はじめに
マップ作製に桐谷さんもノリノリ?
今回の企画展を開催したのは、インターネット証券大手の松井証券。渋谷のど真ん中でイベントを開催することになったものの、いきなり株と言っても人が来てくれないのではないか。そんな風に悩んでいたところに思い浮かんだのが、桐谷さんでした。
実は、桐谷さんが株を始めたのは、1980年代に東京証券協和会の将棋部で師範をしていた当時、教え子だった松井証券の社員から勧誘されたのがきっかけ。以来、35年の付き合いがある同社からの依頼に、二つ返事で引き受けたのだそうです。
松井証券が今回の企画展のターゲットに据えるのは、株取引をやったことがない20~40代の人たち。体験することに重点を置いた企画内容にすることで、後で振り返った時に「株をやってみようかな」「そういえば、あの時のイベントをやっていたのが松井証券だったな」と思い出してもらいたい狙いです。
特に感じてもらいたいのが、株主優待がこんなに身近な場所で使えるということ。目玉企画の優待マップには、そんな思いが込められているそうです。桐谷さん本人からも「あれを足して、これも足して」という要望が寄せられ、映画館も普段使っているところと違っていたために差し替えたといいます。
桐谷さんが説く“優待投資の魅力”
このように、ご本人もノリノリで監修した今回の企画展。桐谷さんが伝えたいメッセージとは、どんなものなのでしょうか。そう話を振ると、「生活に潤いを与えてくれる優待株を買ってもらいたいです」という答えが返ってきました。
優待生活の魅力について熱っぽく語る桐谷さん
配当を実施している会社の株を保有していれば、株主は配当収入を得ることができます。しかし、この収入には約20%の税金が課されてしまいます。一方、現物支給である株主優待には税金がかかりません。
したがって、税金が課された後の利回りで考えると、同じ金額を配当だけで支払っている銘柄よりも、配当と優待で支払っている銘柄のほうが利回りは良くなります。また、一般的に優待が株価の下支え要因となり、優待銘柄は相対的に値崩れしにくいともいわれています。
優待銘柄は現在、約1,500社。このうち、5万円以下で購入できる優待株は100社以上あるといいます。こうした点を踏まえて、桐谷さんは「優待投資は少額投資家にとってメリットが大きい」と力を込めます。
難点を逆手に取る“桐谷さん流”満喫術
ただし、1点だけ難点がある、とも桐谷さんは指摘します。それが「株主優待には使用期限がある」こと。しかし、期限があるからこそ、前述したメリット以上の恩恵を株主に与えてくれる側面もあるようです。
たとえば、レストランに行った時、普段であれば高くて食べられないものも、優待券の期限が近づくと使わないともったいないので、高いものでも食べられる、といいます。「期限までにあれこれやり繰りして優待券を使うのが楽しいんです」(桐谷さん)。
また、1人だと使いきれない量の品物やサービスが受けられる株主優待もあったりします。そういう時、優待券を使うために友人を誘ったりすると、それがきっかけとなって友達が増えたりするそうです。
優待株投資を始める前は、株が暴落したら将棋の成績も悪くなったという桐谷さん。しかし、優待株投資に変えてからは、精神的に安定するようになったといいます。「優待生活を始めてから、楽しいことが増えました」と、本当に楽しそうに話します。
初回のトークショーは大盛況
開催初日に開かれたトークショーは、事前に配布した整理券が4時間半で予定数がなくなってしまう人気ぶり。桐谷さんが16時に会場に現れると、大勢の観客から歓声がわき上がりました。
次回のトークショーは3月1日の開催予定。桐谷さんの生の話を聞きながら、優待生活について考えてみると、資産運用の新たなヒントが見つかるかもしれません。