はじめに

売却前に確認すべきポイント3つ

住宅ローンが残っているマンションを売却する際の確認ポイントです。

1. マンションの売却価格
2. 売却時の諸費用
3. 自己資金

まず、お住まいのマンションがいくらで売却できそうか、相場を知ることが重要です。インターネットなどで、同じような条件のマンションがいくらで売りに出されているかを確認したり、不動産業者に査定を依頼しましょう。今回はすでに売りに出されているようですが、現実的には住宅ローンよりも低い金額でしか売却は難しそうですね。その場合、売却金額で完済することはできないので、手元の貯金から差額分を準備する必要があります。

また、売却する際には諸費用がかかります。以下が代表的なものです。

印紙税: 1万円
(1,000万円超~5,000万円以下軽減税率適用)
登録免許税: 抵当権抹消登記2,000円、住所変更登記1,000円
司法書士への手数料: 1万円~3万円程度
仲介手数料: 3.24%+6万4,800円(上限)

特に仲介手数料については大きな金額となりますので注意が必要です。今回のご相談者さんの希望金額の1,570万円で売却できたとすると、57万3,480円となります。ローンを組んだ金融機関によっては、繰り上げ返済に手数料がかかる場合もあります。すなわち、仮に住宅ローンの残債と同額で売却できたとしても、約60万円近くを手元の自己資金から拠出しなければなりません。

ローンの残ったマンションを売却する場合の目安としては、以下の通りになります。

マンション売却価格+手元資金 > 住宅ローン残債+売却時諸費用

住宅ローンの借り換えも視野に入れて

今回のご相談の場合、マンションの売却価格がローンの残高を下回る可能性が高いようなので、手元資金がそこまで潤沢でない段階での売却は非現実的かと思われます。売却できない前提で考えた場合、現在の住居費の割合は確かに負担となっていますので、住宅ローンの借り換えも検討してみてください。

返済金額と期間から逆算すると、返済中のローンは金利2%程度での借り入れかと思われます。現在(2019年3月現在)、変動金利だと金利0.4%台の住宅ローンが多くあります。借り換えには、その時の雇用形態や勤続年数、収入など色々と条件はありますが、仮に0.6%で借り換えできたとすると、借り換え諸費用約50万円をローンに組み込んだ場合でも月々の返済が約4.9万円、諸費用を自己資金から拠出した場合だと、月々約4.7万円となり、1万円近く返済額を下げることが可能です。

変動金利ですので、将来の金利上昇リスクを考慮する必要はありますが、諸費用を考慮しても約320万円の利息軽減効果も見込めます。

売却を急がず、このまま保有するのもひとつの手

ライフプランを考える際に、将来の不確定要素が多い場合は、選択肢を多く持つことが重要です。収入や家族構成など、様々な状況の変化に対応する必要があるためです。相談者の場合、現段階でのマンションの売却は難しいことを考えると、今はそのまま住み続けるか、賃貸に出すという選択肢となります。お住まいのエリアなどにもよりますので、マンションを貸した場合の家賃の相場も調べてみましょう。

現在婚活もされており、将来的に家族が増える可能性もあることを考えると、確かに費用的な負担はありますが、今のマンションを保有しておくのも必要かもしれません。ご事情もあり地元に帰ることも考えているようですが、お仕事が決まっておらず住む場所や今後の生活についても明確でないなかで、今のお仕事を辞めてしまうのもリスクとなります。

現在のお仕事には満足されているようですので、今はお仕事に集中し、将来的なマンションの売却も視野に入れながら、将来の結婚やリタイア後の生活に向けて、生活を組み立て、計画的に貯蓄をしていきましょう。コツコツとやっていくことが、将来の選択肢の広がりに繋がります。より具体的に考え最適な選択をするためには、ライフプランシミュレーションの作成をおすすめします。売却したケース、保有したケース、保有したまま賃貸に出すケースの3種類を比較すれば、よりご納得のいく選択肢を選ぶことができます。その時間を惜しまず、しっかりと将来設計をしていきましょう。

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