はじめに

変化する就職市場の構図

人手不足感が強まる中、就職市場における競争の構図も変化してきそうです。今回の調査では、「新卒人材確保のための施策」として、3つの取り組みについてもアンケートを実施しています。初任給の引き上げ、女性の採用比率向上、外国籍学生の採用の3つです。

このうち、初任給は49.9%の企業で実施、もしくは予定しているという結果が出ました。また、女性の採用比率は56.2%の企業で、外国籍学生については24.3%の企業で、それぞれ実施・予定しているようです。

つまり、企業側は「女性の採用比率向上 → 初任給の引き上げ → 外国籍学生の採用」という順番で、新卒採用の戦略を組み立てていることがわかります。就職活動中の学生にとって、初任給の引き上げは喜ぶべき状況かもしれませんが、外国籍学生との競争など従来よりもシビアな環境に置かれる機会が増えていきそうです。

対応策には「充足率」がヒントに

もし今後、企業の採用熱がピークアウトに向かい、就職市場における競争も激化していくとすると、2021年卒以降の学生はどんな対策を検討しておくべきなのでしょうか。ヒントになりそうなのが、企業側の採用計画に対して実際に採用できた学生の割合を示す「充足率」です。

2019年卒の充足率は80.0%と、全体では計画通りに人材を確保できていない現状。ただ、これを細かく見ると、業種別では医療・福祉(38.8%)、建設(50.0%)で計画を大きく割り込んでいます。また、地域別では首都圏が89.0%、京阪神が92.0%と、都市部に労働供給が集中している状況です。企業規模別では、1,000人以上の企業では100%を超えているのに対し、1000人未満の企業は71.2%にとどまっています。

折しも、新卒採用市場においては、地方都市の中小企業が企業単位ではなく、街ぐるみで新入社員の面倒をみる「就域」という動きが出始めています。マクロ経済の先行き次第ではあるものの、2021年卒以降の学生は、先輩学生よりも視野を広げた就職活動を進めていく必要が出てくる可能性もありそうです。

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