はじめに
2018年11月18日、品川・グランドプリンスホテル新高輪内の国際館パミールで開催されたイベント「お金のEXPO 2018」。本イベントでは、お金のプロが「お金が貯まる」「お金を増やせる」賢い方法や、お金に困らないための家計改善の方法、知っていると得をするお金の知識をお伝えしました。
当日開催されたセミナーの中から、本記事ではコムジェストアセットマネジメント株式会社マーケティング&IRマネジャー渡邉敬氏によるセミナー、コムジェストが実践する「持続可能な成長への長期投資」についてご紹介します。
投資で押さえておくべき3つのポイント
渡邉氏: 弊社は株式の長期投資に特化したフランスの資産運用会社です。政府系ファンドや年金基金などが主なお客さまで、長期的な視点で投資いただいております。よく投資を始められた方や、投資を検討されている方は、「長期投資が良い」ということを耳にされるかと思いますが、本日は長期的な資産運用とは何か、その手法や考え方をできるだけ簡単にお伝えして、ぜひ皆さまの今後の資産運用を考える上でのお役に立てたらと思います。
本日は、3つことをお伝えしたいと思います。この3点は、この先ずっと使っていただけます。景気の良し悪し、リーマンショックのような100年に一度の経済危機、また昨今、政治経済をにぎわせておりますトランプ大統領の言動など一時的に株価に変動を与える要因に振り回されず、どのような状況下でも変える必要のない考え方ですので、ぜひ覚えてお帰りいただきたいと思います。
株価は長期的には企業の利益成長に連動する
まず1点目のポイントは、「株価は長期的には企業の利益成長に収斂する」という、株式市場の大前提です。これはコムジェストが考えたことではなく、成長していく企業の価値、株価というのは長期的にみれば着実に上がっていくという株式投資の真髄です。弊社は持続的に高い利益成長をする企業に長期投資をするということが、一番確率が高いリターンを上げる方法だと信じています。実際の事例でご紹介いたします。
シスメックスの場合
まずシスメックス社という、弊社が2002年から投資している医療機器メーカーをご紹介します。あまり聞き慣れない方も多いかと思いますが、きっと皆さまも一度はお世話になったことがある会社です。検体検査機器の世界トップシェアを持っている会社で、血液検査や尿検査の機器を研究・開発・販売しています。
例えるなら、プリンターを買うと、それに合うトナーやインクを買い続けなければならないのと同じで、検体検査機器というのは使用するにあたって専用試薬というものを必ず買わなければなりません。つまりシスメックスは、機器の販売が増えれば増えるだけそこに付随する試薬の売上が伴い、安定した収益予測が立てやすく、今後の利益成長が見込みやすいという、非常に優れたビジネスモデルを持っている会社なのです。
また、同社は高い技術を持っていることから、競合他社に比べて、早い時間で多くの検査項目を検査ができるため、世界シェアを拡大させています。昨今、日本では高齢化が進んでおりますし、世界の先進国の中でも同様に高齢化が進んでいる国がありますので、血液検査をする人が増えています。
また、新興国においても中間所得層が増えて、今まで血液検査をしていなかった人がするようになっているということで、需要自体も大きく伸びており、過去15年間の利益が、15年前を100とすると現状1,300ほどですので、13倍近く利益を増やしています。株価においても、15年前を100とすると現状では約3,000になっていますので、株価は30倍になっている状況です。長期で見ると企業の利益に株価が連動しているということがお分かりになるかと思います。
短期で見ますと、例えば13年のところは利益が右肩上がりなのですが株価は下がっていて、15年以降は、株価がやや停滞していたけれども利益成長はしっかりしていたというように、株価と企業の利益が連動していない時期もあるのですが、長期で見ますと、株価も利益も右肩に上がって連動していることが言えると思います。