はじめに

人生100年時代。これまでよりも“老後”が長くなる一方で、年金支給に対する不安は年々高まっています。こうした中、資産運用による“自分年金”づくりの重要性が増しています。

しかし、国を挙げて進めている「貯蓄から資産形成へ」の歩みは遅々たるもの。「どうやって始めればいいのか、わからない」「投資の勉強の仕方がわからない」などの理由から、投資を始めるきっかけをつかめない人も多いのが現状です。

こうした状況を変えようと、対面証券大手のSMBC日興証券が2月15日、日本初の新たなサービスをローンチしました。日興の小さな一歩は、証券業界を変える大きな一歩となるでしょうか。


3700銘柄を少額・コストゼロで購入可

2016年11月に日興証券が配信を始めた、投資とお金に関する情報メディア「FROGGY(フロッギー)」。今回、新たなサービスとしてローンチしたのは、同メディア上で株式の売買ができるという「個別株の取引機能」です。

日興証券に口座を持っていれば、フロッギーの記事を読んで気になった銘柄をシームレスに購入できます。“億り人”の投資手法を取材した「リアル投資家列伝」や上場企業の社長インタビュー、テーマ株投資に関する連載など、700本以上のコンテンツから、自分の関心に沿って銘柄を選ぶことが可能です。

【フロッギーでの株の購入フロー】
フロッギーでの株の購入フロー

購入できる銘柄は、東証1部、2部、マザーズ、JASDAQに上場している約3,700社。購入金額は最低500円から500円単位となっています。通常の現物株取引であれば、単元株と呼ばれる、まとまった株数で購入する必要があるため、最低でも数万円の元手が必要になりますが、それに比べると購入のハードルはかなり低く設定されています。

取引金額の決定にはVWAPトレード方式を採用しており、その日の前場・後場の平均価格で取引することが可能。デイトレードには不向きですが、買いタイミングがわからない初心者には安心できる仕組みです。

もう1つ特徴的なのは、100万円以下の購入金額であれば、手数料に相当するコストがゼロである点。売却や100万円超の購入の場合はコストが発生しますが、少額取引の際にはメリットが大きいといえそうです。

「従来の日興の戦略とはまったく違う」

少額で取引したいユーザーに便利な、この新サービス。可能にしたのが、「キンカブ」という日興証券が2006年に取り扱いを始めた金額・株数指定取引です。

これまでは1万円以上、1,000円単位でしか金額指定ができませんでしたが、今年2月5日に商品性を大幅に変更。最低取引単位を500円以上、500円単位に改めるとともに、取引コストも大幅に引き下げました。

キンカブでは、日興証券が保有する株式を小分けにして、購入希望者に売却する形式を採用しています。単元株未満の株数で購入できる類似サービスは他にもありますが、購入時に手数料が発生してしまいます。

日興証券の丸山真志ダイレクトチャネル事業部長は「当社としては破格のサービス。まずは投資家をしっかりと呼び込んでいく狙いです。従来の日興の戦略とはまったく違う取り組みだと考えています」と話します。

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