はじめに

都心ではこのところ「バブル再来か!?」と思うほど高値でのマンション販売が続いています。億ションがどんどん売れているというのですから、本当に驚きます。結婚・出産をひかえて夢のマイホームを、と思ってもそれこそ高嶺の花となっています。

そんなときに頼れるのは、マイホーム資金をプレゼントしてくれる親の存在かもしれません。両親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受ける場合には、税金面でもメリットがあることをご存知ですか?


相続だと税金がかかるが、贈与なら?

平成27年に相続税が増税されてから、相続税は一般の人々にとっても身近なものになりました。利便性が高く地価が高い土地に戸建の実家があって株式と預金がいくらか……そんなご家庭でも相続税がかかる時代がやってきました。

そこで今、注目されているのが贈与です。

教育資金や結婚・子育て資金の贈与税の非課税制度など特例もできました。これは金融機関を通じて書類を提出すればOKですので、贈与を行っても税務署に直接申告をする必要はありません。

一方、マイホームを購入するときに両親や祖父母から合計で110万円以上のお金を援助してもらう場合、住宅取得等資金の非課税制度を適用するためには申告が必要となるので注意が必要です。

例えば、平成28年中に家を購入する契約を結んだ場合、非課税制度の適用を受けると親からの資金援助は1,200万円(+基礎控除110万円)までなら税金がかかりません(次ページで解説する「省エネ等住宅」の場合)。契約のタイミングと住宅の種類によって非課税枠の金額が変わることも、住宅関連の税金を複雑にしています。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税枠

1.消費税8%で契約した場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
~平成27年12月31日1,500万円1,000万円
平成28年1月1日~平成32年3月31日1,200万円700万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日1,000万円500万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日800万円300万円

2.消費税10%で契約した場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
平成31年4月1日~平成32年3月31日3,000万円2,500万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日1,500万円1,000万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日1,200万円700万円

お金を受け取るタイミングも重要

平成28年1月1日時点で成人している方が、自分の両親や祖父母から1,200万円の贈与を受ける場合、通常は246万円もの税金がかかることになります。

ところが、これが住宅取得のための資金である場合には、税金がかかりません。この246万円を節税するためには、少し面倒な要件を満たして税務署に申告する必要が出てきます。

まずは、お金を受け取るタイミングについてみていきましょう。

契約をかわすタイミングによって、非課税となる限度額が変わってきます。省エネ等住宅であれば、平成27年中の契約なら1,500万円まで、平成28年中の契約なら1,200万円まで税金はかかりません。

このとき大切なのは、贈与を受けた後、翌年3月15日までにそのまま住宅の支払いに充てること。自分たちでお金を払ってから、家計が苦しいので後からお金を負担してもらったり、住宅ローンを組んだ後で、お金をもらって繰り上げ返済に充てたりすることは対象外となります。

また平成28年中に資金贈与を受けた場合、平成29年3月15日までに家の新築工事が完了、または住宅の取得が完了していることが必要です。工事が遅れて非課税とならなかった、ということがないようにしたいですね。

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