ダイキンの場合

もう1社ご紹介したいと思います。こちらは皆さまもおなじみ、世界最大の空調機器メーカーのダイキン社です。特に商業用施設向けの空調機器では、世界シェアの30%を持っている会社で、早くから海外進出を積極的に行っております。特に中国の中間所得層の増加による恩恵を受けており、米国においても実績を積み上げています。2007年、リーマンショック以降は停滞していた時期もあるのですが、過去15年を見てみますと右肩上がりで利益がしっかり伸びている会社です。

株価を合わせて見ますと、先ほどのシスメックスと同じように、短期的にはギャップがある時期はあるのですが、長期的には株価が企業の利益に連動していることが言えるかと思います。

またご存じの方も多いかと思いますが、日経平均というのは、東京証券取引所の一部に上場している2,000社の中から、日経新聞社が選んだ225社で構成されている指数です。その225社に関しましても、過去15年で見れば利益はしっかりと伸びていて、それに伴って株価も上がっているといった状況です。

ただ、今ご紹介しましたシスメックス社やダイキン社のような、高い利益成長をしている企業と比べますと、若干、株価も利益も、もの足りないような水準となっています。

もちろん、利益成長率がプラスの会社もあれば、マイナスな会社もあります。元世界トップシェアの携帯電話メーカーだったフィンランドのノキア社ですが、2007年にAppleがiPhoneを発表した後にスマートフォンが爆発的に普及する中、同社はスマートフォンの開発が追いつかなかったということで、大きくシェアと利益が下がってしまいました。結果、2013年にマイクロソフトがノキア社の携帯部門を買収したので、そこから業績を立て直して少しずつ回復してきているところですが、15年前と比較すると、株価も利益も下がったままといった状況です。

これらのチャートから、株価は長期的には企業の利益に収斂するということを見ていただけたかと思います。

株価は短期では予測できない

次に、2点目のポイントになります。私どもは、株価を短期で予測できないと考えるとともに、予想する必要はないと考えております。それはなぜかと申しますと、株価は短期では需給やニュースで簡単に動いてしまうからです。

例えばある日のニュースのトップラインでは「○○日の東京株式市場で日経平均株価は反落して始まった。始値は前日比210円安の2万2404円だった。前日の米ダウ工業株30種平均が反落し、投資家心理がやや弱気に傾いた」と説明されています。

ご注目いただきたいのは「投資家心理がやや弱気に傾いた」というところです。前日の米国の株式市場が下がったので、投資家心理が弱気に傾いたことによって、日本の株式市場が下落したということを言っています。日本のどこかの企業が大きく利益成長できなくなったといったことではなくて、投資家の弱気な心理が原因だということです。

果たして、この投資家心理を読むことに意味があるのでしょうか。当たるケースもあれば、外れるケースもあると思うので、私どもはそこに注目するのはあまり意味がないと考えております。

もう一つ事例をご紹介します。こちらのチャートではまず2016年11月9日の日経平均の株価にご注目頂きたいと思います。この日の日本時間の朝方、トランプ氏が当選確実になったということで、日本では「トランプショック」という言葉が飛び交い、日米同盟の根幹が揺らぐのではないかといったことや、超円高が進むのではないかといったニュースが駆け巡り、1日で1,000円以上の大きな下落をみせました。

しかし、この大暴落の翌日には1,000円以上戻しています。これは、日本の株式市場が閉まった後、米国株式市場ではトランプ大統領の実行する大型減税により好景気になるのではといった期待により大幅に上昇、そして翌日日経平均にも影響を及ぼしたのです。この時、トランプ氏の当選を見越しこのような株価の動きを予測できた市場関係者はほどんどいなかったのではないでしょうか。このようなことからも、私どもは予測しにいくことに力をそそぐことにあまり意味がないのではないかと考えております。

なお、最後に注目する期間を前後含めた1年間に伸ばしてみてみますと、単なるノイズにほかならないということが見てわかるかと思います。