はじめに
年収129万円の場合はiDeCo の選択も考えたい
パートの年収が129万円の場合、所得税は以下の計算より1万3,000円です。
課税所得:129万円-65万円-38万円=26万円
所得税:26万円×5%(所得税率)=1万3,000円→所得税は1万円に軽減
※iDeCoの税制メリット 6万円(年間拠出金額)×5%(所得税率)=3,000円
iDeCoを行なうと、掛金は全額所得控除ですから、仮に最低投資金額5,000円/月(年間6万円)を拠出した場合、年間の所得税3,000円は還付されることになります。還付については生命保険料控除と同様に会社の年末調整で行うことができます。
また、住民税についても所得税同様に控除となります。
課税所得:129万円-65万円-33万円=31万円
住民税:31万円×10%=3万1,000円→翌年の住民税は25,000円に軽減
※iDeCoの税制メリット 6万円(年間拠出金額)×10%(住民税率)=6,000円
※住民税は一律10%として計算
住民税の場合は、翌年の住民税から引かれることになります。住民税の課税の仕組みは、前年の給与に対して翌年に課税されることから、還付ではなく翌年6月頃に届く「住民税決定通知書」に基づき6月の給与から天引きとなります。
「所得控除」の中の「小規模企業共済等掛金控除」に反映されているのでチェックしてみましょう。
iDeCoの掛金に対して所得税3,000円と住民税6,000円の合計9,000円が控除になるということは、本来支払うべき税金が戻ってくることになります。
iDeCoにかかる年間手数料2,000円~8,000円を引いたとしても、iDeCoを行うことの一定のメリットはあると言えます。
家計全体のメリットも考えるとどっち?
夫の扶養内で働く場合、家計全体でのメリットについても考えておきたいところです。パートの年収が103万円の場合は配偶者控除38万円を、また129万円の場合は配偶者特別控除38万円を夫が受けることができます。
つまり、妻の年収が103万円、129万円いずれの場合も、夫は38万円の控除を受けることができます。たとえば夫の所得に対する税率が20%の場合は、夫が納める税金が7万6,000円(38万円×所得税率20%)減ることになります。
ただし、夫の年収が1,220万円を超えると配偶者控除・配偶者特別控除を受けることができなくなります。また1,120万円を超える場合にはこれら控除額が段階的に少なくなります。
つまり、夫が高年収の場合、妻が税制上の扶養内に収まっていたとしても夫の税制メリットはありません。
家計全体でのメリットを考えた場合、夫の年収に関わらず129万円で働いてiDeCoを選択することが妥当と言えます。
パート先を変わる時には社会保険の扶養に注意しよう
年収129万円で社会保険上(健康保険や国民年金)の扶養になっている場合、勤務先を変えることで扶養を外れる可能性があるため注意が必要です。
実は勤務先によってはパートであっても、以下の要件を満たす場合には健康保険と厚生年金の社会保険に加入することになり、「106万円の壁」とも言われています。
•労働時間が週20時間以上
•1ヶ月の賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)
•勤務期間が1年以上の見込み
•勤務先が501人以上の企業
•学生を除く
夫の扶養を外れて社会保険に加入するということはデメリットだけではありません。健康保険上の新たな保障や厚生年金など老後の年金が手厚くなるなどのメリットもあるため、自分がどのように働きたいのか?も含めて家族で話し合っていくことをおすすめします。