はじめに

生涯所得をふやす方法を検討する

手元に入ってくる収入には限界があります。有限であるからこそ、やりくりは必要です。しかし、その手取りばかりに目を向けるのではなく、収入自体をふやすことと、それがどんなよい影響をもたらすかについても考えてみましょう。

1.収入をふやすことを検討する
ご相談者様はまだ30代です。会社員であれば定年までは時間があります。自営業であれば定年を気にせずに働き続けることができますが、会社員はある程度まとまった収入を得られる期間というのは決まっています。その期間中に、しっかり稼いでおくことが大切になります。

そこで、収入をふやすことも検討してみてください。例えば、手取り額を毎月20万円、25万円……にするにはどうすればいいか? 現在のキャリアを活かせる新しい職場を探す、または、新しい分野にチャレンジする、さらには、資格の取得を目指すなど、アクションを起こさない限りは現状のままです。もし、現在の実家を出ることが確定しているのであれば、思い切って条件のよい仕事を探しやすいエリアに引っ越すということも考えられます。

2.収入がふえると社会保険からの給付によい影響も
収入がふえると、税金や社会保険料の負担が重くなりますが、じつは良い影響も出てきます。

ご相談者様が高齢になったときに受給できる老齢厚生年金もそのひとつです。老齢厚生年金の報酬比例部分は報酬額に比例した年金です。年金額の計算には平均標準報酬額(平成15年3月以前分は平均標準報酬月額)を用いるため、今後収入がふえれば平均標準報酬額もふえて、年金の受給額もふえます。そのほか、病気やケガで会社を休んだときに給付される傷病手当金も、収入がふえて標準報酬月額がふえれば、比例して給付もふえることになります。

また、70歳まで就労すれば、年金の受給額をさらにふやすことができます。健康であれば細く長く働くことができるかもしれませんので、社会保険への加入を最大限に活かせるような働き方も知っておいてください。

借家にするのはなぜ?しっかり確認を

まずは、一番モヤモヤしている事柄から交通整理していきましょう。そのためには、実家(名義はお父様と仮定)を借家にする理由をお父様に確認してください。そして、不安に思っている気持ちも正直に伝えたらいいと思います。

ご相談者様がいずれは実家を相続されるのかどうかも気になる点です。相続されるにしても、やはり相続までの間は賃貸暮らしをしなければならないのか、親子間の肝心な事柄が不明ではモヤモヤするままです。そのうえで、本格的に、実家を出る準備のために何をすべきなのかを考えていただけたらと思います。

家計の見直しも大切ですが、節約は実行する本人のストレスを伴いますので、ある時反動がきてしまうこともあります。見直しや節約を徹底するその前に、収入をふやすことを考えるなどの策を検討してみましょう。

この記事の感想を教えてください。