はじめに
40代は子どもの教育費や住宅ローンなど、人生の中でも一番お金の出入りが激しい時期です。老後のための貯蓄をしたいと思っていても、なかなか手がつけられない、何から始めたらいいのか分からない人も多いかもしれません。
中長期的な目線で、お金を増やすために投資を行うことは、国が進めていることでもあり、そのための制度も整ってきました。今回は、主婦が毎月のパート代から資産形成を行うにはどんな制度を活用するとメリットがあるのか見てみましょう。
老後の資産形成づくりは、iDeCoかつみたてNISA
2017年から専業主婦がiDeCoに加入できるようになり、2018年からはつみたてNISAがスタートしました。どちらも老後の資産形成に利用しやすい国の制度であり、たびたびメディアでも取り上げられています。
iDeCo(イデコ)は個人型確定拠出年金と言われる自分で作る年金制度です。一方、つみたてNISAは少額で長期・積立・分散投資のための非課税制度です。それぞれの内容を比較してみてみましょう。
iDeCo | つみたてNISA | |
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利用できる人 | 日本に住む20歳以上60歳未満 | 日本に住む20歳以上 |
口座開設可能数 | 1人1口座 | 1人1口座 |
手数料など | 加入時のみ:2,777円 口座管理料:年間2,000~8,000円(金融機関による) | なし |
最低投資金額 | 5,000円から1,000円単位 | 金融機関による |
非課税投資枠 | 月額27.6万円(専業主婦の場合) ※職業による上限額あり | 年間40万円の上限(20年間で最大800万円) |
税優遇期間 | 拠出から受取まで税制優遇あり | 運用益非課税:最長20年間 |
投資可能期間 | 60歳まで投資可 ※60歳になるまで原則引き出し不可 | 2018年~2037年※途中解約可 |
投資対象商品 | 定期預金・保険(元本確保型)・投資信託(元本変動型) | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託ETF(上場投資信託)など(すべて元本変動型) |
iDeCoのメリットに挙げられるのが税制優遇です。
具体的には、拠出時の掛金が全額所得控除になること、運用益が全額非課税になり、受取時には退職所得控除(一時金受取の場合)と公的年金等控除(年金受け取りの場合)があるなど、3つの段階で税制優遇が受けられます。
一方のつみたてNISAの税制優遇は運用益が全額非課税になるのみですが、受取時はiDeCoと違って税金はまったくかかりません。
パートで働く主婦の場合、配偶者である夫が配偶者控除を受けるために、敢えて収入を抑えて働いている人も多いことでしょう。その場合、iDeCoの拠出時に所得控除の税制優遇を受けられないことが考えられます。年収によりどちらの制度の方がメリットがあるのかみてみましょう。
年収103万円ならつみたてNISAのメリットは大きい
パートの年収が103万円の場合、所得税はかかりません。所得税を計算するときには、課税所得に税率をかけます。年収103万円から給与所得控除65万円、基礎控除38万円を引くと課税所得は0(ゼロ)になり、所得税も0(ゼロ)です。
iDeCoとつみたてNISAを行なった場合、iDeCoは加入時や年金手数料などのコストがかかりますが、つみたてNISAではそのような手数料は不要です。また40歳から60歳までの投資可能金額はiDeCoよりつみたてNISAの方が148万8,000円多くなります。
他には、つみたてNISAは途中解約が可能であり、運用益が出ているときに引き出すこともできます。総合的にみると、つみたてNISAの方が使い勝手がいいと言えるでしょう。