心配なことがあれば、各自治体に直接問い合わせましょう。

特例制度の適用申請後から翌年の1月1日までに、転居による住所変更等、提出済の申請書の内容に変更があった場合には、ふるさと納税を行った翌年の1月10日までに、ふるさと納税をした先の自治体に変更届出書を提出する必要があります。

また、6団体以上の自治体にふるさと納税を行った場合や、所得税の確定申告を行う場合には、特例制度の適用を受けることはできません。ふるさと納税についての控除を受けるためには、期限内に所得税の確定申告を行う必要がありますのでご注意ください。

返礼品には税金がかかる!?

ふるさと納税をして返礼品を受け取った場合には、自治体から返礼品の贈与を受けていることになりますので、実は所得税の課税対象になります。

所得税法上では、その性格によって所得を10種類に区分しています。返礼品を受け取った場合の経済的利益は「一時所得」という所得区分になります。一時所得とは、くだけた言い方をすると“単発で発生した所得”のことをいい、たとえば懸賞や福引の賞金品や競馬や競輪の払戻金、生命保険の満期返戻金などが該当します。

一時所得は、以下の算式により計算します。

一時所得=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(50万円が限度)

ふるさと納税はあくまでも寄附なので、見返りを求めて行うものではないというたてつけになっています。したがって、収入(返礼品)を得るために支出した金額は0円です。しかし、算式を見ていただくとわかるように、最高50万円の特別控除額がありますので、返礼品の時価が50万円を超えていなければ、一時所得は発生しないので、それにかかる申告の必要はありません。ふるさと納税をたくさん行っている高額所得者の方はお気をつけください。

このように、今回は税金の計算の仕組みについて見てきました。計算の仕組みはそれほど難しくないと感じた方が多かったのではないでしょうか。あとは、ご自身の状況・属性等に応じて、確定申告にするのか、ワンストップ特例制度の適用を受けるのか、ご判断いただければと思います。

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