はじめに

役員報酬をもらうなら、何らかの業務に関与して

役員社宅のイメージですが、まず、資産管理会社が法人として、ご質問者の賃貸住居の賃貸契約をします。家賃の支払いは資産管理会社が行いますが、家賃の全額を法人が払うと、ご質問者へ給与課税がありますので、通常はご質問者が家賃の一部を負担します。

役員が負担すべき金額は、部屋の面積等によって計算式が変わりますが、固定資産税の課税標準額等をもとにした計算式が国税庁により設定されています。実務上は、徴収額を簡易的に家賃の半額に設定することが多いと思います。ただ都内ですと、賃料負担の計算式で計算すると役員負担が半額より少なくて済むことが多いです。

父親がお持ちの不動産を資産管理会社へ移転し、その賃料収入の一部を家賃の支払いに充てるということだと思います。仮に家賃が月額12万円でご質問者が半分負担するなら、手取りで月額6万円を役員報酬として支給してもらえば、自己負担がない形で事実上、援助をしてもらえると言えます。詳細は、国税庁のホームページ「役員に社宅などを貸したとき」や税理士へ確認ください。

ご質問者が役員報酬をもらう場合、資産管理会社への勤務実態がまったくないと、役員報酬の損金が税務署に否認される可能性もありますので、何らかは業務に関与した方が良いでしょう。複数から収入を得ることになると、勤務先の副業規定の確認や確定申告も必要になりますので留意いただければと思います。

不動産を法人化するなら、さまざまな側面から検討を

相続税を考えるにあたり、ここでは詳細を割愛しますが、父親が個人で不動産を所有していると不動産が相続財産になりますが、不動産を資産管理会社へ移すと不動産を資産に有する資産管理会社の株式や持分が相続財産になり、相続財産の評価方法が変わってきます。

土地建物の両方、建物のみを法人へ移すかどうかでも変わってきます。また、不動産の法人化としては、不動産を法人へ移すほかにも、管理委託方式やサブリース方式などがあります。実務負担や所得税の対策として、どの方式がいいかを検討します。特に不動産を法人へ移すということは、不動産移転コスト等を生じさせるものになりますから、所得税・法人税・相続税の観点から損益をきちんとシミュレーションしながら検討をした方がいいでしょう。

相続対策としては、ご家族の相続人の誰に、どのように不動産を残すかも考えながら、生前贈与等をしていくことになると思います。

相続を真剣に考え始めるにあたり気をつけるべき点としては、実は経済的合理性がなく(大して得するものではなく)、税務リスクや法務リスクがあって当初想定していなかった負担が生じるといったことがないようにしましょう。このような失敗は、ほとんどが断片的な情報や不正確な話に頼ったりすることが原因となることが多いので、後から「知らなかった」ということがないよう事前にきちんと自分で調べたり専門家に相談等をしながら検討を進められると良いと思います。

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